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10話

 アスラン様は、魔術を使い早々に王城へとアイリーンの一件についてと、鳥について報告を送った。返事はすぐに着て、私達が王城に帰りつき次第話を聞きたいとのことであった。


 その日は山の中腹で一泊し、私達は明け方山を立ち、王城へと帰って来たのであった。


 帰って来れたのは、太陽がすでに登りきったころであり、私達は昼食を食べることもなく急ぎ国王陛下の待っている謁見の間へと向かったのであった。


 ジャン様の父上である国王陛下は、顎髭を生やしており、私とアスラン様が挨拶を述べようとしたがそれを止めるとすぐに、口を開いた。


「それが、発見された鳥か」


 アスラン様は国王陛下と話をする機会も多く二人の雰囲気は、殺伐したものではなく、仕事上の関係として良好なものが築かれているのが感じられた。


「はい。まだその生態については分かっておりませんが、聖女教が狙い手に入れようとした生き物であることに間違いはありません」


「なるほど……それで、アスラン。そなたはこれからどうすべきと考える?」


 国王陛下の言葉にアスラン様は少し言葉を選びながら、ゆっくりとした口調で言った。


「この鳥がどのような存在なのか、魔術塔で調べさせていただけないでしょうか」


「なるほど……だが、聖なる鳥であるとするならば、王国側で保護した方がいいとも思うが、どう考える?」


 王国側で保護するということは、魔術塔は一切関与することが出来なくなるであろう。


「現段階では無害に見える小さな鳥ですが、本来の力をもってすれば王城を破壊することも容易いかと思います。たしかに保護するべきとは思いますが。王城で保護するにはリスクもあるかと思います。その点魔術塔であれば、鳥に対処できる人間もそろっております」


「ふむ……なるほど」


 たしかに、王城内で鳥が暴れた場合は王城にかなりの被害が出る可能性がある。


 国王はうなずいたのちに、手で指示をすると鳥かごをもって侍従が現れる。


「わかった。では、一時だけこちらで保護しよう。神官が見たいと言っていたのでな。一度そちらへ。その後に魔術塔へと連れて行こう」


 アスラン様がうなずこうとした瞬間、鳥ちゃんが私の肩から飛び上がると、突如として殺気を放ち、声を上げた。


「ぴえぇぇぇぇぇぇ!」


 高周波のような音に、国王陛下は耳をふさぎ、鳥ちゃんは私の肩にとまりなおすと、鳴き声で鳥かごを破壊した。


 粉々になった鳥かごに、侍従は恐怖のあまりしりもちをつく。


 騎士達は剣を構えているが、アスラン様は焦る様子はなく、鳥の方へと視線を向けると尋ねた。


「あちらにはいきたくないと言うことか」


「ピヨ」


「ふむ……もしやシェリーと離れたくない?」


「ピヨ」


 二人の会話が成立しているようであった。


 国王陛下は眉間にしわを寄せると、アスラン様が言った。


「最初この鳥に会った時、一番最初に鳥が見たのはシェリーだったのです。もしかしたら刷り込みによって、シェリーを親だと思っているのかもしれません。それゆえ、シェリーから離れたくないのかと思います」


 その言葉になる程とうなずき、国王陛下は私の方を見ると言った。


「なるほど。……採取者シェリーよ。その鳥は重要な生き物の可能性が高い。命を懸けて世話ができるか?」


 命を懸けてと言う言葉に、私はごくりと息を呑む。


 だけれど、国王陛下の命令であれば従わなければならないだろう。


 最初は、働き生きていければどこでもいいと思っていた。だけれど、アスラン様と出会って、アスラン様と共に、魔術塔の皆と共にこの国で生きていきたいと思った。


 だからこそ、私は国王陛下の命に大きくうなずく。


「かしこまりました。命を懸けて、行わせていただきます」


 満足そうに国王はうなずくと言った。


「では鳥の管理を一時採取者シェリーに命じる。後ほど神官がそちらに鳥について見にいくことになるだろう。手はずを整えてやってくれ」


 アスランはうなずく。


「かしこまりました」


 私はほっとしつつ、その後はアイリーンの話題へと移った。


 やはりアイリーンは聖女教によって誘拐されており、現在行方不明となっていた。


 行方不明となったのはすでに一月も前のことであり、私はその間何故知らせてもらえなかったのだろうかとも思ったけれど、聖女教については本当に極秘に対処されているということであった。


