サーファス学園へ
今日のクーはなんか最初に会った時とは印象がなんか違った。なんだろう?違和感がある。そんな、クーは着替えながら不満そうにしている。
「そういえば、クルトはその眼どうすんの?」
クーが急に言ってきた。
「ああ、確かに。赤いんだっけ?」
忘れていた。まあ、自分では見えないからしかたない。治療してからは頭の中に響く嫌な言葉は聴こえなくなっていたから気にしていなかった。
「まあ、治療前に比べれば薄いけどね〜。この街には治療中の患者とか普通にいるけど、子供ではいないから母さんに相談したほうがいいよ。」
「今からどうにかなるのかな?式は何時からだっけ?」
「10時だよ。今日は隠せればいいんじゃない?」
「そうだな。着替えたら言ってみるよ。ありがとう。」
「いいよ、別に。…うーちょっとデカいな。ダサくない?これ?」
見るからにひと回りでかい制服に不機嫌な様子のクーに、中学入ったときに同じ事を思ったことをふと思い出した。入学式、はしゃいでいた母ちゃん。涙目になってる親父。最後は母ちゃんも泣いていた。…両親の顔は思い出せないのに。
「おーい!どうしたー?帰ってこーい!!」
クーが俺の顔の前で手を振っていた。
「あっ!ごめん?考え事してた。」
「…ふ〜ん。それにしても、すぐにデカくなるからって無いよねー。」
「そうだね。でも、まあしょうがないでしょ。ちょっと叔母さんとこ行ってくんね。」
鏡で確認を終えて部屋を出ようとした。
「おっ!ちょっと待って、待って!俺っちも制服姿見せないとうるさいから一緒に行く!!」
着替え終えた俺にクーが着替えを急いで慌ててる。
「ほい!これで良し。じゃっ、行こっか!!」
クーはすぐに部屋を出ようとした。
「クー!待った!!ボタン一個ずれてるよ。ちゃんと確認しないと、また怒られるよ!一度鏡で確認しないと。」
「おっ!マジだ。ありがとう、ありがとう。母さんこういうのうるさいから助かったよ。鏡ね。…良し行こう!」
直しながら鏡の前に移り、直し終えるとすぐに2人で叔母さんとこに向かった。
叔母さんは父様、母さんと一緒に正装姿でリビングで思い出話に笑いながら談話していた。
「着替えてきたよー!!どう!?僕としてはデカくてなんか動きづらいんだけど。」
「すぐデカくなるから大丈夫だよ。いいじゃないか。…まったくデカくなりやがって。」
叔母さんがちょい涙目になりながらクーを見つめている。
「ったく、母さんはすぐ泣くんだから〜。」
「うっ、うるさい!!仕方ないだろう。」
なんかいいな。こういうの。ん?
「クルト。」
いつのまにか目の前にいた父様に無言でハグされた。
終えると、すでに泣いている母さんにハグされた。
「私…なんかが…クルトの入学式に……出れる日が来るなんて…。メイドとしてでも見れればそれでいいって…諦めてたのに。今こうしてていいのかわかなくなる。」
俺は母さんをギュッと抱きしめ返した。
「今も入園式も母さんとしていてよ。」
「……うん。」
「父様、母さん。ありがとう。」
そうだ。今はこの2人の息子で、この2人だけが俺の両親だった。…わかんないけど、前の両親にも今の両親こそ大切にしないと怒られる気がする。
「さあ、今日は忙しいんだ。用意できたら行くよ。後、絵描きお願いしといたからね。せっかくの記念日だ。ウルもうちに飾っておけば来た時見れるだろう?3人で描いてもらいな。」
「…姉さん。…ありがとう。」
「ルイーヌ様。…ありがとうございます。」
「バカ!レチェル!!そこはお義姉さんだろ?」
「…はい。ありがとうございます。お義姉さん。」
叔母さんは泣きながら母さんを慰めていた。
「なあ、クルト〜。うちの家族ってなんでこうもみんなすぐ泣くんだろうね?」
「いや、クー。お前も泣いてんじゃん。」
「グスッ。いやなんかいいな〜って思ってね〜。もらい泣きしちった。」
いい奴だなと思いながら従兄弟を慰めた。じゃないと俺も泣きそうだったからだ。
「遺伝だろ。きっと。」
「遺伝?なにそれ?」
「ああ、そっか。親に似るって事だよ。」
「そうなんだ〜。でもそれなら嬉しいね。」
「そうだね。」
2人で泣きじゃく親を眺めていた。
「…時間が無いね。準備は平気かい?」
おっと忘れてた。
「叔母さん!俺、眼どうしたらいい?」
「………ん?そうだね。そうだったね。ちょっと研究所寄ってから行くかね。なら時間ないから急ぐよ。ウル!馬車だしな。」
「グスッ。…わかったよ。ちょっとまっててくれ。」
父様…まだ泣いてたんだ。俺がさめんの早いのかな?
