第5話 つながり
蝉の声が煩く聞こえるある日の放課後。
今日は夏休み前の部会であるので、私は部活の先輩に、最近名前を知ることのできた、秋川悠人先輩のことを聞いてみることにした。他の部員を待ってる空き時間に、声をかけた。
「あの、先輩、今お時間よろしいでしょうか?」
「んー?別に大丈夫だよ」
と言われたので、失礼しますと言って隣にある椅子に腰を掛けた。自分で言うのもあれだが、私は目上の人に対する態度はしっかりとできていると思う。
「えっと、秋川悠人って人のことわかりますか?」
「もちろんだよ」
その先輩は、よく悠人先輩をよく知る人であった。ひと通り話を聞いた。そして私の目を見て口を開いた。
「あっ、もしかして、悠人のこと好きなの?」
竹原翔太というその先輩には、私の気持ちがバレていたらしく、小悪魔っぽい笑顔で聞いてきた。
私は顔の温度が上がって恥ずかしさのあまり、俯いてしまう。
「...へぇ。やっぱりかぁ。」
「そ、そうなんです...」
小声にまでなってしまった私はまるで茹で上がったタマゴのようだった。
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今日の部会のときに、後輩の櫻井あかりが俺に話しかけてきた。聞かれたことは予想通り、秋川悠人のこと。
彼女には、悠人と俺がどういう関係なのか、彼がどんな人なのかをざっくりと話した。
話しているだけだと面白くないので、少しいじってやろうと思ったその瞬間に、彼女に、「もしかして、悠人のことが好きなの?」と聞いていた。
図星だった。
彼女は赤面をして俯いて、小声で、「そうなんです...」と呟いた。
そんな姿が俺の目には可愛らしく映っていたのは、なぜだろう。
俺は帰宅してから彼女にLINEで悠人の連絡先を送った。何度もお礼を言ってきたのは、すごい嬉しかったからだろう。