11-1.憲兵密着
ここは王都にある憲兵の詰所。
憲兵はそもそも軍隊内部の秩序を維持する存在であったが、警察権が軍に統合されてからは一般的な警察業務も憲兵が行うようになり、人員も増え、施設も増加した。そして、今回の話はその憲兵の中でも警察としての業務を行うある部隊の話である。
第702分隊は警察業務を専門に扱う部隊の中でも少し特殊で、主に管轄内の魔術犯罪を専門に扱う部署である。もちろん一般的な警察業務も行うが、魔術犯罪の取り締まりがメインであり所属する人間も魔術に造詣の深い者が多い。
最近では謀反を企てた召喚術師の拠点に突入して三名を捕縛するといった実績がある。
「というのが我々の分隊の説明だ。わかったか?」
分隊長のゲオルグ・ヘスラーは今日配属になった新人に尋ねる。
「はい!」新人のピーター・ラントは直立不動の体制で元気よく返事する。
「他の奴らも紹介しよう。」
そう言って分隊の仕事場に入る。
「あそこにいるのが副隊長のオットー。」
隅で書類仕事をしていた男が片手を少し上げて挨拶をする。
「で、あそこの顔を隠したやつが分析担当のクラッグ。怪しいものを魔術的にセーフかアウトか調べる奴だ。」
黒い布で顔を隠した男はこちらに反応せず無視している。
「あとはだな…オットー、他の奴らは?」
へスラーは副官に尋ねる。
「なんか本部から呼び出しくらったらしいですよ。」オ
ットーは顔を上げずに答える。
「俺たちは呼ばれてないのにか?」
へスラーは怪訝な顔をする。
「ベルが昇進できるかもとか言ってましたよ。」
「わからんな。まあ、帰ってきたらあいつらも紹介するよ。そういえば、ベルたちがいないってことは見回りは誰がやるんだ?」
「私は昨日頼まれた仕事してますし、クラッグもまだ検査残ってますし。」
「なら研修も兼ねてラントも連れていくか。」
そう言うとへスラーはピーターを武器庫の前まで連れてきてサーベルを渡す。
「見回りの時間だぞ。」
ピーターの初仕事だ。




