第2話 はじめてのチュウ
私を、楽園に返しなさい!の第2話目です。
見てくれて、ありがとうございます。
うむ、認めたは良いけど、こいつらとだけは関わりたくないわね。
私の直感が、あれとは関わっちゃ行けませんって、警告してるもの。
よーし、取り合えず逃げよう。
走って逃げよう。
思い立ったら即行動をモットーにしている私の辞書に、止まると言う言葉は存在しないのだ!
久し振りぶりに走るけど問題ないでしょう。
ちなみに、前に走ったときはサバゲーを買いにいった帰りに、電車に乗り遅れそうになったときだ。
私の家は電車が殆ど通らないと言うド田舎なので、1度乗り過ごすと、三時間は待たないとならなくなる程の辺境の地にある。
まあ、そんなことはどうでもいい。
逃げるが勝ちだ。
私が扉を抜けて逃げようとしたそのとき、いきなり後ろからローブを着た少女が、私の足にしがみついて来た。
「ちょっ!?」
私は少女に足をとられたことで、思いっきりずっこけてしまう。しかも、転けてた時に、手をつこうとしたが、時既に遅く、石畳に頭をおもいっきり打ち付けてしまい、地面にキスするはめになった。
ゴツンと言う痛そうな音が、大きな部屋に響き渡る。その音から一瞬遅れて、私の頭に激痛が走る。
頭を押さえながら悶絶している私を見て、慌ててる少女を睨む。
「頭からぶつかったじゃない!頭が割れるかとおもったわ!」
これは……、クッソ痛いわね。
私は過去最大級の痛みに、涙目になりながら、事の原因を見て、文句を言う。
「いきなりなにをするのよ」
「まさか転けて、しかも頭からいくとは思いもしませんでした……」
会話になってないわ!
言葉のキャッチボールをしましょうよ!?
しかも、さっきこの女、しれっと私の事をバカにしたわよね!?
ふざけてるのかしら?
ふざけてるわよね?
どうやら、謝る気がないようなので、頭ぐりぐり攻撃をしておく。
「いっ、痛い!痛いです!!」
少女の悲痛な叫び声が巨大な部屋に響く。
それを聞いた兵士たちは、悪魔を見るような目で、私を見ながらドン引きしている。
彼らと私になんの関係もないけれど、これ以上やると、人間性を疑われかねないので、謝ったらやめてあげることにする。
「謝ったら、やめてあげるわよ」
「ずいまぜんでぢだぁぁ!」
この子がマジ泣きしそうなので、これ以上は止めておく、まあ、約束だしね。
謝っても続けるほど外道じゃないもの、私は。
私は、少女を解放すると、扉の方に向き直し、
「それじゃあ、私はこれで」
と、そう言い残し、改めて逃亡しようと思い足を出そうとするが、またしても足を捕まれ二度私は転けてしまう。
しかも、今度は鼻からぶつかり、地面に二度目のキスをするはめになった。
「鼻……、鼻が、潰れる……」
これ、鼻潰れてないでしょうね。
私が、心配になり激痛のする鼻を触ってみると、どうやら無事のようだ。
鼻血ブーもしていない。
自分の鼻が無事なことを確認すると、ほっと一息つく。
そして、心配事が消えると、沸々と、このガキに対する怒りが煮えたぎってきた。
このガキ……1度足らずに、2度までも私を転けさせるとは……
「地面に二度もキスする破目になったじゃない!」
「良かったじゃないですか、初体験は誰にでもありますよ☆」
少女は私の言葉に対して、にっこり笑顔のスマイル付きで返答してきた。
謝ると言うことを知らない、このくそガキは、以外とかわいいのと相俟って余計に私をイラつかせる。
もう許さん!
「天誅」
謝ると言うことを知らない、くそガキに、二度頭ぐりぐり攻撃を行い、先程の光景が繰り返される。
「痛い!痛いです!!」
「来世は謝ると言うことを学んでから、産まれてくるのね」
「いっ、痛い!ちょっ、殺す気ですか!?」
私の頭ぐりぐり攻撃から、上手いこと抜け出したくそガキは、私から距離を取りながらそう言った。
「あら、良くわかってるじゃない」
私は、拳をポキポキと鳴らしながら、距離を取ったくそガキに迫る。
一歩、また一歩と迫る私をみて、それに比例するように、くそガキも一歩、また一歩と下がる。
しかし、遂に壁際に追い込まれ、涙目になるガキを見て、私は少しやり過ぎたと思い、冗談だと伝えることにする。
「冗談よ、ほんとに殺しはしないわよ」
私のその言葉を聞いた少女は、へなへなとその場に座り込み、助かった、と余韻を洩らす。
私は、関わらないつもりでいたが、また逃げようとしたらあの攻撃をくらいかねないので、私をもとの世界……、もとい楽園に、返すように要求することにする。
「私を、もといた場所に返してくれないかしら?」
しかし、次の瞬間、私の言葉を聞いた少女は、信じられない一言を発してきた。
「すみません、勝手に連れてきてなんですが、返すことが出来ないんです」
「はっ?」
一瞬何を言われているのか理解できず、沈黙が辺りを包む。
「ハアァァァア!?」
そしてこの日、私は訳のわからないまま、意外な形で楽園から追い出されることになった。
わかりにくいと思うので、説明しておくと、主人公が少女やガキと呼んでいる人物は、同一人物です。