73.ソルマンを叩け
「はぁ、面倒だな。アレクサンドラたちも老人に無理をさせよる。なあ。」ソルマンは心底怠そうに同行している部下に同意を求める。
「ええ、そうですね。」部下は困ったような顔をする。
「まあいい。調査にかかろう。」ソルマンはそう言って村に入っていく。
まあ、てきとうに誤魔化しておこう。何もわからなかったからといって何かペナルティがあるわけでもない。
「さて、家と教会を調べるか。」ソルマンはそう言って歩き出す。
「ん?」彼は腹部に違和感を感じた。
「ソルマン様!」部下がこちらをみて喚く。なんだろうと腹を見る。
矢が刺さっている。
「森の方だ!」訓練された部下たちは素早くソルマンを射線上から避難させようとする者と森に向かう者に別れる。
「こんなもの。」ソルマンは呟く。腹に矢を刺しただけでなんだというのだ。この程度で襲撃したつもりか。誰が、何の目的で、誰かの差金か、なぜここに来るとわかったのか。そんなことが頭を巡る。だが、この程度すぐに応急処置を受ければどうということはない。
いや、違う。急に矢の刺さった腹が少し膨らむのがわかった。
「炸裂矢か?」ソルマンが叫ぶと同時に彼の腹ははじけた。
「やった。」望遠鏡を覗いていたシルヴィアが呟く。
「どう?命は奪えたかな?」ロスが淡々と呟く。
「さあ、どうだろうね。でも的確に命を奪う。」シルヴィアはソルマンを引きずって射線上から退避する彼の部下たちを見ながら言う。
召喚して一部の家屋に潜ませていた魔獣数体がソルマン一行を襲撃する。彼らはしばらく抵抗していたがたまらず逃げ出した。
「よし、第二段階も成功。魔獣たちがソルマンの命を確実に断つ。」シルヴィアは冷静に言う。
「他の奴らはいいのか?」後ろで見張っていたチャックが尋ねる。
「目撃者は少ないに越したことはない。でもこっちも人数がいないから深追いはしない。」ロスは逃げる反乱軍兵士たちを眺めながら言う。
「ならしょうがない。」チャックが頷く。
「遺体の処理はマーカスたちに任せましょう。」ロスは弓を片付ける。
「そうね。こっちは早々と撤退しましょう。」シルヴィアも望遠鏡を鞄に直し、3人でそそくさと森を出ていった。




