第六話:学ぶ者、鍛える者
昼食を食べ、午後の授業も全て終わり俺は1人図書館に来てた
俺の住んでいた、アグロス村は辺境地であるため最低限の知識しか学べない
他の生徒より遥かに知識不足だろう
このままでは差が大きく開くのは火を見るより明らかなので少しでも自力で学ぼうと図書館で本を読むことにした
「よしっと・・・」
数冊の本を選び倚子に座る
最初に読む本は魔術に関してだ
操る感覚などは簡単にテルズさんに教わっているが詳しくは知らない
“誰でもよくわかる魔術本”と書かれた本を開く
魔術を行使するには魔力が必要不可欠、だが誰もが必ず魔力を持ってるわけではない
生まれ付き魔力を持たない者も居る
沢山いる種族の中でも人間は持つ者、持たざる者の差が大きい
また、魔術には属性がありそれぞれ火・水・土・雷・風・光・闇・聖の8つに別れている
俺が試験の時に使ったのは火属性魔法の下級・ファイア
火属性の適性があるものなら誰でも使えるものだ
ちなみに炎属性は全属性の内扱いやすく、属性適性を持つ者がもっとも多いと言われてる
属性は1人一つでは無く才能や種族に大きく依存するが複数持つのが多いとのこと
また、属性は後天的に増えることもごく稀に起きるらしいが、もともと眠っていた能力が開花した結果で得るなどかなり限定的なものらしい
ラディーグは雷属性
全属性中1位の素早さと異常状態【麻痺】に出来る属性
自身に付加したり武器に付加すればあらゆる敵を素早く仕留められるらしい
エドは土属性
大地を味方につける魔法
攻守共に優れた属性
基本、地面に近ければ近いほど強くなるメリットを持つが、空や海など地面が無い場所では上手く扱えなくなり威力が落ちるとか
水属性は柔軟性に優れた属性
武器に付加すれば切れ味を増したり、水を弾の様に弾き飛ばしたりなど形をいくらでも変えれる
他にも、空気中の水分を操る水属性は極めると大雨を降らし、水の温度すら変え冷気をも操るとか
風属性は、どんな風も味方につけ
天候すら思い通りになるとか
嵐を起こし全てを吹き飛ばしたり、風の刃で縦横無尽に切り刻んだり出来るらしい
光属性は守備に優れ
味方を守る力を得られるとか
また、浄化の能力も持ち合わせる
更に、聖属性と組み合わせると互いの能力を向上させる事が出来るそうだ
闇属性は攻撃に優れ
どの属性とも相性がよいとされる
ただし聖属性とは唯一相性が悪い
聖属性はもっとも能力の開花が難しいと言われ、持つ者も少ない
回復の力を得られるようになるそうだ
聖教では聖属性は神聖な、神からのギフトとされ信者の中でも特に神への信仰心が強い者が会得すると言っている
「こちら、いいかしら」
暫く没頭して読んでたら、急に声をかけられ顔を上げる
そこにいたのは桃色の綺麗な髪の女性・・・あっ、青梟寮ブルーアウルの人だ
午前中の校庭10周の時に見かけたのでなんとなく覚えていた
どうぞと応えれば軽く会釈して正面に座る
「随分と勉強熱心なんですね」
「周りに置いてかれないようにな。そういう君だって沢山本を読むみたいだけど」
「えぇ、お世話になる国の事を知らないのは失礼になるかと思いまして」
頬笑んでる彼女、名前はクレハ・ツツジ
アリステル王国があるグロース大陸の東側、海に囲まれた島国・東之国出身だそうだ
東之国は長い間鎖国し続けていたがつい最近開国した
外の文化を知るためにもと言うことで学園に来たらしい
本を読みながら、たまに話をして俺達は図書館を後にした
寮に戻る途中、中庭から声が聞こえたので気になり近づいてみた
「ハッ、フッ・・・テヤァッ!」
覗いてみれば力強い掛け声で、100番の女性が鍛練していた
邪魔しないよう立ち去ろうとしたが神経を研ぎ澄まされていた彼女にあっさり見つかった
「悪かったな、鍛練の邪魔をしてしまって」
「気にしないで、もう終わろうと思っていたところだから」
怒ってない雰囲気にホッとした
人によっては怒る人もいるってテルズさんが言ってたから助かった
彼女、カテリナ・リアンは騎士を目指して入学したらしく毎日鍛練を欠かさないようにしていると教えてくれた
その後それぞれの寮に戻りながら話をして別れた
魔術のこともっと知りたいな
なんて思いながら今日は早めに寝ることにした