表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人自動販売機  作者: howari
1/2

1

僕はどちらかというと冴えない男だ。


特に顔も性格もよくない。


普通以下に分類する。


だから、人生なんて上手くいった試しがない。



スーツをだらしなく着こなし、ビールの入ったビニール袋を提げながら夜道を歩く。夜の街にはたくさんのカップル。仲良さげに手を繋いで、寄り添って。そんな奴らに嫌気がさして、深い溜め息を吐く。


雑踏を早足で抜け、ひと気ない一本道の先に人の行列が見えた。何だろう。スーツ姿の背中が、ズラリと街灯から浮かび上がる。飲み屋に並んでいるのか?

僕は興味本位でその列に近づいて行った。



その列の一番前には、自動販売機があった。

 

真っ白いツヤツヤの自動販売機。

「恋人自動販売機、今なら1980円!」

と書いてある。



恋人自動販売機?



並んでいる人たちは順に、お札を入れ好みのボタンを押し、出てきた赤色のカプセルを大事そうに抱えて帰って行っている。

あのカプセルの中に女の人のフィギュアでも入っているのだろうか。それを恋人と思え、という事だろうか。


僕の前の人の順番が回ってきたので、その自動販売機の商品の種類を見てみる。5種類ある。左から

「可愛い」「美人」「優しい」「女王様」

一番右は

「シークレット」


好みに合わせて買え、という事か?

前の少しぽっちゃりな男は右から二番目の

「女王様」のボタンを押した。僕は、ぷっと吐き出しそうになったのを必死で堪えた。

前の男は帰宅してから、女王様のフィギュアと遊ぶんだろうなぁと思うと口元が緩んだ。

ようやく僕の番だ。


自動販売機を見上げる。でも、完売ばかりでもう1種類しか残っていなかった。

一番右の「シークレット」

よく、残り物には福があるとか言う。仕方なく、僕は残り一つのボタンを押した。すると、すぐ〝完売〟が点灯した。

ガラン!とカプセルが落ち、拾い上げると金色のカプセルだった。福引とかでアタリが出ると出てくる金色の玉みたいだ。



ラッキー?アンラッキー?



僕はカプセルをポケットに仕舞い、ルンルン気分で家路を急いだ。

怪しく灯る街灯が伸びた影を照らしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