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31-1.アリョーシャ峡谷攻防戦

 北方軍はアリョーシャ峡谷の北側に布陣していた。

北部の中心地に攻め入るためにはこの峡谷を抜ける必要がある。

山脈を超えれば一応迂回ルートはあるが、到底大軍が通れるところではない。

少数の軍勢が迂回してきたとしても、峡谷に陣取る守備隊をどうこうできるものではない。

だからこそ帝国軍はこの峡谷を力押しで抜けるほかないのだ。

今日も帝国軍の少数の部隊がいじらしい突撃を敢行してきた。

峡谷の出口を固める部隊が動くまでもなく峡谷の上に陣取る兵士たちが彼らを殲滅した。


3人の帝国軍兵士が撤退して行く背中が見えた。


「うむ。今回帝国軍はここの峡谷を抜けることはできない。」


北方連合軍の指揮官の一人であるニコライ・カルコフは豪快に笑った。


「前回は人海戦術で突破されましたが今回はそうはいかないでしょう。」


「ははは!プリニツキー殿が削ってくれたおかげですな!」


カルコフは嬉しそうに言う。


「だが、帝国軍は山越えをしてきた。今回もこっちが陽動かもしれない。」


プリニツキーは髭を撫でる。


「たしかに。その可能性もありますな。」


カルコフが頷く。


「こちらの守備隊の頭数は過剰な程だ。少し引き抜いて山脈側の警備に回すべきだろうか。」


「うむ。そうだな!陣地を構築して少数の部隊を配置すれば迂回部隊を迎撃する時間稼ぎにもなる。」


「では私が行こう。」


「うむ。次の攻撃まで時間はあるだろう。」


カルコフは笑顔でプリニツキーの肩を叩いた。


「防御術式の魔術師も連れて行くぞ。」


「構わん。まあ、帝国軍の魔術師は地獄の北部戦線には来ないだろうがな!」


カルコフは自信満々だ。


まあ、実際貴族化した魔術師はこんなに寒くて汚い戦場に来ることはないだろう。

だが最低限の備えは必要だ。

工兵を含む5000人程度の軍団を引き連れ山脈の方へ向かうプリニツキーは思った。

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