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蕾はいつか花になる。

作者: 結月千冴

どうも。結月千冴です。


久々の投稿です!


今回は、誰しも通る反抗期をテーマに書かせていただきました。


自分の経験したことも混ぜ合わせたわけですが…

思い出すのも一苦労でした。



拙い文章表現ではありますが、気楽に読んでいただければ幸いです。


まぁ、


ウチの家族は、両親もいるし、2コ下の妹もいる。


普通のありふれた一般の家庭で育ってきた。


今まで、特に不満なんて感じたこともなかったし、

仲のいい家族だと思う。


だけど、最近の私は、

妙に心がざわつき、苛立つ毎日。


あぁ、これが世にいう

思春期特有の反抗期というやつか!





6月も半ば――


私、尾花湊は、

学校から帰ってから、足早に自室に入る。


母親の“おかえり”に

私は、“うん”とだけの素っ気ない返事…


最近、そんな日が多くなってきた。



私服に着替え、

塾の準備をして、さっさと家を出た。


時間まで、まだ1時間以上ある。



家にいるのがイヤで、近くの公園で時間潰し。


最近、よくこういうパターンを繰り返していたけど…


これから梅雨本番で雨が降るから、どうしようかね。


雨の日は、コンビニか?

それとも、図書館?


うーん。


頭の中でぐるぐる考えていると…



「尾花?」



名前を呼ばれ、振り返る。すると、同じクラスの井端くんが立っていた。



「…井端くん。」



「お前、こんな所で何してんの?」



「……別に、ただの時間潰しだよ。」



彼を見た後、また、

ぼんやりと前を向いた。



「……ふーん。」



そう言って、隣に座り

コンビニ袋を私と彼の間に置いた。


私は、視線をその袋に移した。



「何?夕飯?」



「……腹が減ったから、パンと飲み物買っただけ。塾が終わるまで、我慢できねぇし。」



井端くんは、袋からペットボトルを取り出して、栓を開けた。


ごくごくと飲む音が、やけにデカく聞こえた。


井端くんとは、今まで同じクラスになったことがなくて、3年で初めて同じクラスになった。


塾では、よく顔を合わせるけど、ほとんど話したことはなかったなぁ。


なんとも不思議な光景。



パンをかじりながら、井端くんは言う。



「…お前、こんな所でアブラうっているやつじゃなかっただろ?」



「そうかな?」



「いつも家から直で、塾にきてたじゃん。」



「い、井端くんこそ、こんな所で食べるより、家で食べたほうがよくない?」




井端くんは、ペットボトル片手に私に向き合った。



「家で食べると、そのまま寝そうだから。」



何とも真剣に答える井端くんに、苦笑する。



「だったら、塾で食べたらいいじゃん。遅刻しないしさ。」



「……そうしようと思ってチャリで走ってたら、尾花がここにいたから。」



「なんで?」



私は、素直に聞く。



「……お前、昨日も一昨日も公園にいただろ?」



「………そ、そうだった?ハハハ〜」




「……つーか、今年入ってから何回も見たぞ。」




ううっ!


目敏い…



「塾帰りにも見たな。暗いしアブねぇから、声かけようとしたら、さっさと帰っちまうし…」



「……そう。井端くんよくみてるね〜」



関心するな〜

普通は、見てみぬ振りじゃないの。今のご時世…



「……なぁ、もしかして親とうまくいってねぇの?」


ドキッ。

いきなり、核心突かれた。


私って、そんなにわかりやすい?



「……ま、いいんじゃね?オレも、そういうことあるし。他のヤツも皆あるだろう。」



この人、よく喋るな。

こんなキャラだったっけ?



「……まぁね。反抗期ってやつですかね〜」



冗談混じりで笑っていると井端くんは、真摯な眼差しを向ける。



ドキッ!


胸の奥が鳴る。


彼の澄んだ瞳に、自分が映る。まるで、嘘はつけないというように…



やれやれ。

これは、白状しろということか?



