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邪神(封印完了)の置き土産(察して)



悲報、もう続きが思い浮かばない







『グオォォォ』


 世界の邪を司る神が、今まさに封印されようとしている。


「うっせぇ、断末魔までハウリングすんのかよ」


 幾重にも……いや、数え切れない程に重ね掛けされた魔方陣がその役割を

全うしようとする。


 いや、それだけではない。


 時空が歪められ、火、水、風、土、爆、氷、雷、鉱、片手では数え切れない

現象が今も吹き荒れ、封印に抗おうとする邪神を抑え続けている。


『オ オロカナル ニ二 ニンゲン ヨ、カミ ヲ ココ コロス トハ オソレシラズズナ』


「は?殺さないし、神殺しとか制約が多過ぎるから面倒だし」


『……ナナ ナニヲ イッテ イイ イル?』


「封印すんだよ、なんと 今ならカミサマに相応しい美少女になれる固定術式も

 セットで付いてくるぜぇ」


『……?』


 なにぶん、徹夜で邪神とタイマン張ってテンションが天元突破し始めている。

体力の限界は存在しないが、精神まで完璧に鍛えられている訳ではない。

しかし、疲労の果てに気が触れて封印を台無しにしようとしている風でもない。


 無論、実益も兼ねている。


 神でありながらも、魔の存在である邪神を安定して封印する。

それを可能にするのは“堕天術式(フォール・マジック)”の応用、つまり天霊堕落(エンジェル・アウト)の逆を行うのである。

 人間の器に天使を押し込む事で、数段ランクが下がるとはいえど 天使の使役を

可能にする方法。


 しかし、人間を器にすると巫女の様に生贄を必要としてしまう。


 そこで考えたのが、自己完結封印(エターナル・サイズ)理論(ロジック)を用いた神骸型封印(ディバインド・シール)を行う事。


 手順はいたって簡単。


1.神様を人形、あるいは人型の何かに固定します。

  人間そのものにしてもよいでしょう。


2.形を整えた外側(神の分体)に対して、神降しと封印術式を施します。

  必要であれば複数の封印術式を段階的に追加しても良いでしょう。


3.封印対象の周囲を異空間化、あるいは宝玉のような高エネルギー結晶、

  又は許容量の大きい器を用意して閉じ込めてしまいます。

  ここで注意すべきなのは封印を解除する鍵を用意しておくことです。

  下手に出られないと悟られて、外部の何かに暴走されないようにしましょう。


4.最後にエネルギーが自身で循環するよう調整します。

  神様クラスだと、決してガス欠にならないので安心です。

  そうする事で、外部エネルギーが不必要な自分で自分を封印できるお手軽な

  構図が完成します。

 

 こうして、封印は完成し、外側だけは完璧に繕われた邪神が完成する。

まさに邪神にふさわしい黒さと邪悪さと悪虐的神秘性が備わった美少女になった。

サービスで着物を着せたので中々の仕上がりになっている。


『や、や、やめろぉぉぉ』


 透き通るような……鈴の音かな?

先程まで、不定型異形物体だったはずだが……ヤバイな。

地味に好みだわ、さっきまでバトってなかったら告ってたかも。


「美声で言われると、これ結構 罪悪感が……」


『アァァァァァァァァ』


「ヤバっ!?…〈ラドゥエリル〉ッ」


 邪神はここで悟った……目の前にいるのが“敵”だと。

神をして敵と認められ、人に堕とされ……格上げされた神は一矢報いんとする。

腐っても神、人の身だからこそ使える力を発揮する。


 零化機会(リヴェンジ・チャンス)、英傑の……選ばれた主人公の力、己の負けを定義付けられても

なお、戦おうとする意思は起死回生の手段を与える。

それが神の、特に邪神であるそれは……封印が解けてからの弱体化を容認し、

絶対抵抗不可避の呪詛を発現する。


 その内容……ズバリ「現在の自身と状態の共有化」


 物分かりの良ければ大体の結末予想できる。

封印直前の状態なんぞ暴走寸前の機械と大差なく、そんなものを人間に

適応すれば肉体の崩壊は免れない。


 だが、この男……ただで終わらせられるタマではない。


 天使之書(エンジェル・ブック):無階級異端(スケール・アウト)、意志なき天使を封印した…書物の力を解放する。

禁忌にほど近く、禁書たり得ない本に縛られてた天使、その名は〈ラドゥエリル〉

 条件を満たせば熾天使をも上回る〈ラドゥエリル〉、神の権能を宿す天使は

絶対的な陽の属性を以ってして、呪い返しの亜種とも言える邪神の悪足掻きを

真っ向から叩き潰す。


「フッ、フフフフフ、ハハハハハハハ、良いよ、実に良い」


 あっ………。


 持病の発作…別に言動魔王的厨ニ病化症候群とかじゃない…間違いでもないが。

正確には英傑性心身(ヒロイック・ハー)暴走症候群(ト・シンドローム)………世界でも、彼たった一人の病気っぽい何か。

単に強過ぎて拗らせている訳でも、ハイな徹夜のテンションの延長って訳でもなく

列記とした精神性疾患の一種………だと考えてられている。


 何が言いたいのかって?まぁ、こうなったら関わらないのが一番…ということ。


 症状としては、挙動異常(速過ぎて人間じゃないよ、控え目に言って人力TAS)

