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悪役キャラ⁉︎なんの話?  作者: 黒黒
二章
22/42

家族旅行?とルイーヌ叔母さん

今、俺はレイチェルと父様の3人で仲良くエルフの国に向かっていた。初めての遠出だ。馬車が合計5台での移動。前後に一台ずつ警護の傭兵がついている。ただ傭兵と言っても平民の兵士見習いが殆どであてにならないと父様が嘆いていた。エルフの国までは2週間かかるようで備蓄品の為の馬車が一台ある。5日ほどで人族の国からは出るみたいだが、エルフの国に入ってからが遠いいようだ。叔母のいる国はミリス山脈に近い所だからだ。因みにミリス山脈を超えると闇落ちした国が点在している。


最初の日の宿。俺はザハルからもらった時雨を眺めていた。「時雨」名前も日本にあった名刀と同じ。見たことがないから本物かまではわからないが。何故ゼハルがこれを持っていたんだろう。何故ゼハルは俺にこれを託したんだろ。疑問ばかりで答えが出ない。おおよそ、ゼハルも転生者ってのがしっくりくるけど。じゃあ何故打ち明けてこなかったのか?ゼハルがアメリアを選んで執事になったことも考えると…。どちらにせよ疑問だらけだった。


……すでに3日。尻が痛い。どこで座っても痛い。


「なんだ?クルト。もう限界か?」


父様がちょっかいをかけてくる。


「仕方ないじゃないですか。遠出は初めてなんですよ。まあ、まだ平気です。」


「そうか。次の村まで後少しだ。我慢しなさい。それにしても3人でこんなふうに出かけられる日が来るとは思ってなかったな。」


父様が俺と母さんを見ながら微笑んだ。母さんは俯いてしまっている。俺からだと口元がニヤけてるのがもろ見えているのだが。嬉しい限りだ。父様の微笑んだ顔を見て、きっといろいろ諦めてたんだろうと思った。


「奥様は大丈夫だったのですか?」


俺は3日間すでに和気あいあいと楽しんでいたのに。母さんは今更罪悪感でも出たのか?…この話題今更な気がする。


「イヤ、そもそも話していない。」


「え!?父様?」


「だ…旦那様………。」


2人で父様を驚愕の顔で見つめる。


「し…仕方ないだろう。裏切られて、クルトの事は言えないのだから。私は別件で出かけてる事になっている。」


「…父様。」


何も言えなかった。日頃カッコいい父様の慌てふためく姿に何も言えなかった。母様は何故か笑っているが…。……不倫旅行になるのかな?まあこの世界に不倫という概念がなさそうだけど。



1週間目。やっと半分。長い遠いい。村や町に寄りながらエルフの国の最初の村についた。今更だが初めての遠出で外国行くってハードル高くない?言葉おなじなのかな?違くてもう父様がいるから大丈夫だけど…覚えないと父様、数日で帰っちゃうし。文化は間違いなく違うよな。俺ってどんな扱いになるのかな?あーエルフの国に入ってから落ち着かないー!!!


ってかいろいろ考えてたら宿ついちゃったし。っうお!!もう父様いないし!!いつのまに!


「クルト様。どうしたのですか?行きますよ。」


「いや、なんでもない。なんか別の国に来たんだとおもったらなんか緊張しちゃって。」


「そうですね。クルト様は別の国どころか王都以外殆ど出た事無かったですものね。外見てみてください。」


俺は母さんに手を引いてもらいながら馬車を降りた。目の前の景色に感動していた。

日の光が木々たちの間から差し込みなんとも幻想的な光景が広がっていた。不思議なことに木々から差し込んでる日だけしか見えないのに村はとても明るい。影が殆どない。そして建物はその木々たちそのものが家や宿になっていたり。木々の間に家が付いてたりしていてとてもお洒落な作りをしていた。


「すごい…。…綺麗。」


「そうですよね。私も初めて来た時は驚きました。しかし、町や中心部はもっと凄いんですよ!!ここも十分綺麗なんですが。」


「それは楽しみだね。」


宿の中に入り改めて文化も人種も違う場所に来たことに感動していた。まず、店員さんやお客様の殆どがエルフ…エルフだー!!そして獣人のお客さんもいる〜。やべー泣きそう!!!動いている。動いて話してるよー!!!


「あまり見ていると失礼ですよ。クルト様。」


母さんが耳打ちしてくれた。


「そうだね。確かに。」


「クルト様は初めてですものね。気をつけましょう。」


「わかった。」


「おい2人とも!こっちだ。行くぞー。」


父様が使用人に手続きを終わらさせ、鍵を2つ持っていた。…2つ?

