魔力検査
「では、出席番号順で自己紹介していって下さい。」
「先生ー!!見本見せてくださーい!!」
「あっ、私も聞きたーい!!!」
「私も聞きたい!」
何やら女子達がさっきから騒がしい。エリーナまで……。まあ、確かにヒューイ先生はカッコいい。カッコいいというか綺麗だ。女装させたら男だとわからないだろう。メガネをかけていて優しいイメージだ。まあ、ひ弱にも見えてしまうのが勿体無いと思う。所作も自分で奥手と言うだけあって頼りない感じが強調されてしまってると思う。まあ、俺もアメリアの前ではテンパるから似たようなもんなのかな?
「ちょっ、ちょっと待ってください。私はしましたから。あとは皆さんです。」
「えー!だって名前しか言ってないじゃないですかー。私達もそれでいいんですか?そこのクルト君があんなにいい演説したのにいいんですか?」
なっなんだこの子?なんかわかんないんだけど話し方に色気が…。凄いグイグイ先生を圧倒している。そして俺を使うなよ。
「そっ、それは確かにそうですが…。」
「じゃあ決まりですね!!先生から始まって席順ですね!」
グイグイ言ったこの隣りにいたニーナの一言でとどめを刺され、ヒューイ先生は肩を落としながら頷いている。……あの2人怖い。
「では、仕方ありませんね。改めてヒューイです。先生になって5年になります。私が学生の頃憧れていた先生がいたのでその人の様になる為日々頑張ってます。実は学生時代はエルフ国でなくバルフ国の学園卒業です。憧れの先生はそこのクルト君の父親のウルベルト先生です。あの人は今でもカッコいい憧れの人です。私は先生の傍ら研究者もしてます。物事を調べたり教えるのが好きなんです。よろしくお願いします。」
おい!サラッと俺も知らない事言ってきたけど、父様が先生?頭はいいだろうが…。想像つかない。まあカッコいいけど。
エルフ国からはバルフ国に学生として行っていた。なら嫌厭してたのはバルフ国の方か。
「恋人はいた事ないんですか?」
考え事してる間に先生は質問攻めにあっていた。
「え!?いや、いなかったわけではないですが……私はある人を忘れられなくて今でも独り身なんです。」
先生は悲しげに笑っていた。流石にみな何も言えなかった。
「はい。順番にどうぞ!」
「はい。名前はルイです。エルフ族です。槍を使うのが好きで毎日鍛錬してます。早く魔法覚えて強化付与や属性付与を勉強して試してみたいです。恋愛は今はあんま興味ないね。体動かすのが好きだ。後は人間観察が趣味!よろしく!!」
言葉遣いが最後の方砕けた。短髪のツンツンで額に布を丸めて紐状にしたバンダナ?を巻いている。他のエルフでは付けている人は見かけたことがないから彼の独自のファッションなんだろう。
1人目を終え前からどんどん終えていく。とうとうあの子だ。獣人の子!!!!顔に出さない様に必死に堪える。
「はじめまして。ミーニャです。獅子の獣人です。えーと……あまり人の前で話すのは苦手なんですけど、友達と話すのは大好きです。後は獣化ができるので魔法はある程度は使えます。肉体強化が得意です。後は日向ぼっこしたりのんびりするのが好きです。ツガイはまだ考えたことはありません。よろしくお願いします。」
獅子?ライオンなのかな?見た目は可愛いいし、大人しそうだけど…。それにしても気づいてはいたが、なんでみんな自分の恋愛事を当たり前の様に言ってんだろう?これ俺も言わないと駄目なのかな?
「はじめまして。ニーナです。同じクラスのクーが恋人です。付き合って3ヶ月目です。」
キャーー!!女子達のテンションがバク上がりした?
えーどの子?どの子?女子のほとんどが前乗りになり質問攻めして自己紹介が止まってる。エリーナも少し恥ずかしそうに笑ってる。
「はい。僕が彼氏のクーです。」
キャーキャーキャーッ…ああ、なんか大変なことになってんぞ!
