49.犠牲
「ヒデオ、俺さ。あれだけ自信満々だったのに役に立てなくてさ。本当情けねえよな。」チャックは作戦前とは打って変わって落ち込んでいる。
「同じ魔獣討伐であっても、ダンジョンで戦うのと森で戦うのは全然違う。慢心していたよ。全く恥ずかしい。」チャックはそう言いながら仔豚を撫でる。仔豚は気持ちよさそうに毛を立てる。
「たしかに今回はうまくいきませんでしたね。」俺は俯く。
「だが、何も得られなかったわけじゃない。私たちはしっかりと魔獣の姿を見ることができた。それに、奴を負傷させることもできた。負けたわけじゃない。」
シルヴィアが保存食を色々と工夫したと思われる料理を4人分運んできた。俺は皿を二つ取って一つをチャックに渡す。
「ロスは?」シルヴィアは不思議そうに尋ねる。
「帰ってこなかった二人の捜索です。さっき帰ってきていたのでもうすぐ来るはずですよ。」俺は答える。
「二人死んだらしいからな。あいつも色々思うところがあるんだろう。」チャックが俯く。
「やっぱり犠牲者が出たんですね。」俺は俯く。
「ああ、一人は反乱軍のベテラン兵士だ。他の奴らも驚いてたよ。もう一人は村人で、その、お前たちに魔獣の話をしてくれた人だ。」チャックが悲しそうに言う。
「あの人ですか。夫婦揃って本当に気の毒ですね。」俺も俯く。
「ああ、知ってる人間が帰ってこないっていうのはいつになっても慣れない。」チャックも俯く。
「まずは食事にしよう。次は勝って彼らを弔えばいい。悲観的にならずゆっくり休んで次の手を考える。彼らの犠牲を次に活かせないのが一番いけないことだから。」シルヴィアはそう言って皿をスプーンでキンキンと叩く。
俺たちはその言葉に同意して食事をとった。