俺と母さんは急いで父様に追いつき、部屋まで行った。


「部屋が2つしかとれなかったから……「はい。もらい!!」


俺は差し出して見せた鍵の1人部屋の方の鍵を取り、さっさと部屋の前に行った。


「おっ…おい!!!クルト!勝手に行くんじゃない。私が1人べ…」


「いいから。いいから。こんなチャンス滅多にないんですよ。父様。僕は大丈夫です。母さん、薬3個だけ補充させて。」


「し…しかしだな!!」 


「ク…クルト様!そんな事許される筈が…」


「あーもう、いいから薬、頂戴!」


「は!はい。」


俺は母さんから薬をもらい、部屋に荷物を置き直ぐに部屋を出た。

まーだ2人は部屋の前にいる。仕方なく、母さんの荷物を取り、使用人についてきてもらって2人の荷物を同じ部屋に入れて、廊下に茫然と立っている2人のところまで戻る。


「さあ!ご飯食べよう!」


「ああ。もう!わかったよ。レ……レイチェルが嫌でなければ今日は一緒の…部屋で…いいか?」


父様が照れてるー。


「え!?あの!!嫌…なわけ…ないです。私で良ければ…。」


「ああ。」


「いいから。父様も母さんもお腹空いたよ。外に出よう!!」


俺は2人を連れて食事を済ませてから村をまわった。


「父様。少し銀貨をもらえますか?」


「ん?どうした?何か欲しいものでもあったのか?」


「秘密です。お願いします。ちゃんと後で見せますから。」


「まあ、わかった。」


「ありがとうございます。母さん!行くよ!後は打ち合わせどおりにお願いね!」


「え!?クルト様どこへ?」


「ん?」


「かしこまりました。」


俺は父様の使用人にお願いして、母さんと2人で店をまわった。


「クルト様!!これはどういう事ですか?」


「お姉さん!これがエルフの国の民族衣装なんですか?」


「はい。そうですよ。こちらに並んでるのかすべてそうです。個人の魔法の特性や仕事によって色を合わせて決めるのが一般的なんですよ。」


「へーそうなんですね。母さんって魔法は何が得意なの?」


「え!?私は火属性です。」


「うん。なんかイメージ通りだね。」


「お姉さん。妻、火属性だとどれになりますか?」


そして俺は母さんを連れて父様達のもとに戻って来た。結構時間がかかってしまい、外はもう夕日がさしていた。


「父様ー!!お待たせしました。」


「ずいぶん。かかっ………たな。レイチェル?」


「どうです?父様!母さん、綺麗でしょ!!」


「……あっ!ああ。すごく綺麗だ…。」


母さんは恥ずかしそうに顔を俯いてしまっている。母さんは白を基調とした服に赤いラインの入ったシャツ?に緑の上着、下は赤茶色の短パンに茶色を基調とした白と赤のラインが入っている足首まである腰掛けをしている。


「そうでしょ!!じゃあ僕たちは他回ろうか!!」


「かしこまりました。」


「じゃあ、父様も母さんもたまには仲良く楽しんでね!!夕食も別々にするから!宿戻っても僕たちはいないからねー!!」


「おい!!クルト勝手に…。」


「クルトーー!!!」


俺は手を振りながら父様の使用人と一緒に離れていった。2人は顔を赤くして俺たちを見送っていた。



…さらに6日目。着きました。着きました。やっと着きました。なっが!!


父様が街が見える辺りからそわそわし始めていた。どうやら緊張しているようだ。

叔母は父様の姉にあたる。もちろんクォーターなのだが先祖返りというのがあるらしく、エルフの血を濃く受けづいたらしい。それが理由でエルフの国に住んで研究に没頭しているらしい。俺の一つ上と同い年にそれぞれ子供がいて、上が女の子で、同い年が男の子だ。俺からすると従兄弟だな。叔母はエルフの旦那さんと結婚したので2人ともエルフの血が強いらしい。ただ男の子の方が少し人族の特徴があると父様が言っていた。


「つ…ついたぞ。ついちまったぞ。みな覚悟を決めるように。」


なんか父様がやたら怖がっている?馬車のドアを開けてもらっているのに未だに出ない。父様は深呼吸をして息を整えると意を決した顔つきで馬車を降りた。俺も母さんも続く。立派な木が目の前に立っている。その木を家が融合していてなんとも綺麗だし、他の家と比べても一回りは大きい。すると父様に向かって酒瓶がくるくる回りながら飛んできた!……酒瓶?


「姉さん。久々なのに挨拶がてら酒瓶投げないでよ。文句があんのは手紙が返ってこなかった事で察してたけどさぁ。」


酒瓶を難なく受け止めた父様がため息を吐きながら、2階のバルコニーにいる叔母さんを見た。


「おぅ!!わかってんなら、歯ぁ食いしばれ!!」


緑色の髪を後ろで束ねて、父様にどこか似た顔で鬼の形相をした叔母が上から見下ろすようにして仁王立ちしていた。


こ…こ…怖い。


「だから。手紙にも書いたが助けてくれ。頼む。」


父様が頭を下げる。

叔母さんは2階から飛び降りて父様の目の前に来ると、キョドる父様の両肩を捕まえると、


ゴチン!!


