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書籍化【完結連載版】聖女の姉ですが、妹のための特殊魔石や特殊薬草の採取をやめたら、隣国の魔術師様の元で幸せになりました!  作者: かのん
第三章 外伝 アスラン

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外伝 アスラン 19

 先生がぼくをぜったいに裏切らないと言ってから、少し心が軽くなった。


 そして怒られたけれど家から追い出されなかったことで先生は本当に僕を裏切ることはないかもしれないとそう思うようになった。


「難しいな……」


 信じたいけれどそうたやすく信じ切ることも出来ず。


 僕はジャンのために先日のお茶会で見聞きしたことを全てまとめて書き綴った。あとはこれをジャンに届けてもらえばおしまいだ。


「先生曰く、友達だからといって全て受け入れ入れなければいけないと言うわけではない」


 怒られた点は二点。


 令嬢と身分を偽ってお茶会に参加したこと。


 自分で後先考えずに、ジャンに言われたとおりにしたこと。


 先生は、すごく真剣だった。


『アスラン、自ら考えることは大事なことだ。いいか、ちゃんと考え自らの答えを導き出すのだ』


 誰かに言われたとおりにするだけでは駄目だということを僕は学んだ。


 取り合えず、何かをする時には一度考えてからするように習慣づけていこうと思った。


 僕は、書きつづったノートをレイブンに楽しんでジャンの元へと届けてもらうようにお願いをした。


 それから魔術具を身に着けていたヴォルフガング嬢のことを思い出し、他の魔術師とはどんな人がいるのだろうかと気になった。


 その時、部屋をノックする音が響いた。


「はい」


「私だ。入ってもかまわないか?」


「先生? はい。どうぞ」


 扉を開けて部屋に先生が入ってくると、先生は神妙な面持ちで呟いた。


「アスラン、隣国であるレーベ王国へと向かうぞ」


「どうしたんですか?」


「……魔術師が不当に扱われていると言う情報が手に入った。隣国故に、内々に調査に向かうぞ。またヴォルフガング公爵の屋敷の魔術師は元々レーベ王国に在籍していたとの情報も入って来た。それについても調べようと考えている」


「僕も一緒に行っていいんですか?」


「あぁ。アスラン。いいか。魔術師はローグ王国では受け入れられてその地位を確立しようとしている。だがレーベ王国では違う」


「え?」


「レーベ王国は聖女を有する王国であり、魔術ではなく聖力を尊んでいる。故に、魔術師が不当に扱われることがあるのだ。それを内々に救いに行くぞ」


 僕はその言葉にうなずいた。


「はい。先生」


「よし、では支度を整えていこう」


 僕は先生の弟子として精一杯頑張ろうという気持ちで歩み始めたのだった。




 隣国レーベ王国には試験運行も兼ねて魔術具の転送装置であるポータルを利用することになった。


 転送先は、レーベ王国近くのローグ王国の領地だそうだ。


「このポータルは私が作ったのだ。さぁ行くぞ」


「はい」


 僕はポータルの魔術の術式と素材について後から聞こうとワクワクとしながらポータルに乗ったのであった。


 そしてついた瞬間、僕はぐらぐらと地面が揺れる感覚がしてふらついた。


「揺れます……」


「大丈夫か?」


「はい。少ししたら、大丈夫です」


 水を飲んだらだいぶ楽になった。


 それから僕達はレーベ王国へと入国申請し、中へと入ることとなった。


 ローグ王国とは違い、中に入ると聖女の色味が強い国だとよく分かった。


「先生、あれが神殿ですか」


「あぁ。我が国とは大分違う雰囲気だろう?」


「はい」


「さぁ、行くぞ」


 僕はうなずくと、先生と同じようにローブを深くかぶり道を歩いて行くと、前が上手く見えず、人にぶつかった。


 その少女はしりもちをつき、こちらを見上げながら慌てた様子で謝って来た。


「あ、ごめなさい!」


 僕は慌ててその少女の手を掴み立たせた。


「すまない」


「いいえ、こちらこそ!」


 花売りの少女なのだと思う。


 洋服はボロボロだけれど、その瞳はきらきらと輝いていて綺麗な深緑をほうふつとさせる色をしていた。


 少女はパンパンとスカートを叩くとこちらにへにゃりとした笑みを向ける。


「あなた、旅人さん?」


「え? あ、あぁ」


「やっぱり。ふふふ。じゃあ、レーベ王国に来てくれたお祝いにどうぞ」


「え?」


 僕の胸ポケットに、可愛らしい桃色の花を少女はさす。


「いい旅になりますように! じゃあ、私行くね! またね!」


「……うん」


 少女が走っていくのを見送って、僕は少し胸の奥がそわりとした。


「アスラン? どうした。逸れるぞ」


「あ、はい! すみません!」


 僕は慌ててそう言うと、走って先生に追いついた。


「その花どうしたんだ?」


「もらいました」


「……よかったな?」


「はい」 


 可愛らしい花だった。


 そして、なんとなくその少女のことが頭から離れなかった。


さぁ、この少女は誰でしょうか(/ω\)

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