35-1.敵襲
「これさ。無理だよね。」
話を聞き終わって村長の家を出たシルヴィアはボヤく。
「無理っていうのは嘘つきの言葉ですよシルヴィアさん。とはいえ無理ですよね。」
俺はうなだれる。
「そうだな。北部から奴隷として連れて来られて農業させられてその不満を解消しろとか無理言うよな。」
チャックもボヤく。
「反帝国派の気持ちもわかりますよね。」
俺もボヤいた。
ロスさんは俺たちの会話をきいても無言だった。
「じゃあ、そろそろ帰りましょう。」
シルヴィアはロスさんに声をかける。単純にシルヴィアは体力が尽きていた。
「…」
「おーい、ロスさん?」
シルヴィアが呼びかける。
ロスさんが喋らないのはいつものことだが、今回は妙だ。
ロスさんはいきなりスカーフで口元を隠す。
「反乱軍だ!村人に避難を呼びかけてくれ!」
そう言うとすぐ木に登って行った。
「と、とりあえず反乱軍が来た!でいいのかな?」
シルヴィアは首を傾げながら村人たちの方に走っていく。
ロスさんは木の枝の上に立つと、弓を取り出す。
弓を少しいじったと思うと弓がガシャンと展開して小型の弓から大型のロングボウくらいの大きさの弓に変形する。
「なんだあれすげえ。」
チャックは感心している。
「とりあえず避難を呼びかけましょう!」
俺はそう言ってチャックの腰を小突く。
「そうだな!」
そう言うとチャックも村の中心部に走って行った。
ロスさんは木の上で弓を引き絞る。
パンッと弦の開放される音がする。




