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悪役キャラ⁉︎なんの話?  作者: 黒黒
一章
6/42

6話アメリア・フォン・カーティス

アメリア視点です。

私の名はアメリア・フォン・カーティス。バング王国カーティス公爵家の次女として生まれた。

代々カーティス家は国家防衛の要的存在だ。精霊の力を借り、自身の魔力を注ぎ込んだ魔石を使って魔法障壁を作り出す。家は代々妖精に愛された血筋なので、精霊の加護持ちだ。加護持ちの魔力と精霊の力が合わさって始めてできる。だから、代々国家防衛をしている。さらに私の先祖には王家の血筋が入ってることから、代々公爵家なのだ。


今、私の家は父様と母様、長男、私、三男で暮らしている。次男は防衛壁管理のために別の都市にいて、長女は防衛管理も含めて嫁いでいった。私はこの家で唯一、精霊の加護がない。だから、防衛には無縁だ。だからか、母様からは、いつもせめて家のための婚約をするようにと言われている。


そんな私には誰にも言えない秘密がある。


私は前世の記憶がある。8歳の時に高熱を出し、寝込んでいた。その時に夢で、何度も前世の夢を見た。と言っても、断片的で、名前は守谷楓。家族構成は覚えているが、顔が見えなかった。他には結婚したかった人を覚えている。付き合ってる時に彼が死んでしまった。私の目の前で。


それ以外の記憶は夢中でやってたゲームの画面と、ストーリー。そして気づいた、ここが大好きだった乙女ゲーム「戦場に咲くアフェクション」の世界ということ。私はそのゲーム内で主人公を陥れようとする悪役令嬢なのだと。このゲーム本当に鬼畜で、乙女ゲームなのに重要キャラ達が簡単に死ぬ。


攻略キャラによるが、バッドエンドはだいたい全滅。もしくは奴隷落ち(主人公のみ。攻略キャラは全員死亡。逆もある)あとは、攻略キャラと婚約後、そのキャラが死亡した時点でバッドエンドで終了。ハッピーエンドでも選んだ攻略キャラ以外のキャラが誰かしらは死ぬ。王子様とのトゥルーエンドのみ、皆生きている。ただ、条件が、王子様と主人公の戦闘レベル+親密度がMAXで最後の決戦に勝つこと。あれはキツかった。因みに助かるのは、私も含まれる。兵隊にはなってしまうが。ただそれ以外は全て死亡確定だ。


ゲーム性は学園編と戦争編の二部構成。攻略対象は学園内が5人。戦争編に3人だ。学園編で愛を育みながら、戦闘スキルをあげる。卒業同時に婚約、もしくは全キャラ親密度50%以上をできれば戦争編へ!戦争編は戦争の勝利と婚約から結婚に出来たらクリア。戦争編での対象キャラの3人は学園編全キャラの親密度50%成功で出現する。RPG要素もてんこ盛りだった。女の子にはキツイよ。まあ、私としては彼氏に相談しながら2人で楽しめたから良かったけど。死んだ彼との思い出もあったからハマっていた。


そんな世界でも悪役令嬢転生したことで最初は喜んだ。よくあるラノベ的なかんじだと、いい子にしておけば、死亡フラグを回避して王子様と結婚!!だから今世こそ幸せになると意気込んだ。が、そう上手くいっていない。前世の人格が良いように影響されていない。アメリアの悪いとこだけ残ってる。使用人に注意のつもりが、急に感情が高まって怒り叫び罵ったり、お願いをして、ダメと言われたら怒りがふつふつとでてきて、駄々こねてしまったり。


ただ努力もあって、なんとか外面だけは上手くいった。知り合いのお茶会にお母様といった際には、令嬢としてふるまれたと思う。我儘は言ってないし、威張らないように気をつけた。外では何故かなんとか出来た。その甲斐もあって、友達もできたし、父様からも外では良い子なのにって溜息をはかれたことがあるから成功していると思っていい。


そして、とうとう第一防衛戦の日になった。悪い性格を完全には抑えられない。このままでは到底、王子様は無理!不安要素がありすぎる。だから、王子婚約前に別の人と婚約を考えたのだ。ここで正式に婚約しちゃえば後は戦争になるのをくいとめるか、戦争に向けて準備する。戦争には実感湧いてないけど‥‥。それなのに、なんで相手が悪役キャラ!?ってか、クルトって貴族だったんだね。それも、伯爵!?知らなかったよ。ただ、このクルト、殆どのストーリーで最前線に配備された私が、彼率いる魔軍隊に攻め込まれて死ぬんですけど‥‥。


でも確かに小さい頃から遊んでたけど、ザ・我儘的な人物だよ。まあ、顔は良いんだけどね。前世の彼にクルトに似てるって言ったら嫌がられたな〜。冗談で銀髪にすれば、な〜んて言っちゃって…。


元々は婚約前提で遊びに行かされてたと、知らされた。いや、知らないよ!そんなの、ゲームになかったし。

ただ、いい点はある。レイチェルだ。ある日レイチェルに怒られた。メイドに怒られたことなんか無かったから、同じように抑えられなかった。ただ、あの人の弁解を素直に聞けた。不思議だった。イライラから、好意にすぐ切り替わった。だから強く思った私がまともになるにはレイチェルが必要だと。


そのレイチェルがヴィッシャー家に戻ったことがおかしい。

ゲーム内では追い出され、奴隷に落ち、虐待の上亡くなってしまう。彼女は彼の実の母親。学園三年目に、真実を知った彼は怒り狂い、自身の家族を皆殺しにして国外逃亡。更に戦争開始後、敵の将軍として現れる。それを知っていたから、追い出されたと聞いてすぐに使いをだした。まさかヴィッシャー家に戻るとは思ってもみなかった。ストーリーからだいぶ、ズレてるんだよねー。もしかして、彼も同じ転生者なのかな?私がしたことで変化が起きただけかな?

