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魔王の呪い

作者: 木屋之 まこと


「ーーいい加減にしろと幾度も申してござろう!某にかけた呪いを直ちに解くでござる!もしくは拙者に切られるでありんすよ!!」


 剣を両手でしっかりと握り直し、切っ先を相手に向ける。

 そう・・・何もかも全て魔王のせいなのだから!



     * * *


「どうやら引導をわたす時が来たようだな、魔王!」


 高ぶる心を抑えつつ、やっと辿り着いた魔王城の最深部・謁見の間で座して待つ魔王に全力で剣を振り上げながら走り寄る。

 今までの苦労がやっと報われる。そう思いながら床を強く蹴り飛び上がり魔王に向かって躊躇いもなく振り下ろした。

 ーー瞬間、詠唱破棄の防御魔法で私の剣は防がれ、私は床を転がることとなった。

 驚いたが、咄嗟に受け身をとって冷たい床を転がると今まで居た場所に雷が落ちた。

 凄まじい威力を目の当たりにして、背中に冷や汗が流れ落ちる。

 転がった勢いのまま立ち上がって魔王に向かって走り出す。

 部屋には私のブーツ音だけが響く。


「・・・俺と結婚しろ」


 私の渾身の一撃を片手で受け止め、魔王は無表情のまま予想外の事を発した。

 力が抜け、いまだ無表情で悠然と玉座に座る魔王を呆然と見詰めると・・・底の見えない赤い瞳と目が合った。

 逃げられない。


「こっ、断る!」


 いつの間にか乾いた口を必死に動かし、赤い瞳から目を逸らす。

 もう、嫌だ。・・・帰りたい。


「そんな事、俺が許すと思うか?」


 魔王は、フッ。と笑うとーー私に呪いをかけたのだ。

 とてつもなく下らない、いっそ笑えるほど忌々しい呪いを。


『口調が愉快になる呪い』


 誰だこんな呪いを作ったのは!

 ・・・ちょっとツラ貸せオラァ!とか思った私は悪くないですよね?

 その後なんとか魔王から逃れて街に戻れば、指を刺されて笑われ精神的ダメージを受けたので街には暫く戻りたくない。

 呪いを解くには魔法を使った張本人が解くか、本人が死ぬかの二択しかない。

 そのどちらにせよ、もう一度魔王に会う必要がある。

 思い足取りで魔王城へと逆戻り。




     * * *


 ーーそうして私は今日も呪いを解くために魔王に会いに行く。

 断じて嬉しそうに目を細めるアイツに会うためとか、そういうアレではないからね!


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