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妄想短編集

眠りたい姫

作者: トロピカルサンド







『あなたの好きなように生きていいのよ』


今もベットの中でいつものように

「あ”〜〜〜〜〜〜〜」と言いながら

ごろごろしている少女の頭の中で

暖かい声で言う女性の優しい声がまどろみの中で聞こえた










「あ〜〜〜

 なんか懐かしい夢見たなぁ〜〜」


そう言いながら

少女はベットの中で覚醒する


「・・・・ま

 あの言葉があるから

 こうやって好きなように

 生きてるんだけどなぁ

 

 みんなからは

 『母親が死んだから

  あんな風になったんだ』

 なんて思われてるからなんとも言われないし・・・・

 いや 一人うるさい奴がいたね・・・」


「御嬢ーーさまーーーー!」


「今日も来たのね・・・」


そう言いながら

ドアに背を向けるいつもの態勢をとり

いつも通り嵐が過ぎ去るのを待つ



「お嬢様!今日もいい天気ですよ!」


嘘だ

今は梅雨の時期で

外はジャージャー降りだ

コツコツとガラスに当たる

雨の音がベットの中からでも聞こえてくる


「お嬢様!外に出て御散歩に生きませんか!」


無理だ

雨の中で散歩なんてすると

びしゃびしゃになる

母さまに叱られるだろう


「お嬢様!お屋敷の中にはたくさんの芸術作品があるんですね!

 私こんないっぱい初めて見ました!

 お嬢様も見てみましょう!!」


うるさい

絵なんか母さまにいっぱい見せてもらった

ほら お前がしつこいから

顔が雨でぬれて来た


布団を頭まで被って

雨が来ないようにしないと


拭いても拭いても

雨が止まらないじゃない


あなたのせいよ!

もう来ないで!

そう言いたいのに

何かが詰まって声には出ない


やがて諦めたのか

ドアの向こう側から

使用人の気配が消えた


ほら彼女がいなくなったら

雨がだんだんおさまって来た

彼女が悪いんだ

あの声でこんなことするから・・・

私は好きでここにいるのに












私は栄光ある

公爵家のエルトリア家の

メイドをさせていただいております


エルトリア家には旦那さまの他に

お二人のお子様と亡くなられた奥様がいらっしゃいます


嫡男さまは旦那さまに公爵位の継承のため

せっつかれて早くに奥様が亡くなられたショックから立ち直られたそうですが

お嬢様の方はかなり奥様になついておられたようで

ショックからまだ立ち直られていないようです

いつも自室に閉じ込もられています


そんなお嬢様の専属に私がやらせていただいております


私の声が亡くなられた奥様の声に似ているらしく

それで話しかけたらなんとかならないかと

つけられたようです


お嬢様は前はしっかりとした声で

私は好きでここにいるとはっきりした声で返事なされていましたが

最近私が奥様とお嬢様がお二人でなさっていたことをしようと提案してみると

それまで元気だったのが嘘のように

返事がしなくなりました


さすがに心配したのですが

ドア越しから

泣いているような声がしているので

大丈夫でしょう


はぁ〜〜しかしなんとかならないものでしょうか・・・

昔は活発な少女だったそうなのですが・・・

奥様が亡くなってから

ずっとあのような様子で

相当ショックだったのでしょうと

もっぱらの噂です






こればかりは部外者がやるものではないでしょうから

ご自身でなんとか乗り越えてほしいものです

もちろん手助けはさせていただきますが









読んでくださりありがとうございます


僕は眠るように死にたいです


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