 聖女に心から感謝するものはローグ王国でも多い。故に、その宗教が、世間一般に知れ渡り広がることを王国は恐れているのである。


 とにかくアイリーンについては今後も調査を続けていく旨で話しが纏まった。


 私とアスラン様はその後魔術塔へと帰ることになったのだけれど、一度屋敷へと戻り身支度を整えることとなった。


 数日間山の中を駆けていたので、かなり自分が汚いという自覚があったので、身支度を整えられることが嬉しくてたまらない。


 王城の長い廊下を歩いていると、帰って来たのだなぁという実感がわいてくる。


 そんな時、王城内で解放されている園庭には、貴族のご令嬢方が散策をしている姿が見られた。


 綺麗な人達だなと思っていると、くすくすという笑い声と共に、こちらに向けてくる視線に気がついた。


「アスラン様よ。はぁぁ。今日も素敵だわ」


「本当に。でも……ほら、あの子が最近アスラン様の採取者になったという方だわ。見てよあの恰好。同じ女だとは思えないわ」


「汚いわねぇ。アスラン様もあのような方が横にいては……はぁ、私が行ってお慰めしてあげたいわ」


 そんな声に、私は内心ドキリとした。


 確かに今の私はとてつもなく汚いと思う。なので、急に恥ずかしくなってくると、アスラン様が私の肩を抱いた。


 突然のことに驚いてアスラン様を見上げると、優しい微笑みが私に降り注ぐ。


「シェリー。ああいう戯言は聞くことはない。君はいつでも可愛らしい。自信を持っていい」


 女性達の悲鳴のようなものが聞こえてくる。


 私はじっとアスラン様を見上げて、この素敵な人の傍に私みたいなのがいるということは女性達にとっては納得できないことなのだろうなと思い、気合を入れる。


「大丈夫です! 私、アスラン様の採取者として、皆様に納得してもらえるように頑張りますから!」


 そう伝えると、アスラン様は一瞬驚いた顔を浮かべたのちに、小さく仕方がないなぁとでもいうようにため息をこぼす。


「あぁ。楽しみにしている」


「はいっ!」


 私とアスラン様は屋敷へと帰り、ほっと息をついた。とにかく今はお風呂に入りたいと思っているとアスラン様が言った。


「シェリー準備ができ次第でいい。後ほど魔術塔で会おう」


「はい。分かりました」


「鳥を少しいいか?」


「はい」


 鳥を両手に乗せてアスラン様に見せると、アスラン様は鳥の周りに魔術を施していく。


「簡易の魔術を駆けた。とりあえずこれでしばらくは何かがあっても大人しくしているだろう。シェリー。では後ほど」


「はい。後ほど」


 私とアスラン様はその後一度屋敷の中で分かれた。


 私が部屋に帰ると、部屋に備え付けられているお風呂がすでに入れるように準備してあり、私は感謝の声を上げた。


「ありがとうございます!」


 侍女さん達は優しく微笑み、私は優しいなぁと思いながら一目散にお風呂場へと向かったのであった。


 とにかく体をしっかりと洗い流したい。


 そう思っていると、洋服を脱いでいる最中も鳥ちゃんが一緒にいた。


「一緒に入る?」


 せっかくなので、汚れや虫がついていないか確認しながらお風呂に入ろうと、私はそう思ったのであった。


ちょっとした呟き(●´ω`●)深い意味はないです~。

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本当にありがたいことだなと思い、日々感謝です。

また編集様やイラストレーター様、装丁の方々が優秀で素晴らしい方なので、紙の本を手にする時はいつも感動で、献本を眺めながらわぁぁこんなに素敵な本!すごい!と飛び跳ねて喜びます。

いつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。

私が今日も小説を書けるのは読んでくださる皆様がいるからです。

私に、生きる希望を与えてくださるん皆様に、心からの感謝を。


5月7日!2巻発売します(´∀`*)ウフフ

よろしくお願いいたしますー!!!!



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