まあ、今日これから行くんだから、確かめよう。


「ゼハル!準備の方、できまして?」


「はい、お嬢様。準備出来ております。朝食の用意も出来ていましたので、間もなく来るかと。」


「わかりましたわ。お食事後、すぐ出発しますから、そのつもりで。」


「はい。かしこまりました。」


なんかセバルの顔がいつも以上にニコニコしてる気がする。いつもニコ顔だが、私がクルト様に直ぐに会いたいと懇願してから機嫌がすこぶる良い。別にクルト様のことは好きじゃないからね。ただレイチェルは私の腐った根性を黙らせてくれた唯一の存在。破滅するくらいならまだ、マシだ。なんとか結婚までいきたい。いい子に変わってないかなー。顔は良いのになー。レイチェルが戻ってるんだし、ちょっと期待はしている。


準備を整えて、馬車に乗り込んだ。

それにしても、私なんかがどうして、王子と婚約することになるんだろう?妖精の加護ないし。軍隊に入るくらいだから潜在能力は高いんだろうけど。ゲームでは何も説明無かった。まあ、父様も反対してくれて、協力してくれている。本当に良かった。

考え事をしている間にヴィッシャー家についた。


さあ、いざ!!心の中だけで気合をいれて、私は馬車を降りた。ただ、タイミングが悪かったらしい。家族会議をしているみたいで、彼の部屋に案内されてしまった。2年ぶりだ。なんか懐かしいー。ついてくれていたメリッサがバルコニーでお茶を勧めてくれて、時間潰しをバルコニーで過ごした。


しばらくして、部屋から声が聞こえてきた。戻ってきたみたいだ。しばらく待った。来る気配がない。知らされてない?そう思った瞬間、ちょっといたずらしたくなった。見られないように窓に近づいて話に耳を傾ける。どうやら私の話をしてるみたいだ。たった数年会ってなかっただけなのに、彼は少し男らしくなった気がする、それにレイチェルと和気藹々と話をしていて、表情を、コロコロ変えている。少しの間見惚れてしまった。

我に返り、彼が、私が怒ってるだろうなーと言った瞬間、いまだと思った。勢いよく窓を開いて部屋へと入った。  

 

「勿論ですわ。」


自分の声が響き渡る。彼は驚いて、椅子からずれ落ちそうだった。お笑いの喜劇でありそうな見事なズリでした。私はゼハルに注意されながら、笑いを必死に堪えて、挨拶をした。


わざとではないが、弁解してる途中、挨拶をするのを忘れていたことに気付き後付けした。

彼は引き笑い気味だったが、怒りもせず冷瀬に紳士に対応してくれた。最後に喋り方を褒められ、2人の時は昔みたいにと言われ、ドキッとした。特別感もあるし、何よりその顔で笑いながら提案されたのだ。素敵だと思っても仕方ない。ドキドキする気持ちを隠しずつ、決して顔には出さない。多分出してない。少し火照っている感はあるけど、彼が悪い。彼をまじまじと見て、レイチェルは引き抜けないと諦めた。後は彼との婚約だと、心の中で意気込み直した。


彼との時間はとても優しい感じがして、心が安らいだ。不思議な時間だった。本来の私だった。途中素敵にエスコートしてくださいましたし…。


これからも会いたいと、素直に自然に言ってしまっていた。一瞬驚いた顔になって赤くなりながらOKをもらえた。

その後も散歩して幸せな気持ちになった。まるで前世の彼と一緒にいる様な幸せな時間を彼と過ごした。前世も含めて恋愛は出来ないと思っていたからなんか不思議な気持ちに私自身驚いた。おそらく、本来のアメリアもクルトを好きになったのではと思っている。


そしてさらに嬉しかったのはゼハルがクルトにも忠義を誓ってくれた。あれには私も驚いた。騎士はそう簡単には忠義は誓わない。そうゼハルから聞いていたから。彼となら私が幸せになれると思ってくれたんだと嬉しかった。


数日共に過ごしていく度にクルトに惹かれていく。そんなある日、庭の中心に連れて行かれた。困惑してたが、クルトの緊張感が伝わってくる。


え!?え!?


もしやとは思ったが、本当に婚約の申し込みをされて緊張してしまった。すごくドキドキして自分の心臓がこのまま破裂するんじゃないかと思うくらい大きく鳴っていた。

形式でも婚約の申し込みはあるかもってお父様が言っていたっけと身構えた。そう、形式だけ。なんとか自分を落ち着かせようと努力した。なのに、彼から出た言葉も私を見つめる目も真剣そのもの。

こんなの表情崩さないでいられるわけがない。


急に彼が立って、行こうという。どこに?

彼は直ぐにでもお父様の許しが欲しいそうだ。その気持ちが嬉しくて、望んだ結婚は無理だと、死ぬよりかはマシだと諦めてたのに…涙は堪えた。彼に相応しい妻になりたいと強く強く思った。


そして、うかれていた私はこの時もっともやらなければならなかった彼が転生者かどうかの確認をするのを忘れてしまっていた。


この後、起こることなんて、この時の私には予想すら出来なかった。これで幸せになれると思い込んでいて彼しか見えてなかった。

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