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59.主人公死亡

 「交代だ。」ロスが見張りの弓兵に声をかける。

「何もなかった?」ロスは尋ねる。

「暗くてよく見えん。まあ、変なところはなかった。」見張りだった弓兵はそう言うとどこかに言ってしまった。

ロスは木に登ると村の方を見る。特に以上はない。


「?」ロスは一瞬変なものが見えたような気がした。

火の手が上がっている。どの建物かはよくわからないが火事だ。

「村が燃えてる!」ロスは味方に伝達する。

「なんだって?」味方の弓兵二人が村の方をみて驚く。

「俺はマーカスに知らせてくる!」そう言って一人の弓兵がアルゴン村の方に走っていく。

「こっちはどうする?」もう一人の兵士が仮眠していた兵士を起こしながら言う。

「近づいてみよう。」ロスが言うと二人の弓兵も同意した。



「子供の足でどこまで逃げ切れるかな?」司祭はニヤリとしながら呟く。

司祭としては自分の存在を知られるのは迷惑だった。だが、少年を追っても追っても見当たらない。

「まずいことになったな。」司祭の顔に焦りが見え始める。

「どこだ。どこに行った。」司祭は苛立ちながら少年の進んだであろう方向へ進んでいった。




明け方に少年を背負った弓兵が青息吐息でアルゴン村に到着した。

「トーマス?どうしたんだ?」マーカスは彼に駆け寄る。

「ァ…ラデ…ンガ…シ…」

「何言ってるかわからん!一回休め!おい!誰か水持ってきてやれ!」マーカスは部下に指示をして息を切らせた弓兵を休ませる。

ふとトーマスの背負っていた少年が何か言いたげな顔でこっちを見ているのがわかった。

「なんだい坊や?」マーカスは尋ねた。

少年の言葉にマーカスは顔色を変えた。




 ロスはまず村の近くの物陰に隠れる。まずは自身の魔術で周囲をマッピングする。

魔力をマッピングしたい方向に流す。何もない魔力が通る部分以外が魔力で埋められる。ものがある部分は魔力で埋めることができず空白になる。脳内に魔力で埋めている部分を再現すると脳内に村の姿が浮かび上がる。

見た感じ人がいるようには思えない。影にされたのか。影は平面にできるせいで彼女の能力でマッピングすることはできない。だが、人がいないということはそういうことだろう。

それに…

ロスはナイフを抜くと逆手に持ち村の中に入る。十分にマッピングしきれていない可能性のある建物の裏に警戒しながら教会に近づく。

教会の中を覗く。出口に殺到したのか影が集まっている。

そっとドアを閉めるとロスは息を整える。

燃えているのは反乱軍兵士の詰め所だった。反乱軍に協力する村にはこう言う形で反乱軍が駐留する。交番のようなものだ。

彼女が周囲をマッピングした限りそこには見たくないものが写っていたのだ。

「あぁ…」ロスはそう呟いて口元をおさえる。

そこには見覚えのある赤い鎧と剣、そして影だけがあった。




マーカスたちが村についた時にはロスが青い顔で村の入り口に立っていた。

「やられたのか?」マーカスが尋ねる。

ロスは黙って教会を指差す。マーカスたちは教会に行った。

「ロスさん!」シルヴィアが駆け寄ってくる。

「ごめん、私守れなかった!」ロスはシルヴィアに土下座する。

「ロス。順序が逆だ。何があった?」チャックが尋ねる。

ロスは震えながら燃え尽きた詰め所の方を指差した。

それを見た二人は絶句した。

「嘘、だよね?」シルヴィアはよろよろと駆け寄る。チャックも険しい顔をしながら近づく。

シルヴィアはプラスチックの軽い鎧を持ち上げたり周りを探したりする。

「私がやればよかったんだ。」彼女はそう漏らす。

「ごめんなさい。私がしっかりしていれば。」ロスは悲痛な面持ちで謝罪する。

「ロスさんのせいじゃない。」シルヴィアがロスの肩を持つ。

「でも、私が」ロスが言いかけたところでシルヴィアが止める。

「あのプライドの低い火の精霊なら何か知ってるんじゃないか?」チャックが尋ねる。

「だめ、ウィズバンの声が聞こえない。」

「ってことは影になったのか?」

「精霊が影になるなんてにわかには信じ難いけど。」シルヴィアは俯く。

「くそ。どうすればいいんだ。」チャックが頭を掻きむしる。

「司祭。だろ?」マーカスが近くに来る。

「ヒデオ君曰く、白くて長い髭の老司祭がこの事件の重要人物と言うわけだ。」

「司祭か。黒ずくめの男で教会とくれば間違いない情報だろう。」チャックが頷く。

「彼が命をかけて残した情報だ。無駄にしないようにしよう。」マーカスは返事を待つような素振りを見せる。

「そうだ。まずはその情報を広めよう。」シルヴィアは上を向いたまま言った。



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