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異世界に来た俺はチート能力があって魔王に会った瞬間倒した。  作者: ライトニングブロッカー 教
第五章 新約・異世界転生の章。
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第14話 外伝。リーナ

『アナザーサイドエピソードストーリー物語エピソードサイドストーリー』


 ~ リーナ編 ~



 私はリーナ。


 岩に刺さった勇者の剣を抜いたら、勇者になった。


 はじめは「私が勇者!?」って思ったけど、


 フン! 


 しかたないので勇者をしてあげてるわ。





 なんやかんやあって、ラントに引っ越すことになった。


 そして、引っ越しの道中で護衛のみんなとはぐれて、森で迷子になった。


「・・・どうしよう」


 森で一人だけになった。


 とりあえず、森を歩いていた。


 すると、物音が聞こえてきた。


「えい! やあ! とお!」


 男の子が木を殴ったり、蹴ったりしている。


「ごめんなさい。少しいいかしら」


「わあ! 君、誰!?」


「私はリーナ。森で迷子になったの」


「ボクはアレス。森で迷子になったなんて大変だね」


「そうなの」


「それじゃ、がんばってね!」


「ちょおま! 助けなさいよ!」


「え!? なんで!?」


「なんで!? ってなんでよ!」


「分かったよ。でも、もう少しで終わるから待っててよ」


「? ええ、しかたないわね。分かったわよ。フン」


 リーナは少し離れた木にもたれて、アレスの様子を見ていた。


 アレスは木にガンガン攻撃している。


「アレス、さっきから何しているの?」


「特訓だよ」


「特訓?」


「うん。木を一億発たたいてる」


「何でよ?」


「強くなりたいから」


「ふーん。そうなの」


「もう少し待ってて、今99938発目だから」


「分かったわ」


 アレスは汗を流しながら、木をたたいている。


 リーナは思った。


 このホーリーブレイブブレイバーを抜いた私なら、能力で一発で木を折れる。


「アレス、能力は使わないの?」


「・・・」


「どうしたのよ?」


「ボクは能力が使えないんだ」


「なんで?」


「無能力なんだ」


「え!?」


 無能力!? そんなの聞いたことが無い。


 フィーアルネシアに住む人は、能力を所持していて当たり前だと思っていた。


 世の中には無能力なんて人もいるんだ。


 大変そうだな。


「変なことを聞いたわね。ごめんなさい」


「謝る必要なんてないよ」


「え?」




「ボクは思ってるんだ。能力や才能で、人の価値は決まらないって」




 私は大きく目を見開いた。


 泥にまみれて少年のように笑う姿は輝いて見えた。




 アレスが動きを止める。


「ふー。一億発たたき終わったよ」


「休憩してからでいいから、道案内をお願いするわ」


「すぐで大丈夫だよ」


「疲れてないの?」


「これも訓練のうちさ!」


 アレスは絶対疲れてるだろうに、胸を張って、森をずんずん進んでいく。


「頼もしいじゃない」


「一緒にいられたら、訓練の邪魔だからね」


「ちょおま! なんですって!?」


「ははは! 冗談だよ!」


「ホントでしょうね!?」


 アレスとリーナは楽しく会話しながら森を進んだ。





「しっ! リーナ、静かにして!」


「どうしたの!?」


 アレスは指さした。


 遠くに熊のモンスターがいる。


「あれはクーマグリズリーベアー。この森のぬしだ。パンチ一発で岩を砕くほどのパンチ力がある。殴られたら絶対に助からないよ。」


「倒す?」


「無理に決まってるでしょ! 頭大丈夫なの!? バレないように迂回して行くよ!」


「分かったわ」


 あの程度のモンスターなら、私なら簡単に倒せるけど、ここはアレスの言うことを素直に聞くことにした。


 息をひそめて歩く。



 パキッ。



 枝を踏んでしまった。


「しまったわ!」


 クーマグリズリーベアーがこっちを振り返る。


「見つかった! 急いで逃げよう!」


 クーマグリズリーベアーがすごいスピードでこっちに来て、追いつかれる。


 こうなったら戦うしかない!


