カーティス家の協力 2
「あんたもバカな親と同じだね。まったく。好きならどんな状況になっても奪って一緒にいる事を優先しな。それで私達と会えなくなっても誰も責めはしないさ。1人で決めるんじゃないよ!私達がいるんだからね。」
叔母さんが呆れた顔で俺と母さんを見た。母さんは気まずそうに目を逸らしている。
「諦めるつもりはもちろんないよ。ただ保険はかけるかもな。」
「はぁー、まったく。」
俺の答えに不満そうにため息を吐いて頭を抱えた叔母さんが手で次の話題にするように促した。
「…では今のバルフ国の状況ですが、着実にアメリアを王妃に抑える動きです。それによって派閥も父上を推していた家が他の派閥とも交流が見られ全体的に統一しつつあります。…が、カーティス家、ヴィッシャー家、両家に関係が深い家系のいくつかは内輪でしか交流していない状況です。外見からすれば良い報告と言えますが、今回の軍への協力に際して王は信じられない条件を出したと調べがついてます。」
「へー。どんな条件なんだい?確かに今回の話は思ったより対応が早くて疑問ではあったんだが。まあ助かるんだけどねぇ。」
「一応、これは本来漏れてはいけない情報ですのでよろしくお願いします。王は聖女の儀の許可を求めたそうです。もちろん今回の件が真実だった場合という事ではあるんですが。」
「…それはまた。どうしようもないね。あんたらの国の王は。」
「何とも言い返せませんね。しかし、勇者の血は確実に薄くなり、王族の力は確かに衰えているのは事実ですので頃合いと言えば正しいとも思います。万が一、闇落ちの国々が攻めてきた場合、厳しいのは確かでしょう。」
「まあ、確かに仕方ないかもしれないね。聖女と勇者の血筋の者が協力すれば大丈夫だろうさ。後は子さえできれば安泰だな。」
ん?聖女の儀?確か前に召喚に関する書物を読んだ時に儀式に関して書いてあった。聖女と認められた女性を召喚するとしか書いてなかったが…。これが主人公なんだろうと今ならわかる。まさかこの世界がゲームとは思わなかったからな。
「まあ、そういうことです。軍からの返事は確認出来てませんが、恐らく今回の予知が当たり、皇太子殿下の能力値を見れば了承するしかないかと。まともに勇者の力を引き継いでいるのは残念ながら我が家のカーティス家だけかと思われます。」
話からすると王族は勇者召喚された勇者の子孫。カーティス家も勇者の子孫。…初めて知った。
「…そんな状況なのかい。王族がアメリアを欲しがったのはそこにも理由がありそうだね。…となるともし聖女が召喚された場合は用済み。むしろ邪魔だろうね。アメリア自身が予知した婚約破棄も間違いなさそうだ。」
「確かに…そういう事になりますね。腹ただしい。そうなるとアメリアが危ないですね。婚約破棄はそう簡単には出来ません。」
怒りの顔でヴァンディス様が頭を抱えた。アメリアは酷い目に遭うとは聞いていない。でも確かにこの世界が乙女ゲームの世界そのものなら大抵が死罪や殺される可能性は高い。もしくは追放など死に直結しそうなことにはなるかもしれない。
「あの質問なんですが、何故勇者召喚でなく、聖女なんですか?」
誰も当然の様に聖女の話をしているが最初に召喚されたのは勇者。ならまた勇者を召喚でも良いわけだ。なのになぜ?
「それは勇者の儀の魔法式はもう存在してないからだ。」
「え!?…確かに書物で聖女の儀は読んだことはありますが、勇者の儀は無かったですね。だから最近まで勇者自体のことも知りませんでしたし。」
「そうだろうな。我が国で勇者の話は御法度だ。なぜかは知らん。私も父上の仕事を手伝いをしているから知っただけで殆どの人は知らないだろう。」
「…あんたらの国は先祖様に対して酷すぎやしないかい?私は国をでて正解だった様だね。私が民なら反乱を起こしていただろうさ。まさか世界を救った勇者を知らないなんて許されないよ。ましてや勇者の直系の子孫が隠してるなんてあり得ないだろ?普通。」
ごもっともです。…声には出せなかった。
「まあ、今はその話は後回しでいいですかね。それではアメリアの状態ですが…問題はない様に見えます。ごく普通に学園生活を過ごしています。王妃がたまに会いに来ているみたいですが怪しい動きはありませんし、殿下もちゃんと婚約者として振る舞っています。友人も昔がつながりのある御令嬢達と友好を深めていますし問題はない状態です。…ただやはり笑顔は硬いままです。」
!!!
最後力強く言われてから睨まれた。…俺だって側にいたいよ。
「さて。こっちは治療は順調。ただ闇落ちの手先は未だに情報がないね。王城には潜伏されているのがわかっているのにねぇ。マリッサは優秀だ。上手く隠れているか…マリッサが調べられないくらい偉いかだろうね。」
「…そっそれはあながち間違いではないかもしれません。貴族の中には妬みや恨みから騙し陥れるなんてよくある話ですからね。取り込まれるのもありえるでしょう。」
「ん?でも確か闇落ちした人間は聖属性に弱いんだから調べる方法ならあるだろうに。何故しない?」
「そこは今、父上とヴィッシャー家当主ウルベルト様が共に計画中です。今は立場上厳しいんです。いろいろありましたから。実行でき次第に連絡いたします。ただ聖属性自体がアメリアしかいない状態です。機会もない状態のうえ使える人間が側にいないのが進展しない理由ですね。魔法具を使えばアメリアに魔力を注いでもらえればいいだけなのでそこは解決済みなんですが。何度もお願いすれば周りに怪しまれますからなかなか難しい状況です。」
「時間がかかりそうってことだね。1回目は今回の遠征を利用してはどうだい?魔法具はヴァンディスがアメリアに。後はマリッサも来てるからね。私が会いにいけば受け渡しも簡単に済むだろう。」
「…確かに。やりましょう。父上には私から話しておきます。」
「ああ。頼むよ。後はそうだね。この国にも潜んでいる可能性はあるわけだからね。どうあぶり出すかだね。これは別に我が国から魔法組をお願いしよう。そんときについでにヴァンディスがもう一つ渡す段取りがいいだろう。族長に話はしておこうかね。」
流石、叔母さんだ。段取りがどんどん決まっていった。
「助かります。よろしくお願いします。」