言動異常(竜王的強キャラムーブみたいな?)喧嘩上等(お前の力を見せてみろ)

等が主なものとして挙げられる。


『アアァァァァァァァァァァァァァァァァ』


 触れるなキケン 進入禁止、そんな生易しいものではなく……

例)関わるなバカ、絶対ダメだろ、限界を超えたいのかっ!?(さる体験談)

……という状態の彼に今尚呪詛をかけ続ける邪神。

はっきり言うと……哀れ。


「君が()()()とは……良いよ、実に良い、君が物語を見せてくれるんだろ、

 ならチャンスをあげようじゃないか!」


 そう言って更に力を解放する。

力場の歪みが空間を軋ませ、ぶつかり合う術式と呪詛が法則を書き換える。

手札の内、比較的まともではない本を解放した彼は外付けのエネルギー貯蔵庫が

ゴリゴリ削れていく………純粋な札束で殴っているのと大差ないので、

正気に戻ったらきっと血涙を流すだろう……。


「もし僕に一矢報いて、呪いをかけられるのならば……君に物語を与えよう」


 十中八九、武器に封印する気だ。

邪神が封印された武器とそれに適合するヒーロー、これだけでも十分良い構図に

なるが、段階的に掛けた封印…親愛、愛情、絆、等々で解除できるので正の

ベクトルに向かう事を決定付ける。

 封印が破られれば世界を滅ぼす邪神がひょっこり顔を出すが、『運命』自体を

大筋で作り出すので決して間違いは起こらない………否、起こさせない。


「さあ、権能の可能性を……魔が転ずるその先を見せてくれよ」


 そして、どこからともなく現れる、無秩序な軍勢………群勢。

呪詛の肩代わりと分散を目的に取り出されたそれらは物凄い勢い壊れていく。


 一体一体がサラリーマンの平均月収並のお値段であるこれら……。


 全て壊れる頃には国家予算がパァになっている……今尚量産され続けている

ガラクタを回収しても消えた人件費は戻ってこない。国防省のお偉方もきっと

胃薬のお世話になるでしょう……。


『消え失せろぉ、ニンゲェェンッ!!」


 咆哮、それは感情の発露。

人の身を完全に掌握しきれぬのか、慣れたからであるのか……。


 今はわからない。


だが、その感情は確実に()()と言う名の偶然を引き寄せた。


「…………へっくちん……あ」


 くしゃみをした拍子に本を閉じた。

カッコつけて片手で本なんて持ってるからだろう。

しかし、すぐに本を開き直した……ただ、数秒間 本を閉じた事には変わりない。


『アアアアアァァァァァァ』


 これ幸いと言わんばかりに強くなった呪詛も、直ぐに尻すぼみになった。

そしてめでたく邪神は封印されましたとさ………とはならず。


「いっ、があ、ア“ア”ア“ア”ァァァァァァッ」


 ほんの僅かばかり、通った呪詛が身体を蝕む。

死に至るまではないが………ここで一つ思い出して欲しい。


 彼は邪神に『美少女になれる固定術式』を掛けている。


 こう、何というか、コレも呪いの一種なのだ。

不定形な『神』とか、『精霊』とかなら一切不都合はないんだが……。

万一、こんなものがフツーの人間に共有化されてみろ、血も肉も骨もぐちゃ

ぐちゃになって人間がブッ壊れて術式が完成するか、速攻で死ぬかの二択だ。


 だが、しかし………まあ、アレだ………うん。











 この厨二病に常識を問いてはならない。










 一から組み上げたオリジナルの術式、その邪神によって変質した部分を

自身の現状から逆算……と、同時に塩基配列の最適化を術式に組み込む。

 持ちうる技術でXY染色体の不都合も解決し、ホルモンバランスも瞬時に書き

換え、スーパーコンピュータを凌駕する演算速度で生存に必要なこと全てを行う。


 その結果………


「……はぁはぁはぁ……ふぅ………ない」


 人類最強の厨二病は……性別が変わってしまったのである。





消失したアイデア、迫る無情な現実、その時アイツは……


次回、もうストックがない…誰かたすけてぇぇぇぇ


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