父様はすぐに執事に伝えて馬車をよこしてくれた。
すぐ様みんなで乗り込み道を急いだ。
そして研究所に立ち寄り、叔母さんだけ中に入って行った。
「クー。学園って遠いいの?」
「そうだねー。歩いたら3時間くらいかかんじゃない?」
「ん?それだと今って結構ギリギリじゃない?」
「そうだねー。ヤバイね。まあ、式事態が始まるのは11時くらいだよ。少し遅れても平気じゃん。」
んー日本人としてはなんか許せないんだけど、その感覚。
「クルト。国によって様々だ。エルフは結構時間にはユルイな。だから10時と言っておけば半までにはだいたい集まるんだよ。おそらく挨拶や説明は半くらいに始まるはずだ。それに間に合えば平気だから。気にするな。」
気難しい顔をしていたからか父様が呆れ顔で言ってきた。でもな、でもなー。
「うっうん。…わかった。」
「クルトは規則正しく動くの好きだから仕方ないのかな。旦那様、クルトは起きる時間も朝の自主練も時間はいつも同じなんですよ。授業の時もいつも早めに来ますし。」
「そうなのか!まあ、それならぎこちなく感じるのも仕方ないな。まあ慣れるしかないだろ。後2年はここで生活するんだから。」
「…はい。わかりました。そういえばクー。キリは歩いて行ったの?」
「いや〜、友達の馬車に乗せてもらって一緒に行くって言ってたよ。」
「そっか。流石に歩いては行けないよな。」
「そりゃあねー。姉さんは冬休み明けで入学式の準備の為に朝早くに行ったはずだよ。」
「それはまた、大変そうだな。」
「そうだろうね〜。因みにクルトも寮だよね!週末は俺らと一緒にうちかえるよね?」
「うん。そうするつもりだよ。治療もあるしね。」
「そうかー。それもあるんだったね。」
雑談してたら叔母さんが入ってくるなり馬車をすぐ様学園へと向かわせた。
「これなら間に合いそうだね。ほれ、クルト。薬だ。」
叔母さんから瓶をもらった。……紺色にオレンジが少し混ざったような色?所々にオレンジ色がうっすらと見えるその液体?はあからさまに異様な物だとわかる。
「…これは?」
「薬だよ。変なもんは入ってないよ。心配せずに一気に飲みな。じゃないと後悔するよ。」
まずいってことだね。間違いなく。
「あっ、ありがとう。」
蓋を開け、
「こら、クルト開けんじゃないよ!!」
「へ?」
馬車内に異様な青ぐさい嫌な匂いが充満した。俺は急いで蓋を閉めたがもう遅かった。俺もみんなも涙目になりながら咳き込み、急いで全ての窓を開けた。しばらくして匂いがなくなってから叔母さんに説明された。
「…ゴホッ、ゴホッ……クルト。そういもんは蓋に魔法陣が描いてあるだろ?そこに魔力を流せば中身を蓋をつけたまま飲めるようになってるんだ。」
そんな便利な物があるのか。スゲーな。…早く言ってよ。
「ごめん…なさい。知らなかった。」
あーなんか気分悪い。今からこの臭いの元凶を飲むんだよな……。俺は魔法陣に魔力を流すと蓋の上が透明に変わった。
「臭いをかいじまったからキツいと思うが、一気に行きな。わかったろ?途中で止まったらヤバイって。」
「はい………。」
俺はしばらくにらめっこしていたが、意を決して飲み込み始めた。すると両隣にいた母さんとクーが俺の体を掴み動けないようにされた。でもそれどこじゃない。
臭い、苦い。甘い、すっぱい、苦い。臭い。
俺はそれでも吐き気を我慢しながら飲み干した。飲み干すと、叔母さんが俺の顎を上向きにして固定される。
いや、キツい、キツい、キツい。
しばらくそのまま固定されていたが、だんだん吐き気がなくなってきた。涙目になりながら大きく息を吐く。…臭い。
「2人ともしばらく体を押さえてな。」
不思議に思っていたらすぐに身体がどんどん熱くなってきた。目も痛くて目が開けられなくなってくる。声も出せない程ツライ。おい!聞いて…ないぞ。
熱で体の怠さとぎこちなさで身体が勝手に動く。…その為か。んー頭が…ぼんやりしてきた。それと一緒に熱が冷め始めるのを感じる。
「もう大丈夫だね。ゆっくりでいい。開けられるようになったら開けてみな。」
「はあ、はあ、はあ。……うん。」
「レチェル。水をクルトに。」
「はっ、はい。」
母さんから水をもらい飲み干した。それからゆっくり目を開ける。目にはまだ熱を感じてはいるが平気そうだ。
「おー!!赤みが消えて普通になってる!!母さんすごいね〜!」
