33.南へ
俺たちは南部に向かっていた。
メンバーは俺とシルヴィアとチャックの3人だ。タダヒロたちは当然南部まで付き合う義理もないので王都で別れた。それでもチャックが同行してくれたのは喜ばしいことだ。戦闘になっても彼がいれば大概のことはどうにかなるだろう。
俺たちはシャルロッテさんに荷車と馬を前回とは違い合法的に借りることができた。シャルロッテさんは俺たちに、大出世だね。といって笑って見送ってくれた。
前回の逃亡劇とは違いそれほど切羽詰まっていないのが大きな違いである。
南部まではいくつかの町に立ち寄り宿泊しながら約一週間ほどをかけて南部までたどり着いた。
「これは僻地だわ。」
シルヴィアはわざとらしい大声で言う。
「そうだな。これは…想像以上に田舎だな。」
チャックも辺りを見渡す。
「でも、俺たちはもうちょっと南部の中心都市に配属されるので悲観的になる必要はないと思いますよ。」
俺は苦笑いしながら呼びかける。
「でもさぁ?先週まで王都にいていきなり南部はちょっと刺激が強いよ?」
シルヴィアは心底だるそうな顔で言う。
「でも、家族を救いたいんだろ?しょうがないだろ。」
チャックが嗜めるように言う。シルヴィアは不服そうな顔で黙り込む。
「まあでも、見つけ次第逮捕されることもなくなったんですし気楽にいきましょうよ。」
俺は荷車にもたれかかる。
「たしかに、軍に逮捕されることはない。でも、ペトロバツは私たちに異様な執着を見せてる。確かに、軍が正式に身柄を拘束してくることは無くなったけど、迷宮都市みたいに刺客を送り込んでくる可能性は十分にある。油断しないでね。」
シルヴィアは俺を睨む。
「やっぱり安全じゃないんですか?」
俺は顔を青くする。
「だから俺がついて来たんだろ?」
チャックは呆れたような顔で言う。
とりあえず俺は深呼吸することにした。上手くできなかったが。