思いっきし頭突きを父様にくらわした。父様がおデコを抑えながらうずくまる。


「いってーーーーー。」


「お前な!!私の今の仕事わかってんのかい?よりによって私の家族から闇落ちが出るなんて…。だから毎年顔を出すよう手紙をだしていたろうが!!無視こきやがって!!」


「悪かった。悪かったって。自分の力で助ける筈だったんだ。」


「何をいってんだい。何のために王室が今おかしい事と、薬の件を教えたと思ってんだい?クルトの為だろう!!!あいつらの標的としてクルトほど適した標的はいないと手紙に書いた筈だが?」


なるほど父様の情報源は叔母さんで、その情報から王とカーティス公爵と協力して動いてくれてたんだな。


「…すまない。」


叔母さんはため息を吐き、


「荷物を中にいれな。子供達と合わせる。それから研究所に行くからね。クルト!レイチェル!久しぶりだね、よく来た。馬鹿な弟が苦労をかけてすまなかった。中へお入り。」


父様に対しては鬼の形相をしてたのが俺と母さんに顔を向けた瞬間に穏やかな優しい顔つきに変わっていた…。


エルフ…見た目はエルフなのにー!!俺のエルフのイメージがー!!!叔母さんを見てると…壊れていく。


「はっ、はい。記憶がないのですが、お久しぶりです。」


内心のダメージをかくしながらなんとか挨拶をした。


「ルイーヌ様。お久しぶりでございます。」


父様を筆頭に俺と母さんも挨拶をしてから中へと入って行った。


「叔母さんってなんかいろいろ凄いね。」


俺は母さんに耳打ちして話した。


「あら!クルト様もそんなお年頃になったんですね!!確かにルイーヌ様はスタイル抜群ですからね。あの立派なお胸羨ましい…。それにあの格好はなかなかしげきが強すぎます!」


「か…か…母さん。誰もそんな意味で言ったわけじゃないよ!!なんでそうなんの?俺にはアメリアがいるから。」


「…それは早とちりしました。ごめんなさい。」


「豪快な人だなと思って。……胸じゃないよ。」


「…はい。わかってます。」


母さんは一瞬自分の胸を見ていた。


そして居間に案内されると、ルイーヌ叔母さんと俺と同じくらいの子供2人が待っていた。


「掛けとくれ。そうか。クルトは赤ん坊の時以来だったね。そりゃあ覚えては無いだろうよ。お前の親父の姉にあたるルイーヌだ。こっちが娘のキリとそっちが息子のクーだ。お前にとっては従兄弟だね。」


「はじめまして。クルトです。これからよろしく。」


「キリです。よろしくお願いします。」


「クーだよ。よろ〜。」


…………?


「こら!クー!!!ちゃんと挨拶しな!!!」


ルイーヌ叔母さんが人睨みした。すぐクーは背筋を伸ばし、


「クーです。よろしく。」


「キリ、クー。こっちが愚弟のウルベルト伯父さんだ。そっちがクルトの母親のレイチェルだ。まあ、いろいろあって愚弟とは結婚してないがな。」


「姉さん!!それは内緒だって言ったじゃないか!」


「いいじゃねぇか。身内なんだから。キリ、クー、他人には言わないでおくれ。言った時は………わかるねぇ?」


「「はっ!はい!!」」


「はあー。相変わらずだね。姉さん。キリ、クー、久しぶりだ。大きくなったな。姉さんが母親だと大変だろうがくじけるなよ。拗ねるなよ。」


「お久しぶりです。伯父さん。…はい。大丈夫です。」


「久しぶり!!伯父さん!大丈夫!大丈夫!母さん怖いけど優しいよ!」


キリは叔母さんの様子を見ながら答え、クーはなんか無駄に明るい。


「覚えてはいないかもしれないですが、レイチェルです。お2人が小さい時に1度会いましたが、ずいぶんと立派になられましたね。」


「お久しぶりです。レイチェル…さん?」


「久しぶりです。レイチェルさん!」


「レイチェルで結構ですよ?違和感あればさん付けで構いません。」


「わかりました。」


「りょうかーい。」


「ところでウル。さっきのはなんだい?その言い方は?」


「伯父さんからのエールだよ。姉さんは昔から正義感とかいろいろ強すぎなんだよ。特に言い方。」


「ふん。こいつらのためを思えば仕方ない事だ。」


「ああ。わかってるよ。」


「自己紹介はおわったね。クルト。クーと同じ学年だね。どうせウルのことだから同じクラスにしてるだろうからよろしく頼むよ。キリも気にかけてやってくれ。」


「「はい。」」


「じゃあ研究所に行こうかね。キリ、クー晩ご飯の下準備だけ頼むよ。クルトの診断と治療は今日のうちにやっておきたいからね。」


「いいよ、母さん。今日は僕が作るよー!!」


「いいのかい?いつも助かるよ。クー。」


「任せておいて。ねーちゃんもいるから楽勝っしょ!」


「はいはい。わかったわ。」


クーは、やたら明るい。キリがため息吐きながら了承していた。


「じゃあ行こうかね。3人とも行くよ。」


「ああ。姉さん。よろしく頼む。ありがとう。」


「クルトのことよろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。」


「良い。可愛い甥っ子のためだからね。」


3人で改めて頭を下げてから一緒に叔母さんの仕事場の研究所へ向かった。

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