「まあ、私が作ったわけじゃないけどな。クルト、しばらくは赤みは出ないだろう。ただ感情の落胆には敏感だからすぐに赤くなるから気おつけな。レチェル。しばらくはこっちにいるんだ。息子をちゃんとみてやるんだよ。」
「はい!!」
「叔母さん、ありがとう。…でも飲ませる前に言ってよー!!」
「何言ってんだい。前もって説明してすぐ飲める奴なんかいないよ!時間が無かったんだ。」
「うー。」
恨めしそうに見つめるしか出来なかった。
「そうだ。後、これを飲んどきな。口臭用のブレンドティーだ。」
同じ容器だが、中身が綺麗な赤色したお茶をくれた。
「…ありがとう。」
「そんな顔しなくても薬と違って美味しいから大丈夫だ。」
恐る恐る飲んだが美味かった。少し酸味のあるハーブティーみたいな味だ。
「おっ着いたようだね。さあ、行くよ。」
学園前で降りた。白を基調とした建物で周りは森だ。まるで神殿かと間違えそうな作りをした門の前では馬車できてる人たちでごった返していた。みなで受付の並びに並ぶ。ほとんどがエルフのようだが、人族や魔人族?っぽい人なども見かけた。
そして見えてしまった。見つけてしまったー!!!猫耳の…猫耳のー女の子をーーー!!!!獣人族がいるのは知っ出たが初めて見た。…かわいい。耳、尻尾!!!触ってみたい願望に囚われながらもなるべく見ないようにしていた。
「???クルト?どうかした?」
母さんが何かを察知したのか聞いてきた。
「いや、エルフ以外の人も何人かいるんだなーて思って。」
「そうね。この学園は人気なのよ。魔法特科があったり、研究関係や建設関係の学問に優れてるから、そっちの仕事に付きたい子たちなんかが来たがるのよ。特に魔法特科は入れたら将来安泰よ。」
「へー。国の学園に行くのが普通だと思ってた。」
「普通はそうよ。ただ家系によっては決めてる学校があるみたいよ。まあ、クルトはいろいろあるからここか、国のしか行けないんだけどね。」
「それはそうだろね。」
「こら!!クー!!ちゃんと話を聞きな!!」
急に叔母さんが怒鳴り、叔母さんとクーの方を向いたが何やらもめているようだ。叔母さんは少し怒り気味で真剣な顔つきに対して、クーは平然としている。
なんか気になってたんだが後は聞こえなかったから気にしつつも声はかけなかった。親子の問題かもしれないし。
受付を終えて門を過ぎると、広大な敷地を見下ろして見えた。この門が高台に建っているんだとわかる。中心にでっかい木があり奥には学校と思しき煉瓦造の建物が奥に見える。それ以外にも建物がいくつかあるのとドームや農園、更地?、森?…そして、馬車道には全て並木通りのようになっていてただ圧感だった。
「久々に来たが、相変わらずだだっ広いな!我が国の学園が小さく感じてしまうよ。我が国の方が生徒数は多いのにな。」
父様は呆れた顔で見ていた。国によってそんなに違いがあるのかと疑問に思いながらも、ただ目の前の光景を眺めた。
「さて、久々のキャリスだな。あれ酔うから好きではないんだが、クルトは初めてか。」
「キャリス?」
「あれだ。」
父様が指差す方を向くと、円の台に向かって並ぶ人たちが見えた。10人くらい入ると、円の中が青く光り、消えると中の人達が消えていた。転移魔法がこの世界にある事に驚いた。
「何ですか?あれは?中の人達が消えましたよ!?」
わざとらしくないように驚いた反応をしといた。
「あれが転移魔法だ。学園の主塔に飛べるようになってるんだ。さあ、私達も並ぶぞ。」
皆で魔法陣の中へと案内され、始動係の人が魔力を入れると、周りが青く光り、世界が回りながら何処かに引っ張られる感覚に気持ち悪さを感じた。
気づくと別の建物の中にいた。ここが学園の主塔なんだろう。親達が受付に行くと言って離れていった。俺とクーは学生証を貰うために他の学生達が並んでる列に並んだ。学生証がないとこの先には行けないように結界が張られているからだそうだ。親達も承認のための受付なんだろ。
「そういえば、クー今日なんかいつもと違って見えたんだよね!今は変わらないから気のせいだったのかな?」
「ああ。それね。気付いてたんだー。僕は気にしてないんだけど、母さんが余計な事したんだよー。まあ、意味が無かったみたいだけどね〜。」
「どういう事?」
「これ!」
クーは自分の耳を指した。普通の耳だ。だから?
