12-1.ステマ
俺たちは考えていた。
ギルドの経営を立て直す方法は何かないかと皆で意見を出し合っていた。
だがいまいちこれといった案は出ていない。
俺がもっと天才ならスマートフォンを異世界の大きな劇場で大々的に発表していたかもしれないが、スマホなんて作れない。
そもそも、いきなりスマホをこの世界に持ってきても流行らないだろう。固定電話とか大きなパソコンとか遅いインターネットとかガラパゴス携帯とかそういうのを経てスマホが誕生したから流行ったのだ。
一足飛びにスマホを発明しても大して流行らないだろう。革新的なアイディアはいつだってすぐには受け入れられない。ある程度地に足をつけた先進性でないと商品として消費者から理解を得られないのだ。
その意味では天才すぎるのもよくないのだ。天才であり凡人であること。それが成功への秘訣なのだ。
などと名言のようなことを言っている場合ではない。何か考えなければ。
「シルヴィアさんは何か思いつきましたか?」
「お前の鎧の素材を作れないか?」
「たしかにこれを作れたらすごいですけど作り方なんて知らないですよ。」
「なんで知らない素材の鎧なんか付けてるんだ?」
そんなこと言われても困るのだが。
「一応石油からできる素材なのは知ってるんですが、それ以外は何も。」
「油からできてるのか。そういえば魔力を防ぐのに特化した盾なんかには表面に神聖な油を塗ることがあるらしい。それもそのプラスチックとやらの一種なんだろうな。だがその分火に弱くなるからあまり使われていない。あくまで儀礼用の気休めだよ。」
「ただ一から研究している余裕はないので、プラスチックの鎧を大量生産するのはあくまで最終目標くらいのつもりがいいんじゃないですか。」
「それはそうだな。研究ってのは大抵一世一代で目標にたどり着けるものじゃないからな。」
シルヴィアも納得してくれた。
念の為今度タダヒロさんにきいておこうと思った。彼は文系らしいので望み薄ではあるが「どっかの本で読んで覚えてる。」くらいは言いそうな気もする。また、発明家と呼ばれる人物が何か知っているかもしれない。
そうこうしているとローマンが部屋に入ってきた。かなり嬉しそうな顔をしている。
「いやぁ、シルヴィアちゃんにあのコートプレゼントして正解やったわ。街を歩いてるところを偶然いいと思ってくれた人がいたみたいで、売ってるか?ってきかれたから、売れるか様子見で作ったからあんまりようさんないですよ。
いうたら、ならある分全部買う!って言いはってな。在庫全部捌けてん。」
ローマンさんはすごく嬉しそうだ。シルヴィアも嬉しそうに何やら照れ隠しの様なことを言っている。
まあ広告塔になったのであれば俺たちの存在意義もあるというものだ。
ん?
そうだ。いいことを思いついた。




