外伝 アスラン 25
更新遅くなりました(/ω\)
悩んでたら朝の太陽が昇っていました。すみません!
幸福とは永遠ではないということ。
そんなことわかっていたはずなのに、僕は、そんな当たり前のことを忘れていた。
「待て! その子をどうするつもりだ! その子は私の息子だ!」
先生の声が聞こえた。
けれど、僕は目に目隠しをされ両手を縛られた状態だから、その姿は見えない。
「先生……」
僕がそう呟くと、先生が声を荒げた。
「魔術師ガートレードの名に誓って言う! アスランは、そんなことなどしていない!」
先生は信じてくれている。
けれど、人間とは証拠もないものを信じる程優しい生き物ではない。
「……先生」
声が震える。
迷惑をかけてしまった。
これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。
「もういいんです。先生、僕、たくさんのことを教えてもらいました。先生、ありがおうございます。さようなら」
優しい人にこれ以上迷惑はかけられない。
暗闇にまた帰るだけだ。だから、大丈夫。
「ほら、行くぞ」
騎士に背中を押され、僕は歩いていく。
「待て! おい!」
先生が声を上げると、ドミニクの声が聞こえた。
「ガートレード、落ち着け。今ここで問答しても無駄だ! 策を練ろう」
「……アスラン! 少しだ、少しだけ待っていろ! 必ず助ける!」
その言葉に、僕の胸は苦しくなる。
やめてほしい。だってそれは護れない約束だ。
先生は僕を裏切らないって言った。
裏切らないで……。だから、そんな希望を口にしないでほしかった。
そしたら、最初から望まずに済むのに……。
先生の声が、馬車に乗せられるまでずっと響いて聞こえていた。
あぁ……寂しいとは、こういう感情か。
「先生……」
幸福とは一瞬で終わるものだ。
プツンと。まるで途切れるようになんの前触れもなく。
僕は牢の中に入れられて、しばらく呆然と座り込んでいた。
朝まではいつも通りだった。ただ、騎士達が押しかけてきてそして、僕は突然に逮捕状が出さられたと捕まったのだ。
「はぁ……大丈夫。元々僕はこちら側の人間だ」
冷たい石の床も、鉄格子も、別段問題はない。
ただ、先生を悲しませてしまったし、先生に迷惑をかけてしまった。
僕は両頬を叩いた。
このままじゃ駄目だ。先生にこれまで僕は何を教わってきたのだ。
ただ流されて周りの言うがままになるのはだめだ。
自分で考えなければ。
僕は外に在中している騎士に尋ねた。
「あの! 僕はなぜ捕まったのですか?」
まずそこが知りたい。先生には何か説明がされていたが、僕は聞き取れなかった。
けれど騎士に牢を蹴られて、それで終わった。
あぁ……そうだった。
ここしばらく、話を聞いてもらえていたから忘れていたが、弱者とは、会話すらしてもらえないのだ。
僕は唇を噛み、それから呼吸を整える。
「僕の名前はアスラン。魔術師ガートレード先生の弟子だ。そして貴方には僕が質問した際に答える義務がある。それは騎士の規律三十四条に記載されているはずだ」
そう伝え睨みつけると、騎士は大きくため息をついたあとに答えた。
「……はぁぁ。お前は邪神崇拝の疑惑がかけられているそうだ。俺はこれ以上は知らないぞ」
「邪神? 崇拝?」
首を傾げる僕に、騎士は眉を寄せた。
「知らないのか」
「……はい」
「……はぁぁ。邪神崇拝ってのは我がローグ王国に昔からはびこる異教のことだ。たまに大きな問題を起こす。故に疑いが駆けられたらすぐに捕まるんだよ」
「……知りませんでした」
そう伝えると、騎士も困ったように頭を掻いた。
「……そりゃ、運が悪かったな」
運か。
僕がここにいる理由が運だと言うならば、たったそれだけで僕はこんな理不尽な目にあっているのか。
その時だった。
地下牢へ降りてくる階段の方から足音が聞こえた。
少し騒がしく、その人は騎士を伴って現れた。
「あぁ、いたいた。久し振りだね」
「あ……」
僕はその人を見て、目を丸くした。
登場人物は一体誰なのでしょうか。