「なんか変なの?普通の耳だろ?」
「そっ!人族の国の人からすると普通だよねー。」
「ああ!!そっか!エルフのとは違うってことか!まあ、そりゃあクーだってクォーターなんだから仕方ないだろ?」
「そうなんだけど、家族僕以外がエルフの血が強い容姿をしてるからね〜。からかわれたことがあったんだよ。」
「でもこの学園にもハーフだっているだろう?気にする事ないんじゃないの?」
「それがねー。純血が多いんだよねー。ハーフの子とかは嫌だから別の国に行っちゃうくらいには嫌な感じらしいよ。目標がある子達ぐらいだよ。来るのは。後は、親の都合や実力がある子は学園側から是非にって招待状が来るらしいよ。クルトも僕もその口だね。だから入るのにいろいろ優遇されんだよね。」
「そうだったんだ。俺知らなかった。」
「僕の場合は母さんが嬉しそうに見せてきたからね〜。僕なんか取り柄なんか一個しかないから招待状もらって困ったよ。なんか親と姉のすねかじってる感じがしてやなんだよ。姉さんは頭いいから。僕は勉強はからっきしなんだけどね〜。」
「何が得意なんだ?」
「弓と矢の連動魔法だよ。母さんは僕の歳で出来んのは僕しかいないって騒いじゃって大変だったなー。」
「ああ。それわかるよ。俺も氷と雷出したら親は困ってただけだけど、家庭教師達がヤバかった。」
「へー。もうそこまでできんだ。なら武器の符号もできるっしょ。」
「剣で一度だけ出来たけど。」
「剣だとちょっと違うからな〜。でも雷はやり方今度教えてー。あれむずくて諦めたけど、してみたい事あんだー。」
「いいよ。それくらいなら。」
「ふん!!招待状をもらったからといって調子に乗るなよ混ざり者ども。自慢話は他所でしてくれ!!それと学園の卒業する頃にはわからんからな。だいたい卒業生優秀者は毎年我々エルフ純血から出てるんだ!他所もんや混ざりもん達にはどうせ勝つなんて無理なんだからな!!」
急に後ろにいた奴に声をかけられた。差別あるって聞いて早速かい!?
「これは失礼をした。気にしないでくれ。そもそも、卒業生代表を目指してるわでも1番になりたいわけじゃない。俺たちは目標をまだ見つけれてなくて困ってるだけだ。親の期待に苦労する気持ちはわかってくれるだろう?」
「親の期待に応えるのは子供の義務だ。お前達とは志が違うのだ。くれぐれも調子にのらないようにしろ!!才能があろうと最後に頂点に立つのは我々だ。」
俺はお辞儀をしながら、
「ご助言、感謝する。肝に銘じよう。」
「ふん!!感謝状が来たのは何かの間違いではないのか?全く……。」
「サフ。それ以上は言わないでおくれ。選抜したのはお前の父親のいる部署だろう?それに私の父上も許可を出したはずだ。族長の決めた事、間違っても否定な意見はしてはいけないな。」
「…すまない。イーク。」
更に別の奴が乱入してきた。今の口ぶりだとこの国の長の息子か?なんでそんな奴らに絡まれてんだろ?それに族長の息子がなんで他生徒と一緒の列に並ぶんだよ!?あーなんか先が思いやられると、嫌に思いながら顔に出さないように我慢した。




