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31-2.アリョーシャ峡谷攻防戦

「やっと山登り終わった!」


少女は伸びをした。


「がんばりましたね。もうちょっとですよ。」


兵士は彼女に声をかける。


「隊長!前方に北部の軍が!」


別の兵士が悲鳴を上げる。


「おっと、しばらく休むつもりだったがそうはいかないな。連戦だけどいけるかい?」


隊長が少女に尋ねる。


「えぇ?面倒臭い。まあいいか。」


少女は心底面倒臭そうな顔をする。



「敵は少数!50人程度だ!このまま踏み潰せ!」


プリニツキーの叫び声と共に3000人の兵士が一斉に突撃する。少数で山越えをしてくるとは奇襲のための少数精鋭だろう。一人一人の戦闘力が高く強力な魔術師もいるだろう。だからこそ圧倒的人数差で踏み殺す。


「進め!」


プリニツキーは叫んだ。




「あぁ…面倒臭いな。出てきて。」



少女が呟く。すると青い炎に包まれた、強いて表現するなら亀のような形の精霊が出現する。

「あれ全部かい?」


精霊は電子音のような声で少女に尋ねる。


「ええ。やって”カリオペ”。」


少女は精霊を撫でる。


「承認」


精霊の呟きと共に彼の背中の上に無数の棒状の炎が現れる。


「撃って。」


少女が言う。


無数の棒状の炎が多連装ロケットのように発射される。



プリニツキーは息を呑んだ。発射された棒状の炎は不愉快な不協和音をたてながら上昇する。

そのまま上空で分裂するとヒュウヒュウという音を立て空を覆うような炎の雨が降りかかってくる。まるで攻城戦の際のバリスタの雨だ。


「防御術式展開!伏せろ!」


プリニツキーは馬から飛び降りうずくまり頭を抱える。

炸裂バリスタで攻撃された際の基本的な対応だ。

前後左右から爆発音が聞こえる悲鳴すらも爆発音にかき消される。

判断を間違えていた。予想以上だった。プリニツキーは唇を噛んだ。


終わらない爆発音と程にプリニツキーの軍は地図上から消滅した。


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