第4話 彼女を知る者
俺は、名も知らない後輩女子のことを友達の竹原翔太に聞くことにした。
彼は、幼稚園のころから俺と一緒にいて、今では親友みたいな存在だ。現在は隣のクラスで学級委員を務めているらしい。
あいつは、たくさんの人を知っているので彼女のことも知っているかもしれないと思った。
次の日、学校へ行くと翔太は既に着ていたので真っ先に話しかけた。
「なぁ、聞きたいことがあるんだけど聞いてもいい?」
「何?」
翔太はいつもどおりの感じでブレることなく対応した。
「俺が昨年の体育祭の後に話しかけられた後輩女子のこと知ってる?」
「あー、あの子は俺と同じ部活の子だよ。その子がどうしたの?」
竹原とあの子が同じ部活だなんて意外だ。
「そ、そうなんだ。で、その子の名前は?」
「櫻井あかり」
「なるほど。やっと彼女の名前がわかったよ。」
あの謎の後輩は櫻井あかりっていうのか。俺はあの子少し苦手かもしれない。
「聞きたいことはそれだけ?」
「うん、ありがとさん」
「そうそう、あの子は悠人のことが好きらしいよ」
ほう、やっぱりか。
話終えると俺は自席へ戻った。
多分、俺は櫻井あかりが思っているほど良い人間じゃない。彼女は俺の表面上のことしか知らないから、きっとそれで好きになったのだらう。本当の俺を知ったら彼女は平気で離れていくだろう。だから次会ったとき、もう関わらないようにしてほしい、とあの子に伝えよう。