第七話:部活動とエドの想い
新生活からはや数ヶ月
最初の頃は授業も合同だったけど今は寮ごとに別れている
そんなある日
「え、部活動?」
「そ!僕さ、学園生活が落ちついたら入ろうと思ってたんだ」
3人で夕食を食べてるときにエドが一緒に部活動に入らないかと誘ってきた
この学園には様々な部活が存在する
なかでもエドが入ろうと考えてるのは“ダンジョン探索部”と言うものだった
グロース大陸にはいくつかのダンジョンが存在しており、アリステル王国にも複数存在する
ダンジョン内には魔物がおり腕試しで行ける場所もあれば、立ち入り禁止にするほどの危険な場所も存在する
「ダンジョンには宝箱もあって色々便利な物や珍しい物も手に入るとかって聞くし。ね、どう?入ってみない?」
まぁ、本当に無茶をしない範囲ならば確かに楽しそうではある
学生レベルでも行けそうなダンジョンもあるらしいし・・・
何より、物凄いやる気のエドの迫力は断れる雰囲気じゃなかった
夕食後、俺達は探索部の部室があるらしい本校舎の3階に来てた
「確か・・・あった!ここが部室みたいだ」
長い廊下を歩きながら部室を探すと“ダンジョン探索部”と書かれた紙を扉に貼り付けている場所を見つけた
中に入ろうとノックをするも誰も出てこない
鍵が掛けられてるし、どうしようかと迷っていたら
「お前ら、そこになんのようだ」
茶髪のボサボサ頭に度数の強そうなグルグル眼鏡、白衣を着た男性がいつの間にか後ろに立っていた
「あっ、えっと・・・僕達ダンジョン探索部に入りたくて」
「・・・知らないのか、探索部は閉鎖されるぞ」
「・・・えっーーー!?」
男性の言葉にショックだったのかエドが大声をあげ固まった
「どうして、閉鎖になる?」
「部員が居なくなったからだ。50年ほど前に作られた部活だが年々部員が減っていき・・・今年の卒業生で最後の部員だったのさ。だから部員が居ない部活はいらないと閉鎖が決まった」
うーん、まさか閉鎖されようとしてたなんて・・・
そういう事だから早く寮に帰れと男性に言われ、いったん戻るかと固まったエドを引きずりながら戻る
「やっぱ、僕は探索部に入りたい」
復活したエドと3人で話し合った
「なぁ、どうしてエドはそんなに探索部に入りたいんだ?」
少し考える仕草をするエドは、ちょっとだけ話しが長くなると前置きをして話してくれた
「小さい頃、父が早くに亡くなってね。殆ど父のことを知らずにいたんだ。頑張って僕を育ててくれてる母に亡くなった父のことを聞くのは少し躊躇って。でも親戚の人に僕の父がここの卒業生だったって聞いて、しかも探索部に入っていた。だから探索部には昔の父をしれるかも知れないと思ってね」
まぁ、もちろん探険もしてみたいのもあるけどと笑ってるエド
「なら、お父さんの事知るためにも、部活動を復活させなきゃな」
「俺も、手伝う」
「2人とも、ありがと~!」
俺もちょっと気持ちがわかる
やっぱり、両親がどんな人だったのか知りたい
でも、俺はその両親が何処に居るのか知らないし、知る術も今は無い
だから、知る機会があるエドを応援したくなった
その日は夜遅いため話を終えたらすぐに寝た
明日からどうやって探索部を残すか、もう一度あの男性に会ってみたいと思った