どっちから?どっちからなの?
「僕からだよ。ニーナとは幼馴染でずっと好きだったからねー。」
「はい。そこまで!!時間が限られてます。私語が多すぎです。するなとは言いませんがやり過ぎは良くありません。ニーナ続きをどうぞ。」
しゅんとした顔やつまらなそうにする子など様々だが一応静かになった。さすが先生だ。
「はい、ありがとうございます。えーと。エルフ族です。将来はお嫁さんになって、魔法は生活魔法を使えれば良いかなと思ってます。ただ魔法学は好きなので学園にいる間は生活魔法をより良い使い方を模索したり新しい魔法に取り組むつもりです。よろしくお願いします。」
「はじめまして。リーリです。人族とのハーフエルフです。好きなのは男性かな。ここで伴侶が見つかればいいと思っています。魔法は少しできます。幻惑系や隠蔽系等は自身があります。皆さん、よろしくお願いします。」
うっよく見るとやはり綺麗だな。背丈からも同じくらいなのにあの胸は将来どうなるんだろう?…雑念が。目線に困る。うん、全体的に色気たっぷりな子だ。
「はじめまして。グルダだ。魔人族だ。私は自国に婚約者がいる。我が国も身分制度があるのでな。因みに私は貴族だ。その辺はバルク国と似ているな。魔法は初期段階は終えている。クルト…だったか。あいつの貴族としての考え方は面白い発想だと思う。私自身あの様に下の者の事を考えた事がない。いろいろ勉強になりそうでこれから楽しみだ。私もクルトに見習い普通に接して欲しいと思う。喋り方は今は我慢してもらえると助かる。よろしく。」
俺の考えに少なからず共感してくれてる様だ。いい奴だと思うし気が合いそうだ。それにしても堂々としていて貴族として伯がもうある気がする。ん?このクラスって個性強いのかな?他のクラスがわからないから確かではないが。
「はじめまして。クーです。ハーフエルフのクォーターです。さっきあった通りニーナと付き合ってる。後は…あんま勉強は苦手。ただ弓に付与するとかの道具に付与する魔法は得意。初歩を含め他はあんまりだけど。属性付与をもっと上手くしたいかな。出かけたり遊ぶのが好きかな。よろしく。」
話し方、最初良かったのに…。とうとう俺の番になった。
「はい。皆さん。先に先生から話があります。」
え!?
「クルト君なんですが、持病があります。彼はエルフ族のハーフのウルベルト先生と魔人族のハーフの母親との子供です。幸い魔人族の遺伝が強く、エルフ族の遺伝はあるようですが微量だと思われます。魔力量からしてもそこまで高くないからです。ただ魔力そのものが彼の体には合っていない。だから薬で落ち着かせています。本人の口からだと誤解を招く恐れがあるので伝えておきます。魔力暴走はしないので安心して下さい。そこまでの魔力が無いのと、今この場に生きている事が証明です。今までで正気を保ててこの歳まで生きられた症例はありませんので。すでに診断済みの件なので大丈夫です。すいませんね。クルト君。ウルベルト先生にお願いされてたから口を挟みました。自己紹介どうぞ。」
先生が上手くごまかしてくれた。
「あっ、はい。ありがとうございます。」
先生だ。父様の裏工作は絶対先生が協力者だ。
「えー、クルト・ヴィッシャーです。先生の仰った通りで、一応魔人族のハーフと言っています。今は婚約者はいません。ただ約束をしてる人はいます。俺はその人と必ず結婚するつもりです。貴族ですがやりようで好きな相手とも結婚出来ると証明させます。魔法はあらかた出来ます。小さい頃から訓練してましたので。得意なのは身体強化と自然系です。持病があったので今まで家からほぼ出た事がありませんでした。読書や勉強、訓練ばかりしてたので勉強も大事だとは思っているのですが、友人を作り遊んだりふざけたりしてみたいと思っています。よろしくお願いします。」
