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第3話 きっかけ

今日も先輩を校内で見た。けれど、話しかける勇気がなくて全然声をかけられない。

変なやつって思われたらどうしよう、キモいって思われたらどうしよう、って。少し怖い。

先輩のことを考えながら、下校する私は珍しくひとりぼっちだ。友達は今日はみんな部活があって忙しいらしい。


顔を上げると、数メートル前にあの先輩が歩いているのが見えた。彼も珍しくひとりで下校している。今日は部活が休みなのかな。


(話しかけるなら今がチャンス!、なのに、勇気が出ないよ...。)


私は心の中で呟きながらも、気づかれないように後ろから先輩に近づいた。先輩はこちらの気配に気づくこともないような様子で振り向いていない。

どんどん距離を近づけていき、わずか数メートルになったとき、私は話しかけないとこの先二度とこんなことはないかもしれないと思って勇気を出した。


「こんにちは!先輩、私のこと覚えてます?」

後ろから飛び出したように私が先輩の前に現れると、彼はまた驚いたと思うけど、そのような様子は見せなかった。

「あぁ、以前1度だけ話したことあるよね、多分。」

「覚えていたんですね!ありがとうございます!」

私のことを覚えてくれていた嬉しさでつい声が大きくなってしまった。

「うん、あれから全く話さないから少し気になってた。」

「まじですか笑」


先輩と一緒に歩いて帰る道はとても青春と言えるものだった。

初めてこんなに話した。勇気を出してよかった。

会話は途切れてしまったけど、私の心臓はまだドキドキしている。


これは恋なのだろう。今だからこそ確信できる。


「あ、俺の家こっちなんで」

「少しだけ話してくれてありがとうございました!」

先輩の家は私の家に近くだった。帰り道で別れてから徒歩3分ほど歩くと私の自宅に着いたから。


あ、先輩の名前まだ聞いてない。しまったと思った私は近いうちに彼に名前を聞きに行くことに決めた。名前を聞くだけならそんなにドキドキしないはず。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


今日も学校内であの後輩の姿を目にした。しかも、帰り道で話しかけられたのだ。後ろから急に飛び出してきたから驚いたけど、 彼女にバレないように振舞った。


「こんにちは!先輩私のこと覚えてます?」


いつもより明るい彼女は少し無理をしているように見えた。俺のことを寂しい奴だとか思われてんのかな。


「あぁ、以前1度だけ話したことあるよね、多分。」

「覚えてくれていたんですね!ありがとうございます!」


すると、彼女は嬉しそうにしていた。

どうして俺に話しかけてきたのだろうか。謎だ。まぁ暇つぶしになるから嫌ではないが。名前も知らないのによく話しかけてきたよね。


「うん、あれから全く話さないから気になってた。」

(だって体育祭の日に何の接点もない女子に話しかけられたんだよ?気にならない筈がなくない?)

「まじですか笑」


彼女がそう言うと、俺は頷いた。そこで会話は終了した。無言でいるのも気まずいので歩くペースを少しあげた。


「あ、俺の家こっちなんで」

「少しだけ話してくれてありがとうございました!」

お礼を言うほどじゃない、と思った。俺は歩くペースを変えずに自宅の方へ向かった。



あの子は一体誰なんだろう。


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