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第10話 優しい風が。
巨大な炎の魔法が隕石のように、落ちてくる。
「さあ、ハッピーバースデイテューユーしなさいッ!!!」
「うわあああ!」
「そんなあああ!」
些天意の双眸の朱の六亡星が輝く。
「イレイザーストリーム」
キラキラ光る優しい微風が流れ、巨大な炎の魔法が、溶けるように消えた。
「そ、そんなッ!!! わ、私の最大魔法であるロストプロミネンス・ディ・バースデイを、いとも簡単に吹き消すなんてッ!!!」
スーツ女は血の気が引いた顔で、尻餅をつく。
そして、強力な魔法を使った代償なのか、
気を失って、仰向けに倒れた。
些天意の両目が、普通に戻る。
「ごっめんね~! あたしの誕生日って、実は今日じゃなかったりするんだよね~! てへぺろ!」
シュピーン!
些天意がウインクしながら、目の横でピースする。
「ついでに、誕生日っていつだ?」
「ひ・み・つ!」
それ、好きだよな。