「……無理に、話すことはないけど、思ったことを吐き出したら少しは、楽になるじゃん。」



井端くんは、俯きながらそう言った。


なんだかなぁ。



私は、最近の親の言動や行動について話した。



父親は、厳格だけど門限の他はあまり言わない。


問題は、母親の過保護さ加減が半端ないことだ。



「…部屋に勝手に入られて私物を見られたり、触ったりされて…なんか、気持ち悪いんだよね。」



そう…


最近、母親によくあたっては、無視することが多い。

だから、母親と二人になりたくなくて、この公園で時間を潰すようになった。



「監視されているようで、息苦しい。居場所がないみたいでさ。」



本当は、わかっている。母親が悪いわけじゃない。こんなことを思っている自分が、もどかしいだけ。



暫く、黙って聞いていた井端くんが、言葉を発する。


「……気持ちはわかるけど、正直に言えば…贅沢な悩みだよな。」



「………。」



私は、何も言えなかった。



「…オレの父親と母親は、夜遅くまで仕事してる。兄貴は、大学入学して、今は一人暮らししてる。」



今度は、井端くんの家族を話し始めた。



「……だから、学校から帰ると、誰もいない。けど、塾から帰ったら、母さんは帰ってるし、メシも作ってある。」



井端くんは、真っ直ぐ前を見たまま続けた。



「親父も深夜近く帰ってくることもある。けど、朝はちゃんと一緒にメシ食って出る。だから、特に俺は、不満はない。」



きっと、井端くんは、

わかっているんだ。

お父さんもお母さんも自分のために、働いていること…


それなのに、私、自分のことしか考えてない。

ホント私って、子どもだなぁ。



「まぁ、偉そうに言えた義理じゃないけどさ。親に監視されているのは、仕方ないだろ?俺たちまだ未成年のガキだし。」


そう言って、

フッと笑う井端くん。


なんだか、急に自分の悩みがアホらしく思えた。


私は、思わず笑ってしまった。



「お!やっと、笑ったな!すっきりした?」



「……ま、まぁね。」



思わず照れて、目を逸らしてしまった。



「けどな〜尾花の言っていること一理ある。」



「え?」



「……自分の部屋に勝手に入られるのは、やっぱムカつくな。」



「入られたことあるの?」


「いや、ない。ふたりとも忙しいしさ。」



「わかんないよ〜お母さんこっそり見てるかもよ〜」


私は、ニヤニヤしながら、井端くんをからかう。



「…お、お前と一緒にすんな!」



井端くんは、慌てた様子。

お!意外と可愛い一面があるんだ。



「そんなに見られたら困るものあるの?」



「………ねぇよ。」



井端くんは、

そっぽを向いて言う。



「何か今、間があったんだけど……」



「うるせぇな。人の揚げ足とるな。」



「ふふふ」



まぁ、誰にも見られたくないものくらい、この歳になればあるよね。



意外な人に、悩みを打ち明けるなんて予想外だった。

けど…




「…井端くん。ありがとう!話聞いてくれて。」



「お、おう!」



井端くんは、鼻を掻きながら答えた。



「井端くんって、いい人だよね。」



「は?」



「ほら、今まで顔を合わせて挨拶程度だったからさ。井端くんとこんなに喋ったの初めてだから。」



「………そう、だな。」



お互いに顔を見合せて、頷く。友達と真剣に話すことも大事なんだな。



「井端くん。同じクラスになってよかったよ。また新しい友達が出来て、嬉しいよ。」



私は、笑顔で彼を見る。



「……友達ね。まぁ、いいんじゃねーの?」



ベンチから立ち上がり、背伸びする井端くんは、振り返り、無言のままじっと私を見つめる。




「…………。」



「え?何?」




「…別に。もう時間だと思っただけ。」



腕時計を見ると、

もう直ぐ、塾の時間!



「ホントだ!

早く行こう!」






私は、井端くんと共に、

公園を後にした。




この度は、ご愛読ありがとうございました。


今回、湊と井端の関係が

ただのクラスメイトで終わってしまったことですが、いずれは、彼らのロマンスも書けたらなぁと思います。


皆様、ありがとうございました。



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― 新着の感想 ―
[良い点]  どんな状況でも不満はあります。 [一言]  家族が生存しているだけで、充分にありがたいのかもしれません。私の親戚は親の顔を記憶することなく生きています。
2016/06/12 23:51 退会済み
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