第三話:結果と旅立ち
第2次試験が無事終了し、結果が張り出されるまで受験者は学園内で待つことになった
「・・・はぁ」
「疲れたのか?」
「あー、ん。慣れないことしたから緊張したよ」
中庭のベンチでラディーグと一緒にくつろぐ
ここは天井が無く綺麗な青空が見える
村の空とあまり変わらないのにちょっとホッとした気分になる
ラディーグは試験をそこそこ出来たと思うと言っていた、羨ましい
空を眺めまた溜め息が出てしまう
幸せが逃げるぞってラディーグに言われた
迷信じゃないのか・・・
気をつけよう、溜め息で幸せを逃がしたくない
その後も2人でたわいない話をしてると結果が張り出されたのか騒がしくなっていた
長い廊下にズラリと並べられた紙の受験番号を確認していく・・・
人が多くてよく見えない
ラディーグはもう自身のを見つけたらしく、小さくガッツポーズをしていた
ダークエルフが眼が良いのって本当なんだな
俺も早く見つけよう、なんとか見える範囲まで近づく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あった!
ようやく見つけた“102”
「俺も番号あった!」
「そうか、良かった」
小さく頬笑んでくれたラディーグと共に喜びハイタッチをした
「番号が書かれていた者は合格おめでとう。君達は素質があり、この学び舎で学ぶことを誇りに思い、努力を怠らぬよう頑張ってください」
合格した受験者達を校庭に集め校長先生が挨拶をする
合格できたのは100人に満たないくらい
不合格の者は既に学園内を去っている
近くで並んでる合格者をよく見たら100番の女性も居た
暫く話を聞いた後、これからの学園生活についての説明が始まった
学園は全員寮生活になり
その寮はこれからわけるらしい
今日はいったん解散で後日学園に再集合になった
「その様子だと合格したみたいだな。おめでとさん」
学園の門でテルズさんが待ち構えていた
「うん、なんとか合格出来たよ」
「ラディーグくんも良かったな」
「俺もシフェルと一緒で嬉しい」
その後ラディーグも誘って夕飯を食べた
どのような試験内容だったか、合格者の今後の日程など食事中沢山話した
もちろん、食べ終わりその後はしっかりラディーグを送りとどけた
あの迷子癖どうにかならないのかな
宿に戻り、帰り支度をしてから眠りにつく
明日は一度村に帰って荷物を纏めなくちゃな
馬車に乗って村に戻り、準備をして今度は1人で王都に向かう日がやって来た
「テルズさん、皆・・・俺」
「頑張って、頑張って、頑張り抜いてそれでも上手くいかなくて辛くなったら、帰ってこい。俺達は何時だってお前の味方だからな」
「お前は私達の大切な家族だよ。大丈夫、行ってらっしゃいシフェル」
「頑張れよ!」
「はい!それじゃあ、行ってきます!!」
15年間を過ごした村を笑顔で出る
皆、本当にありがとう
暫くの間、さようなら
再び訪れ、これから過ごすことになる王都
「・・・よしっ、頑張るぞ」
新しい生活が始まる
どんな事が待っているんだろう
楽しみすぎて、テンションがあがって気合いの声を出したら御者の人に怒られてしまった
sideテルズ
「行っちまったな」
コボッジが肩に手を置きながら話しかけてきた
「いつかはこうなるとわかっていたさ。アイツはこんな小さな村に閉じ込めておける器じゃない」
ただ、ちょっと寂しいと想ったの内緒だ
シフェルのやつは気を遣いすぎるとこがある
気づかれたら学園に行かないと言い出すかもしれないからな
「あの子に告げなくてよかったのかい?」
馬車を見送りながらノジットさんが呟く
「シフェルがいずれ自分自身で気づく日が来ますよ」
「しかし・・・」
馬車の姿はもう、見えない
でも
「大丈夫、アイツは強い子です。俺は信じてますから」
真っ直ぐ、誰よりも優しく、勇気ある子に育ったシフェルならきっと乗り越えられる
ふと、空を見ると
大きな虹がまるで祝福してるかのように輝いていた
2019/7月4日 加筆修正しました