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書籍化【完結連載版】聖女の姉ですが、妹のための特殊魔石や特殊薬草の採取をやめたら、隣国の魔術師様の元で幸せになりました!  作者: かのん
第三章 外伝 アスラン

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外伝 アスラン 25

更新遅くなりました(/ω\)

悩んでたら朝の太陽が昇っていました。すみません!

 幸福とは永遠ではないということ。


 そんなことわかっていたはずなのに、僕は、そんな当たり前のことを忘れていた。


「待て! その子をどうするつもりだ! その子は私の息子だ!」


 先生の声が聞こえた。


 けれど、僕は目に目隠しをされ両手を縛られた状態だから、その姿は見えない。


「先生……」


 僕がそう呟くと、先生が声を荒げた。


「魔術師ガートレードの名に誓って言う! アスランは、そんなことなどしていない!」


 先生は信じてくれている。


 けれど、人間とは証拠もないものを信じる程優しい生き物ではない。


「……先生」


 声が震える。


 迷惑をかけてしまった。


 これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。


「もういいんです。先生、僕、たくさんのことを教えてもらいました。先生、ありがおうございます。さようなら」


 優しい人にこれ以上迷惑はかけられない。


 暗闇にまた帰るだけだ。だから、大丈夫。


「ほら、行くぞ」


 騎士に背中を押され、僕は歩いていく。


「待て! おい!」


 先生が声を上げると、ドミニクの声が聞こえた。


「ガートレード、落ち着け。今ここで問答しても無駄だ! 策を練ろう」


「……アスラン! 少しだ、少しだけ待っていろ! 必ず助ける!」


 その言葉に、僕の胸は苦しくなる。


 やめてほしい。だってそれは護れない約束だ。


 先生は僕を裏切らないって言った。


 裏切らないで……。だから、そんな希望を口にしないでほしかった。


 そしたら、最初から望まずに済むのに……。


 先生の声が、馬車に乗せられるまでずっと響いて聞こえていた。


 あぁ……寂しいとは、こういう感情か。


「先生……」



 幸福とは一瞬で終わるものだ。

 プツンと。まるで途切れるようになんの前触れもなく。



 僕は牢の中に入れられて、しばらく呆然と座り込んでいた。


 朝まではいつも通りだった。ただ、騎士達が押しかけてきてそして、僕は突然に逮捕状が出さられたと捕まったのだ。


「はぁ……大丈夫。元々僕はこちら側の人間だ」


 冷たい石の床も、鉄格子も、別段問題はない。


 ただ、先生を悲しませてしまったし、先生に迷惑をかけてしまった。


 僕は両頬を叩いた。


 このままじゃ駄目だ。先生にこれまで僕は何を教わってきたのだ。


 ただ流されて周りの言うがままになるのはだめだ。


 自分で考えなければ。


 僕は外に在中している騎士に尋ねた。


「あの! 僕はなぜ捕まったのですか?」


 まずそこが知りたい。先生には何か説明がされていたが、僕は聞き取れなかった。


 けれど騎士に牢を蹴られて、それで終わった。


 あぁ……そうだった。


 ここしばらく、話を聞いてもらえていたから忘れていたが、弱者とは、会話すらしてもらえないのだ。


 僕は唇を噛み、それから呼吸を整える。


「僕の名前はアスラン。魔術師ガートレード先生の弟子だ。そして貴方には僕が質問した際に答える義務がある。それは騎士の規律三十四条に記載されているはずだ」


 そう伝え睨みつけると、騎士は大きくため息をついたあとに答えた。


「……はぁぁ。お前は邪神崇拝の疑惑がかけられているそうだ。俺はこれ以上は知らないぞ」


「邪神? 崇拝?」


 首を傾げる僕に、騎士は眉を寄せた。


「知らないのか」


「……はい」


「……はぁぁ。邪神崇拝ってのは我がローグ王国に昔からはびこる異教のことだ。たまに大きな問題を起こす。故に疑いが駆けられたらすぐに捕まるんだよ」


「……知りませんでした」


 そう伝えると、騎士も困ったように頭を掻いた。


「……そりゃ、運が悪かったな」


 運か。


 僕がここにいる理由が運だと言うならば、たったそれだけで僕はこんな理不尽な目にあっているのか。


 その時だった。


 地下牢へ降りてくる階段の方から足音が聞こえた。


 少し騒がしく、その人は騎士を伴って現れた。


「あぁ、いたいた。久し振りだね」


「あ……」


 僕はその人を見て、目を丸くした。


登場人物は一体誰なのでしょうか。

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