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54.解剖

 「うわ!何そのでかいの。」タダヒロはギルドの工房にある強大な生き物の死体をみて驚愕する。

「これね、南部の魔獣の死体らしくて、防腐処理をしてチャールズ君たちが送ってくれたんです。」ローマンはニコニコしながら言う。

「それにしてもでっかいなこれ。」タダヒロは死体を見上げる。

「まあ、迷宮都市は他に比べて生物学が発達しているから、不思議な魔獣がいればここに送るのが一番いいよね。」クロエが後ろから入ってくる。

「クロエさんも来てくれたんですね。」ローマンが手を挙げて挨拶する。

「うわ!頭、グロ!」タダヒロは運悪く潰れた頭を見てしまい目を背ける。

「チャールズ君が頭潰したらしいですよ。」ローマンがタダヒロに言う。

「チャックか。しょうがねえな。」タダヒロは顔をしかめる。

「でも、この火傷はチャックのじゃないよね?」クロエはそういうのを見慣れているのか破壊された頭部をまじまじと眺める。

「そうですね。詳しいことは聞いてないですが、シルヴィアさんの精霊とかですかね?知りませんけど。」ローマンが言う。

「それに、この魔獣は音を無効化する結界を張れるらしいんです。」ローマンが続ける。

「音を?」クロエが目を丸くする。

「そう。すごいでしょ?その辺も分析してくれって言われましてね。」

「へぇ、怖いな。こんなのに出会ったら小便ちびるわ。」タダヒロは恐る恐る魔獣をつつく。

「私もこれはびっくりするな。ちびらないけど。」クロエも鋼のようなゴワゴワした体毛を触る。

「すごい毛皮でしょ?素材としても良さそうでしょ?」ローマンは興奮気味だ。

「買わないわよ。」クロエが笑いながら言う。

「まあ、とにかく昼が過ぎたら解剖することになってるので、その結果気が変わったらいつでも言ってくださいね。」ローマンは言う。

「商魂逞しいね。」タダヒロは苦笑いした。


「シルヴィアちゃんたち元気かな?」クロエが言う。

「気になるなら会いに行ったら?お前一人なら飛べるしいつでも会えるだろ。」

「そうね。また暇な時に会いに行こうかな。」

「そうだな。シルヴィアの本も解読が進んできたところだ。その成果も伝えたいしな。そういえば、暇な時って何か仕事あんのか?」

「そうなの。帝国が戦争してるせいで、追い出された北方人や逃げ出した捕虜が結構逃げ込んできてるの。」

「気の毒だな。」タダヒロは目を閉じる。

「ほら、私はそういう人たちを管理したりしないといけないからね。」

「お仕事頑張ってね。」

「何歳になっても仕事は面倒ね。」クロエはやれやれといった顔をした。

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