72-1.エニグマ
3人と1匹は首都に戻った。
「でも、具体的にどう接触するの?」ロスは尋ねる。
「私の考えでは彼はまたあそこに来る。だからそこで上手く彼と連絡を取る。」
「どうやって連絡を取るの?」
「うーん、暗号…かな?」
「暗号ね。私はあまりそういうの使ったことないからわからないな。」ロスが首を傾げる。
「貴族の間では謀略なんかで結構暗号を使うの。だから、貴族式の暗号を使う。」シルヴィアはドヤ顔をする。
「でも、ヒデオくんは文字読めないよね?」ロスの指摘にシルヴィアは真顔になる。
「文字は読めるの。長い文はまだ読めないってかんじ。」
「じゃあダメね。」ロスは諦める。
「ダメか。」
「そもそも、暗号にしても彼が解読できるかもわからないよね?他の人が解読してしまうかもしれないし。」
「そうだね。どうしようか。」二人で頭を抱えていた。
ドアが叩かれる。チャックだ。
「俺だ。クロエが会いたいってさ。今いいか?」
「やっほー!」クロエの声も聞こえる。
「今開けますね!」シルヴィアはドアの方へ駆け出した。
「本当久しぶりね。みんな変わりない?」クロエが私たちを労う。
「めちゃくちゃ変わってるよ。今ヒデオが攫われてな。大変なんだ。」チャックはため息をつく。
「そりゃあ大変だ。力を貸してあげたいけど、私人探しは得意じゃなくてね。」クロエは悲しそうにする。
「そういえば、そこの美人さんは誰?」クロエはロスを指差す。
「弓兵のロスです。」ロスは照れて仔豚に顔を埋めながら自己紹介する。
「私はクロエ。迷宮都市で働いてるの。」クロエも自己紹介する。
「人妻エルフだ。」チャックも補足する。
「そっちの仔豚さんは?」クロエが尋ねる。
「その子はロースちゃんだ。」チャックが紹介する。
ロスは仔豚の片足を持ち上げて挨拶させる。仔豚もブウと鳴いた。
「魔獣だけど大丈夫なの?」クロエは心配そうに言う。
「いい子なので食べないで。」ロスは仔豚を抱いて懇願する。
「別に食べないから安心してね。」クロエは苦笑いする。
「それで、今日はどういう要件で?」シルヴィアが尋ねる。
「いや、特に理由はないの。みんな元気かなって思って。あとみんな私たちの存在を忘れてないかと心配になって。」クロエは不安そうに言う。
「誰も忘れてないですよ!」シルヴィアはフォローする。
「そう?ならよかった。あと、はいこれ、迷宮都市のお土産。クロエはそう言って木箱を渡す。
「わあ!ありがとうございます!」シルヴィアは嬉しそうに木箱を開ける。
「これは?」ロスも目を輝かせる。
「これは和菓子よ。たしか、タダヒロの国のお菓子らしいわ。もちもちで美味しいの。」クロエはうっとりする。
仔豚が我先にかぶりついたので皆も焦って食べる。
「おお!新しい食感だな。もちもちしてて優しい甘さだな。」チャックは驚く。
「なにこれ!甘い。塗ってある茶色い液体が美味しい。」ロスもうっとりする。
「みたらしって言うらしいわ。日本にいる時よく食べてたって。」クロエが説明する。
「日本のお菓子ね。やっぱり私も日本に行ってみ…日本…あっ!!!」シルヴィアがいきなり大きな声を出したので流石の仔豚も振り向いた。
「どうしたの?」ロスが尋ねる。
「暗号、他にはわからなくてヒデオにだけわかる暗号。日本語を使えばいい!」
皆その意見に膝を打った。その間に残りのみたらし団子は仔豚の胃の中に入った。




