28-1.タダヒロズキッチン
「ねえタダヒロ?」
クロエが馴れ馴れしく肩に手を置く。
「ヒデオ君はシルヴィアちゃんにあっちの世界のお菓子、なんだったけ。プリンか。プリンを作ってあげたんだってさ。その前にはハンバーガーとかいうのも作ってくれたらしいんだ。」
「そうか。優しいな。」
「タダヒロ、そういえばあなたそういうの作ってくれたことないよね?」
「…」
「私も気になるな。ニホンの料理。食べてみたいな。」
「悪いが俺そういうのは苦手でさ。料理なんてしたことないんだ。」
「でも何も作れないってわけじゃないでしょ?」
「まあ、カップ麺くらいなら…」
「カップメン?じゃあそれ作って!」
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「って言われたんだがどうしたらいい?」
タダヒロは英雄に尋ねる。
「作ってあげたらいいんじゃないですか?」
俺は素っ気なく答える。
「簡単に言いやがる。お前は一から作れんのか?カップ麺。」
レシピなんて知らないだろ?
「タダヒロさんは知らないと思いますけど、カップラーメン製作者の話は有名な朝のドラマになったんですよ。」
「まじ?じゃあ観てたの?」
タダヒロは期待を込めた眼差しをこちらに向ける。
「学校あったんで観てないです。」
「だよな。あれ話題になっても学生は観れないんだ。そういうもんなんだ。」
タダヒロは諦めの表情だ。
「でも、小麦と塩胡椒があればどうにかなるんじゃないですか?」
「ラーメン舐めんなよお前!」
「そう言えばこの世界の胡椒って普通に手に入りますよね。めちゃくちゃ高いんだと思ってました。」
「そうなんだよ。俺もビックリした。南部の方で採れるらしいんだ。意外だよな。で、ラーメンはどうする?」
「そこは言い出しっぺが責任とっていたっだく形で…」
「薄情だな。せっかく色々教えてやったのに。」
「わかりましたよ。協力しますよ。」
俺は渋々答える。
「流石英雄君!えいゆうだな!」
「やめてください。」
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「まず、小麦粉と塩と水を混ぜて、こねた後、衛生面に配慮して踏みます。」
「なんで俺が?」いきなり呼び出されたチャックが困惑する。
「一番重そうだから。」タダヒロが呟く。
「そしてしばらく寝かせた後薄く伸ばします。」
「なんで俺が?」チャックは困惑する。
「一番力がありそうだからです。」俺は呟いた。
「そしてそれを細く切ります。」
「やりゃあいいんだろ?」チャックは手際よく生地を細く切る。
「剣士だもんね。」いつの間にかいたシルヴィアが呟く。
「そしてそれを茹でます。」
「これくらいの湯加減でいいか?」ウィズバンが尋ねる。
「お前にプライドはないのか?」チャックが顔を引き攣らせる。
「これをシルヴィアさんの作った和風異世界出汁に投入します。」
完成!
「うん!コシがあって喉越し柔らか!」
シルヴィアが目を見開く。
「おう!なんか初めての食感だ!すごい!」
チャックの語彙力低めなレビューが付く。
「材料てきとうだったんですけどなんかいい感じですね!チャックさんのパワーが良かったのかも!」
俺はチャックのに親指を立てる。
「いやいや、俺の火加減が良かったんだろ!シルヴィア俺にも食わせろ!」
ウィズバンがシルヴィアにまとわりつく。燃え移ったりしないのだろうか。
しかしタダヒロは無言で「ラーメン」を啜っていた。
「これさ、ラーメンじゃなくて…うどんじゃね?」
タダヒロはボソッと言い放つ。
「お気づきになりましたか」
俺は真顔で返事をした。




