61-2.脱獄
「おい、飯置いとくぞ。」牢番は俺の返事を聞かずにプレートを置く。
牢番はそのまま何も言わずに去ろうとする。
まて、俺は今死んだふりをしている。そこは大丈夫か!と開けて脈をはかった後、衛生兵を呼びに行き鍵をかけるのを忘れてその間に俺がまんまと脱獄する流れだろう。
まさかの無視だ。死んだふり作戦は失敗だ。俺は素早く起き上がる。
プランBだ。
俺は勢いよく起き上がる。
「今日はお日柄もよく良い天気ですね!食事を持ってきていただいてありがとうございました。お礼に心ばかりですが昨日食べきれなかったパンでもいかがですか?」俺はぎこちなく丁寧な言葉遣いを心がけながら牢番にパンを渡す。
牢番は不思議そうな顔をする。
「いや、いらん。」
「いえ、もらってください!」
「いらん。」
「…」
「いらん。」
プランB失敗だ。このパンにはネズミの糞が塗ってある。これを食べた牢番は腹を壊してなんだかんだあって俺は脱獄できる。
あれ?そういえばなんで牢番が腹を壊すと脱獄できると思ったんだ?不思議な感覚に陥った。
「じゃあな。」牢番は立ちあがろうとする。ふと背後でパチンという音が聞こえたのでそっちをみる。
音のした方をしばらく眺めたが何もない。
そのまま牢番は飯を食っている俺をチラッとみるとそのまま部屋を出て行った。
扉が閉まる音を聞くと俺はパンを齧るのをやめニヤリと笑った。手には鍵が握られていた。
「シルヴィアさん。俺に根気強く魔術を教えてくれてありがとう。」俺はつぶやいた。
飯を食い終わると俺は脱獄にかかる。頑張って鍵を開けようとしている時間を使ってどうやって俺が鍵を奪ったのか説明しよう。
まず魔力を飛ばす術式で牢番の気を引く。その後親指、人差し指、中指の先に魔力を固めた棒を作り実質的に指を延長。その3本の指で鍵を奪ったのだ。
「やっぱり俺異世界向いてる?」俺が言い終わると同時に鍵が開いた。
牢の重い扉を開ける。
外に出て牢に繋がる扉を開ける。ここがどこで誰の建物なのかはわからないが、ここは建物の中のようだ。俺は廊下に誰もいないのを確認するとこそっと外に出る。うまくいけばこのまま脱獄できるかもしれない。
そこそこ大きな建物だ。牢があった場所は地下のようだ。階段を登って左右を確認する。
一階ならどこかに出入り口があるはずだ。出口から出なくても窓から脱出できればそれでいいのだ。壁に張り付いて曲がり角の先を確認する。慎重にいかなければならない。ここで見つかっては下の木阿弥だ。
慎重に、慎重にだ。俺は上からそっと飛び出す。
ガチャっと音がして真横の扉が開く。タイミングよく出てきた女性と目があってしまった。
「終わった。」俺はつぶやいた。




