第十二話:合流と仕掛け
洞窟型のダンジョンに入り、水晶玉を探し始めて数時間くらいたっただろうか
道なりに行くと大きめな広場くらいの開けた場所に出た
見た感じ先には道が無いようだ、ここが最奥だろうか
辺りを見渡してたら声が聞こえたので振り向くと左側の道に行った、カテリナ、エド、ラディーグが駆け寄ってきた
「そちらも、ご無事で何よりです」
「スライムに囲まれて大変だったけどね」
カテリナとクレハが互いに無事を喜んでいた
「シフェル、水晶玉を見つけた」
「そっちは2個か、俺達はひとつだよ」
「僕達、運が良いかもね。あと、2つサッサと見つけよう!」
「あぁ、そうだな」
頷き、改めて皆で探していく
広場内を探してると、岩場に隠れていたスライムに驚いたり、小兎の巣穴を突いてしまったエドが小兎のキックを喰らったり、ランプの灯りが消えてしまったらカテリナが悲鳴を上げたり、色々あったが結局、水晶玉を発見できなかった
「見つからないな」
「元来た道戻って探してみる?」
エドが提案してくるが、何だがスッキリしない
まだ、気づいてないだけで何か、仕掛けのようなものがある気がする
考え込んでいたら、クレハが何か見つけたらしく皆を呼んでいた
近づいてみると、小さな石盤のような物があった
「見たこと無い文字で書かれていて、どなたか読めますか?」
「あー、オウルド語かな。グロース大陸で大昔に使われていたらしい言葉だよ。僕、読めないけど」
エドが石盤の文字を見ながらクレハに説明していた
大昔、グロース大陸で全ての種族が使っていた言葉
それがオウルド語らしい
今使われている言語はオウルド語が無くなったあとに使われ始めた、ノーヴィ語だ
因みに、オウルド語が使われなくなりノーヴィ語に変わった経緯は謎だったりする
「困ったね、アタシも読めないよ」
「俺も、わからない」
「わかるよ、読もっか?」
俺が言った瞬間、皆が一斉に振り向いた
なぜだか、読めるんだよなオウルド語
テルズさんも読めなかったし、俺だけなのかな読めるの
皆が期待してるなか、読み進めていく
「なるほど、やっぱり道は続いてるんだ」
「どんな内容だったの?」
「簡単に言えば、道を開くには時間が関係してるんだ」
石盤に書かれていたのは、奥に進むための道案内だった
オウルド語で書かれていたから、このダンジョンかなり古いんだろうな
道が開くまで、まだ時間がかかるようだったので一休みすることにした
「へぇ、シフェルはそんな遠くから来てたの」
カテリナに出身は何処かと聞かれたので答えていた
アグロス村は森がすぐ近くにあって、たまに魔物がやって来る事があるので、俺がお世話になったテルズさんが退治していたこと。テルズさんに鍛えられた事も話した
皆、村に行ってみたいと興味を持ってくれたのでいつか案内してみたい
暫く皆で話していたら、天井から一筋の光が差してきた
どうやら、時間のようだ
光が真っ直ぐ壁の方に当たると、ダンジョン全体が地響きで揺れる
だんだんと光が細くなり、やがて途切れる頃には光が当たっていた壁が無くなっており道が出来ていた
「吃驚したー、凄いね」
「今の光は太陽でしょうか」
クレハの言う通り、あの光は太陽が沈む僅かな時間だけ光が差し込むように仕掛けられたものらしい
昔の人はこの仕掛けを次に来た人達のために手掛かりを残してくれていた
まぁ、オウルド語が読める人じゃなきゃわからないけど
「ダンジョンにはこういう仕掛けが沢山あるみたいだからね。さ、進もう」
開かれた道を進んでいく、この先何があるのかワクワクしてきた