俺の後に数人自己紹介を終え、最後の2人となった。
「俺はサフ。ハイエルフの血筋の純血エルフだ。そうだな。バルク国でいう貴族みたいなもんだ。訓練ばかりしてきたから恋愛はした事がない。魔法は身体強化と自然系が得意だ。似た奴がいたから是非競ってみたいな。古き文化も大事だと思っている。新しい試みも大事だが、その境界線はしっかりした方がいい。よろしく頼む。」
んー最後俺を見たよ。変な奴に目をつけられたな〜。エルフなのにガッシリ系で筋肉バカだな。まあ、この場で遠回しだかまだエルフ主義を主張してる。困ったもんだ。
「イークです。ハイエルフ族です。現族長の息子です。私は種族を超えて仲良くすることは大事だと思っています。恋愛は自由に出来ないんで親任せですね。魔法は大概できますが、自然系が得意です。よろしく。」
こいつ何考えてるかわからない。異様な感じだ。
「はい。これで自己紹介はおえましたね。気づいた子もいるかもしれませんが、このクラスはすでに魔法が使える子、もしくはすぐに使えそうな子を集めたクラスです。なので今月中にはみなさんは合格してもらいますのでよろしくお願いします。もちろん授業もそれを目指して進ませますので安心して下さい。すぐに受けれるのが来週の頭ですね。今日の模擬試験次第で決まりますので。…おっと、順番が来たようです。みなさん行きますよ。」
ん?知らせはどこから?魔道具かな?
俺たちは先生について行き、6個ある部屋の前ですでに並んでる生徒の後ろに分かれて並んだ。
「はい。みんな順番守ってくださいね。クルト君、君はこっちです。一緒に検査もお願いされてるんで別室です。」
俺は先生について行き別室に入る。誰もいない。
「私がやります。他人には知られちゃまずいですからね。事情はいろいろ聞いてますから。ヴァン先輩にまでお願いされちゃあ仕方ないですからね。」
「ヴァン先輩?ってまさかカーティス公爵ですか!?」
「そうです。先輩もクルト君のことを心配してますよ。」
「…お礼を伝えておいてください。お願いします。俺からは…出来ないので。」
「わかりました。伝えます。ではまず、そこの球体の前に座って両手で触ってください。魔力を自分で流せると聞いたので流してください。」
「はい。」
俺は言われた通り座って球体に向かって魔力を流した。しばらくして、俺の体の中に別の何かが入ってくるのがわかる。…なんかぎこちない。体がムズムズする。
「確かにすごいですね。これで良く生きてられますね。クルト君の年齢の平均値の2倍以上あります。これは1.5ぐらいにしときますか。では属性ですね。そのままで大丈夫ですから待ってて下さい。」
うん。誤魔化す気まんまんだよね。そのためなわけだし。別の何かが抜けていき、しばらくしてまた入ってきたが、さっきのよりか馴染む感じかな。
「うん。火属性は7です。嫌な時は言って下さい。」
「はい。」
これはあれかな一個ずつ属性の魔力流して表情見る感じかな?いきなりアナログ的な手間のかかる感じだな。なんかこうイメージは色が出るとかだと一発でわかると思ってた。適合率は10段階で見るようだ。0が無し、1〜3が小、4〜6が並、7〜9が大、10が最適だそうだ。
それから、水が5、土が5、風が9、自然9、、闇9、聖0。聖の時はそもそも入って来なかった。
「全般的に高い数値ばかりですね。流石にすごいです。これであの魔力量…。ただ聖属性は全く使えないですね。では一緒に薬も入れときますね。このままで大丈夫ですよ。」
同じ感じで入ってきて馴染んでいく。この球体、こんなこともできるのかと感心していた。
「はい。お疲れ様でした。一応、水を3、土を4にしておきます。わかりづらいかもしれませんが、あのままじゃ出せないので。それでも高い水準です。」
