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26-1.出所

 俺たちは無事出所した。

ギルドの皆さんは今日まで囚人の身であった俺たちを暖かく迎え入れてくれた。シルヴィアも人を殺してしまった罪悪感から落ち込んでいたがある程度立ち直ったように見える。


「お前ら。牢屋にいた間身体洗ってないだろ。臭うぞ。」


タダヒロのデリカシー0の発言によって俺たちは公衆浴場に向かった。


シルヴィアとクロエは湯船に浸かっていた。


「ごめんなさい。色々手伝ってもらって。私目が悪くてメガネ外したら周りがよく見えないんです。」


「いいのよ。目が悪いって本でも読みすぎたの?」


クロエが笑顔で答える。


「まあ、それもあるんですけど、精霊、ウィズバンっていうんですけど。契約する時に視力を捧げたんです。だから目が悪くて。」


「視力ねぇ。どんな精霊なの?」


「ただの火の精霊ですよ。下級精霊です。」


「下級精霊ねぇ。」


「おじいちゃんは視力を捧げるのはって渋ってたんですけど、私がそれでもって選んだんです。」


「でも完全には奪われなかったんだね?」


「そうですね。メガネがあれば視えます。」


「変ね。下級精霊のはずはないんだけど。」


「?」


「あ、忘れて。独り言よ。」


クロエは誤魔化すように笑う。


「そういえば、どうしてクロエさんはタダヒロと結婚したんですか?」


今まで二人っきりになることがなかったせいできけなかった疑問をぶつける。


「うーん、私の人生に興味を持ってくれたから…かな?」


「人生?」


「そう。私たちの種族は寿命が長くてなかなか他の種族とは話が合わないの。私は240年くらい生きてるからさ。普通の人は私の年齢を聞くと逃げちゃうの。でもあの人は私が生きてきた240年全てに興味を持ってくれた。だからその、なんて言うか…そう。今までの全部を肯定してくれたように思えたの。だから私もこの人となら一緒にいていいかなと思った。それだけよ。」


クロエは顔を赤ながら喋る。

「いい話じゃないですか。」


シルヴィアは下唇まで湯に浸かる。


「長く生きてればいい出会いがあるものよ。シルヴィアちゃんにはヒデオ君がいるしね。」


まさかの言葉にシルヴィアは溺れかける。しばらく咽せたあと顔を赤くしながら反論する。


「なんでそうなる!」


「ええ?お似合いだと思うけどな。」


クロエも下唇まで湯に浸かる。


「ないない。ないですよそんなこと。」


「でも連携バッチリじゃない。」


「たまたまですよ。」


「でも、彼はちゃんとシルヴィアちゃんのこと身を挺して守ってるし、あなたも魔術教えてる時満更でもなさそうだったじゃない。」


「あれはそういうのじゃないです。私は魔術教えてとか言われたことなかったから、ちょっと認められたみたいで嬉しくなっちゃっただけです。何回も私のこと庇ってくれてるのは…その…」


言いながらシルヴィアは湯の中に沈んでいった。


「あらあら。照れちゃって。」


クロエは微笑む。


「だからそんなんじゃないですって!」


シルヴィアは顔を真っ赤にしながらクロエを揺さぶる。


クロエは大笑いしていた。




一方男子諸君は。


「それで、この傷がえっと何だっけな。あれだよあれ。そう。60層のオークにやられた時の傷で。それでここが…」


チャックが湯船から立ちあがろうとしたのでタダヒロが彼を湯に引きずり戻す。


「それ以上下は見せなくていい!」


「タダヒロ、お前は情けない腹してるな。」


「俺はお前たちみたいな武闘派じゃないからなさけない腹でもいいの。」


「ヒデオも逞しくなったじゃねえか。」


「雑用やってましたからね。」


修学旅行みたいな雰囲気であった。

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