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57-2.潜入
「ヒデオ、お前が嫌だと言うなら私がどうにか頑張る。だから…」話し合いが終わった後シルヴィアは俺を呼び出すとこう言ってきた。
「大丈夫です。俺やりますよ。」俺は答える。
シルヴィアは悲痛な面持ちになる。
「わかった。覚悟ができてるなら止めはしない。だから、ウィズバンを貸す。これでいざという時は身を守って。」
そう言ってシルヴィアは手に火を纏うと俺の心臓に手を当てる。
「ウィズバン頼める?」シルヴィアが尋ねる。
「ああ。任せろ。」ウィズバンが力強く言う。
「おい、赤いの。準備はできたか?」俺をエント村まで連れて行く反乱軍の兵士が声をかけてくる。
「はい。行きましょう。」俺は答えた。
そうして俺は馬車に乗ってアルゴン村を出た。潜入捜査。心躍る響きだ。死ぬほど怖いが。
馬車を見送るシルヴィアの肩が叩かれる。彼女が振り向くとロスがいた。
「どうしたの?」
「私が遠くから援護する。大丈夫、あなたが香水をつける相手を見殺しにはしない。」ロスが優しく言う。
「そ、そうじゃないけどありがとう。頼める?」シルヴィアが焦りながら言う。
ロスは頷く。
「じゃあ、仔豚の世話。よろしくね。」
シルヴィアが頷くとロスはマーカスの部下の選りすぐりの弓兵たちと合流した。村の範囲外であれば被害が出ないはずではあるが、彼らもまた英雄と同じ決死隊であった。




