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9-1.経営再建

 数日後、仲間が増えた俺たちは酒場でタダヒロと会うことになった。


「タダヒロ、この前見せた本は読めたか?」


シルヴィアは開口一番そうきいた。


「待て待て。言語の解読なんてそうすぐにできるもんじゃないからね。世界中の専門家同士が知恵を出し合ってやっと一部解読するようなもんだし、何より俺は言語学は専門外なの。」


「いつまでかかりそうだ?」


シルヴィアが少し残念そうにきく。


「10年。」


「じゅ…10年?」


「そう。10年。もっとかかるかも。」


シルヴィアは頭を抱えてしまった。かわいそうに。


「ところでそのでかい男だれ?ハンマー持ってて怖いんだけど。」


タダヒロはチャックを指さす。


「俺は生意気な学者サマの脳天をかち割るために来たチャールズだ。」


ニヤリと笑いながら言う。


「うわぁ、怖い怖い。ところでチャックはなんでここにいるわけ?」


「知り合いなんですか?」


お互い知り合いっぽいやり取りをするのできいてみる。


「知り合いっていうか、こいつが壁の落書きを見るって言うから何回かダンジョンに連れていったんだよ。」


チャックがタダヒロを指さす。


「落書きじゃない。重要な資料だ。」


タダヒロは心外なという顔をする。


「それにしてもチャック。なんでこいつらなんかと一緒にいるんだ?仲間たちはどうしたんだよ?」


タダヒロがチャックに質問する。なんかとは酷い言われようである。


「うん、まあ色々とな。色々あって。」


と曖昧な返事をする。


「そうだ、お前ら二人なんでこの街に来たんだ?」


チャックが話を逸らした。前の仲間のことは意地でもきかれたくないないのだろう。


俺とシルヴィアは事情を説明した。王からの命令で俺を召喚したこと、その後軍に襲撃されたことなどを事細かに説明した。


「疑いを晴らすためにまずは財務省への接触がしたいの。」


シルヴィアが締めくくる。


「財務省ならお前のコネでなんとかなるんだろ?ランク80だろお前。」


タダヒロがチャックの肩を叩く。


「今は82だ。」


チャックはドヤ顔で情報を修正する。


「ランクってなんですか?」


ゲームのレベルみたいなものかと思ったので質問するとタダヒロが先に答えてくれた。


「例えば、このダンジョンは今何層だったか。えっと、70か。情報ありがとうチャック。70層まで人間が降りてる。だが、新参者がいきなり70層に挑んでも未帰還者掲示板に名前が載るだけだ。

だから、冒険者の能力や適正、戦闘能力とか知識、パーティーの全体的な能力。そういうのを色々見てランクが設定される。そのランクで降りられる階層が決まってるんだ。

バカな初心者が下に降りてバカなことやって迷惑かけないようにランク付けして細かく分けてるんだ。

こいつはランク82だから単独では50層、チームなら71層以下までいける。」


「なるほど。」


返事をするとチャックも説明を開始する。


「お前らも初めてダンジョンに入る時届出を書かされただろ?どこまで行くって。その届出した階層が自分のランクで行けないところならその場でダメだって言われる。

ダンジョンの状態によってこの基準はちょっとづつ変わるから毎回面倒な届出をしないといけない。もちろん未開拓の階層に行くには届出がいるし、届出を無視して下の階層に行って、バレれば罰金、怪我しても救護隊は来ずに野垂れ死ぬことになる。」


「結構厳しいんですね。」


苦笑いする。


「まあ、ここにいるのは全員こいつみたいな無法者だからきっちりとした規範で縛らなきゃいけないんだ。」


タダヒロがチャックを指差しながら笑う。


「ってことはチャックは財務省の建物に入ることはできると?」


シルヴィアが問う。


「残念だがそれは無理だ。俺は財務省の信頼がない。俺をアテにしてるなら間違いだぞ。」


シルヴィアがとても残念そうな顔をしてタダヒロの方を見る。タダヒロは笑顔で首を横に振った。


「地道にやるしかないか。」


俺がそう呟くと、タダヒロが言った。


「だが、手っ取り早く財務省とのコネを作る方法はある。」


タダヒロはなんとも言えない顔で微笑んだ。

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