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第6章~試験2日目の妨害行為~

 試験2日目の7日、火曜日。サンガンピュールは学校の校門前で前日と同じプジョーの黒いセダンをみかけた。しかも、カーナンバーまで同じだった。

 セベール「おい、今日こそは仕留めるぞ!・・・寝るなよ?」

 ワスピーター「分かってるよ」

 今度はパッチリと起きていた。そして仲間だろうか、別のワゴン車が1台到着。乗っていた男たち4人と打ち合わせを始めた。しばらく経った後、

 セベール「よし、行動開始!」

 ワスピーター「よし!」

 計6人はワゴン車の後ろのトランクを開けて何やら赤い物体を取り出し始めた。



 10時26分、2時間目の美術の試験終了直後のことだった。校門の近くで異変が起こった。


 「ガシャーーーーン!!!」


 職員室、3年3組教室、そして長谷川美嘉のいる2年3組教室に謎の赤い物体がミサイルのように飛んできた。2年3組教室では窓ガラスが粉々になって散らばっていて危険な状態になった。次の瞬間。


 美嘉「う・・・いやぁぁぁぁっ!!!」


 隣の2年2組教室で美術の試験を終えたサンガンピュールと岩本あずみ、長谷川エレンの3人が急いで3組教室に向かった。するとそこでは、美嘉が切り傷による出血で苦しんでいた。大きなガラス片が美嘉の制服を切り裂いた。黒いセーラー服の左袖と、着込んでいたセーター、ワイシャツをも切り裂き、左腕の皮膚が5センチほど切られてしまっていた。それによる創傷で左腕からポタポタと出血が続いていた。

 何者かわからないが、不気味な集団が校庭にいることはほぼ全校生徒・職員の知るところとなった。しばらくして教頭による構内放送が流れ、みだりに校舎の外に出ないようにとのアナウンスがあった。

 あずみ「これは・・・消火器?」

 赤い物体の正体は消火器だった。ちらっと見たところ、「昭和54年製造」というシールが貼られていた。かなり古いものである。製造から20年以上が経過して圧力に弱くなった消火器が、ボンベの中の空気圧に耐えられなくなってしまっていた。そこで安全ピンを抜き、消火作業と同様のやり方でレバーを押すと消火器本体が宙を舞い、人に当たったら死ぬ可能性が出て来る。ひるんだところでワスピーターとセベールが怪人・ニュートリノの戦士を投入し、さらにドンレミ騎士団と協力関係にある暴力団「杉山組」のギャング4人を動員してサンガンピュール捕獲を狙う。これがドンレミ騎士団のセベールが中心となって立てた作戦だ。

 ワスピーター「定期テストを受けたくないという君達の望みを!」

 セベール「倍にして叶えてやる!」

 ワスピーター「行けっ、同志・ザンギュラ!」

 セベール「同志・ウリアッジョー!」


 2体「我は世界の真の平和を守る、ニュートリノの戦士!」

 「ザンギュラ!」

 「ウリアッジョー!」

 筋肉隆々のプロレスラーを連想させる2体の怪人、そして杉山組のギャングが学校に乱入したことで学校内はパニック状態になった。


 サンガンピュールとあずみが負傷した美嘉を抱えながら保健室にやってきた。とりあえず、養護教諭に彼女の応急手当を任せると同時にサンガンピュールは決意した。

 サンガンピュール「あたし、行かなきゃ!」

 彼女の正体を1年前に察したあずみは快く送り出した。

 あずみ「気を付けてね、ゆうこちゃん!」

 サンガンピュールは駆け足で廊下を走り、変身道具が入ったかばんを途中の掃除箱から拾いながら女子トイレに向かった。

 しばらくしてあずみも保健室に出て教室に戻ろうとしたものの、サンガンピュールがどうなっているのか、現場はどうなっているのか、やはり心配だった。そこで2階にある自分の教室には戻らず、昇降口に向かった。ところがその途中、あずみは面倒くさい教師に出会ってしまった。


 玉木先生「岩本、こんなところで何してる?」


 生徒指導担当でもある体育教師の玉木だった。彼は3年生の体育の授業を担当していたため、サンガンピュール、あずみら2年生とは普段の授業での接点は無いが、あずみが生徒会役員になってから話をすることが多くなった。

 あずみ「玄関の様子を見に行くんです!私の大切な人が心配なんです!」

 自分の本音をそのまま伝えた。しかし、

 玉木先生「岩本、お前も教室で待ってろ!」

 厳しい口調で忠告されたが、それでも時には一部同級生から非難されている強引さで自分の意見を通した。

 あずみ「私は生徒会役員として、生徒のみんなを守る義務があります!」

 玉木先生「じゃあ尚更校舎の外には出るな!お前の命が一番大切だ!」


 あずみ「・・・私のことを考えてくれて、ありがとうございます。・・・ただ・・・今は私のわがままを聞いて下さい!」


 玉木先生の忠告を無視する形となった。彼女は廊下を掛け巡り、サンガンピュールの元へ突っ走った。これに玉木先生は憤慨。

 玉木先生「どうなっても知らんぞ!分を弁えろ、たかが生徒が!」

 生徒指導担当という立場からか、つい暴言を吐いてしまった。

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