「ありがとうございます。お願いします。ちなみに平均値はいくつなんですか?」
「別にいいですよ。そうですね…。年で変わりますが、4から5ぐらいですね。まあクルト君と同じような子は稀にいますが、3属性が9はなかなかいないですから。それに生い立ちを話した分少しでも目立たないほいがいいです。だから同じ数値の人がいたら真似るように心がけて下さい。」
「わかりました。気をつけます。」
「では教室に戻ってて下さい。他の子たちにも伝えて下さいね。」
「わかりました。ありがとうございました。失礼します。」
俺は部屋を出た。クーやニーナはまだ並んでいる。すると、ルイが近づいてきた。
「おっ!クルトおわったのか?俺最初に終わったんだけど、先生なんかいってなかったか?何人か終わって待ってんだ。」
「うん。教室に戻ってていいって。」
「そうか。ありがとう。みんな聞いたよな。知らない奴には誰か言っといてくれ。クルト、一緒に戻ろうぜ!」
「あっ、うん。」
ルイを含め4人と教室に戻った。
「クルトはどうだった?」
他の2人も興味津々に近くに来た。
「まあ、そこそこ良かったよ。やっぱり自然系が良かったのと風属性が良かったよ。ただ10はなかった。」
「…そうか。俺も10はなかったが、火と風属性が大だったから良かったよ。後はまちまちだな。」
「えー2人ともいいなー。私は自然系しか大なかったよ!後はだいたい並みばっか。」
「私も水だけ10だったけど、闇が0で後は並だったよ。」
「え!?いやそれすごいじゃん!10かいいな。俺は聖が0だったんだけどさっきのが9だったからかな?」
「おい!大って9かよ。俺は8と7だよ。お前も大概スゲーな。」
「いや、ルールーだって同じくらいすごいでしょ!10だよ。」
「まあな。そういえば身体強化ってどの属性が関係するか聞いたか?」
俺も残りの2人も首を横に振った。…確かに。言われてみればどれだ?さっき聞いておけば良かった。
「んー、わかんないな。」
4人で首を傾げていると他の生徒達もどんどん戻ってきた。その中で知ってそうなエリーナが戻って来た。魔法学好きなら知ってるかも!
「あっ!ニーナ。強化魔法って属性何か知ってる?」
「え?一応、知ってるけど、確か…属性でなくて魔力そのものを使って行使する魔法ってのが定義だったと思う。だから魔力の制御次第で強化の度合いが変化するみたい。ただ個人差もあって…後他にもなんかあったよおな〜…、ごめん、その辺はわかんないや。」
「なるほどね〜。ありがとう。参考になったよ。」
んー確か俺が最初試したのはニーナが言っていた定義通りだろうな。じゃあ雷纏う感じなのは…属性付与?でも確か強化自体も向上してたんだよな…。魔力量?それだといくらでも強化できちゃうよな?そんなに都合のいい話があんのかな?魔力の性質?それだと個人差があるのは頷けるけど、性質そのものの定義がわかをないしなー。
「おーい!考えすぎだぞー!!まるで母さんみたいだな。みんな困ってんじゃん。」
戻ってきたクーにツッコマれて周りのみんなの顔を見まわした。
「あっ!ごめん。つい。」
「いや、いいよ。話題作りのつもりがこんなに真剣になると思ってなかったけど、気になってはいたからよ。」
「悪かった。」
「それにしても血筋なんかね?最近姉さんもそんな事あったばっかだからね〜。」
「ん?兄弟なのか?似てないけど。」
「いや、従兄弟だよ。」
そんな話をしている間にみんな戻ってきて、先生が戻てすぐ席にと言われてしまい、その場は解散となった。答えが出せず、悶々としながら席につく俺をクーは呆れ顔で笑っていた。そもそも強化魔法について属性云々を気にしたことがないから本で読んだ記憶がない。調べたこともない。あんだけ本読んだのになー。