 私は背中の勇者の剣ホーリーブレイブブレイバーを握った。


 グーマグリズリーベアーのパンチが来る。


「危ない!」


 アレスがリーナを庇って、クーマグリズリーベアーのパンチを受けた。


 バゴオオオオン! ボキボキボキボキ!


「グアアアアアア!」


 すごい骨の折れる音がした。


「アレス、大丈夫!?」


 アレスはすごい血を吐いて倒れた。


「すごいケガ!」


「ゲハッ! ゲハッ! ゲハッ!」


 アレスはすごい血を吐く。


「アレス、大丈夫!?」


 クーマグリズリーベアーが近づいてくる。


「・・・大丈夫」


「アレスッ!?」


 アレスは立ち上がる。


 クーマグリズリーベアーからリーナを庇うように立った。



「・・・心配しないで」


 アレスは手を広げ、クーマグリズリーベアーを睨む。


「リーナはボクが守るッ!」


「アレスには無理よ! 無能力なんでしょ!」


「黙れえええええッ!!!!!!!」




 アレスが叫んだ。




「才能や能力で、人の価値は決まらない! ボクが証明するんだ! ボクが絶対に証明して見せるッ!!!」




 アレスはクーマグリズリーベアーを強く睨む。


 クーマグリズリーベアーは動きを止め、振り返り、森に去って行った。




 アレスは倒れた。


「アレスッ!」


 アレスはすごい血を出している。


「すぐに街に連れて行くわ! それまで頑張って! 強化の超能力!」


 リーナはアレスを抱き、まっすぐ進み、3秒ぐらいで街に着いた。





「ここは?」


「アレス、もう大丈夫だよ」


 アレスは病院のベッドにいた。


 どうやら助かったみたいだ。


「先生、ありがとうございます」


「アレス、感謝はリーナ様にしてあげてくれ。ずっとアレスの看病をしてくれてたんだよ」


「・・・リーナ・・・様?」


 アレスのベッドのそばで、リーナが眠っていた。


「そうだよ。その方はリーナ様。この街に引っ越しされた勇者様だ」


「・・・・・・勇者・・・・・・様」


「勇者の剣を所持し、優れた能力を操る、とても価値の高い人なんだ。アレスも失礼のないようにね」


「・・・・・・」





 病室にはアレスとリーナの二人だけだ。


 時間がたち、窓からオレンジ色の夕陽がさしている。


「・・・あ、寝てた」


「起きたんだね」


「アレス! 大丈夫なの!?」


「はい。リーナ様、助けてくださいまして、ありがとうございます」


 アレスは頭を下げた。





 私はショックを受けた。


 油断したら、目から涙が流れそうだ。





「・・・な、なんで、急に、そ、そんな、言い方したり、するの?」


「勇者様と知らず、失礼な態度を取ってしまいました。今まで申し訳ありませんでした」


「や、やめてよ。わ、私と、ア、アレスの仲じゃない。や、やめようよ。そういうのさあ」


「・・・ですが」


「やめてって言ってるでしょッ!!!!!!」






 私は泣いてしまった。


 涙は止めようとしても、止まらなかった。


 でも、本当に嫌だった。


 アレスにそんな風にされるのは、泣いてしまうぐらい、嫌だった。






「さっきみたいに、普通にリーナって言いなさいよ!」


「・・・ですが」





「アレス、言ったよね!? 才能や能力で、人の価値は決まらないって! だったら、私にも才能や能力で、私の価値を決めないでッ!!!!!」





 アレスは歯を食いしばり、ため息をついた。





「・・・分かったよ。リーナ」


「アレスッ!!!」


 私は花開くような笑顔になってしまった。


 胸がすごく温かくなる。


 うれしいかった。


「それじゃ、ボクをアレス様って呼んでよ」


「ちょおま! どうしてよ!?」


「なんとなく」


「な、なんとなくで!?」


「うん」


「言うわけないでしょ!」


「しかたない。それじゃ、ボクも普通にアレスって呼んでよ、リーナ」




 私は大きく目を見開いた。





 傷だらけで少年のように笑うアレスを見る。






 私がはじめて好きになった人を。





 夕陽に染まる病室には、二人の笑い声が響いていた。

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