14話
鳥ちゃんは師匠に向かって警戒した鳴き声を上げると、次の瞬間突然大きな姿へと変わり、大きな翼を広げた。
その瞬間、屋敷に仕掛けられていた魔術具がそれに反応したのか、けたたましいベルの音が鳴り響く。
私は驚きながら声を上げた。
「鳥ちゃん! 大丈夫だよ! この人は私の師匠で!」
「はっ! バカ鳥め! 小さくなって私のことも忘れたか! 珍獣の分際で私に楯突こうと言うのか! 受けて立つ!」
「師匠! 煽らないでくださいよ! というか、鳥ちゃんと師匠知り合いなんですか!? もう! 腰痛
いっていつも嘆いているくせにこういう時だけ若者気分で困りますよ!」
「はっ! たわけが。私は若い。言っておくがエルフではまだまだ若い方なのだ! とにかく大人しくし
ろ」
そう言うと師匠はローブの中から小瓶を取り出すと、それに特殊魔法石をぶつけて衝撃を超す。
次の瞬間小瓶から植物が伸びてくると鳥ちゃんの体に一瞬にして巻き付き、鳥ちゃんはボフンと小さくなると、ピヨピヨと鳴き声を上げた。
「あぁぁ。可哀そうに。師匠は容赦ないですからねぇ」
「ピヨ」
「……おい。お前なぁ。そいつは小鳥じゃないんだからな……っは。やっとお出ましか」
次の瞬間、部屋中の魔術が作動し始め、転移魔術でアスラン様が騎士と共に部屋へと現れると、師匠に向かって魔術の攻撃が始まった。
不法侵入者だと判断したのだろう。
師匠は楽しそうに笑い声を上げて、全ての魔術を身体能力と、特殊魔法石を使用し防いでいく。
「シェリー! 無事か!」
「アスラン様! 誤解です!」
次の瞬間、アスラン様は誤解だったことにいち早く気づき魔術を停止させる。
師匠はそれにつまらなさそうに肩をすくめる。
私は寝間着姿のままであったと慌ててベッドの横に置いてあったローブを取ってそれを羽織った。
するとそれに気がついた師匠がそれを見て驚いた顔をした。
「お前……まさか、恥じらっているのか?」
「し、師匠! 私だってその……一応、その女なんですよ」
師匠の背中をばしんと思わず叩きながらそう言うと、アスラン様と騎士達が呆然とした顔で私のことを見つめていた。
その後、私はアスラン様に状況を説明し、それらを把握したアスラン様は騎士達を下がらせた。
「シェリー。すまない」
アスラン様の声に私は首を横に振る。
「いいえ。こちらこそすみません……」
「いや、とにかく一度客間で話をしよう。シェリーは一度着替えを済ませるといい……」
寝巻姿のままではと、アスラン様は少し照れたように小さな声で呟き、私も照れつつうなずいた。
そして私は急いで着替えて客間へと移動をすると、温かな紅茶が机の上には置かれた。
「先ほどは失礼。シェリーの元へ、不法侵入者かと思い、申し訳ない」
「……」
師匠は無言でアスラン様をじっと見つめると、それから足と腕を組むとフンと鼻を鳴らした後に言った。
「私の弟子に色目を使う小童はお前か」
今までに聞いたことのない師匠の低い声に、私はびくりと肩を震わせて驚いたのであった。
今回少し短めですみません~(/ω\)








