11-4.憲兵密着
二人が詰所に戻ると、前はいなかった五名の隊員が戻っていた。
「あっ、分隊長。お疲れ様です。」
長身の男が挨拶する。
「彼が例の新人ですか?」そ
の近くにいた男がピーターを指差す。
「そう。お前らいなかったから紹介できなかったんだ。今日からここに配属になったピーター・ラントだ。」
「憲兵の掃き溜めにようこそ。」
坊主頭の男が気にしていることを言ってくる。
「やめろルイス。新人の勤労意欲を削ぐようなことを言うな。」
へスラーが坊主頭の肩を小突く。
「そういえば、今日はなんで呼び出されたんだ?」
へスラーが尋ねると五人は顔を見合わせる。そのまま長身の男が口を開く。
「今回聞いたのは、近々ですが北部征伐が行われるらしいです。その際の後方支援や支配地域の安定化のため作戦に参加する憲兵を募るみたいです。」
へスラーは考え込んだあと「お前らは行くのか?」と短く質問する。
「私はそのつもりです。昇進できますしその分給料も増えますから。」
長身の男が言う。
「俺も行くつもりです。娘のこと考えたらここにずっといるわけにはいかない。」
坊主頭も同調する。
「…考え中です。」
浅黒い肌の男はまだ決めかねているようだ。
残りの二人も考え中といった顔だ。
「そうか。」
ヘスラーはなんとも言えない表情になる。
「まあ、それまでやることはやってくれよ。」
へスラーは坊主頭の肩を叩く。
そのままへスラーはピーターに寄って行き耳元で囁いた。
「ラント、これからは泥臭い仕事が増えるぞ。」
わかるようなわからないような、未来を暗示するような言葉にピーターは何か恐ろしいものを感じた。
だがこれは自分の実力を示すチャンスだ。
「はい!」
元気よく返事をした。




