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第1話 異世界召喚は唐突に


 一人部屋。


 世間一般にそう呼ばれている空間が、私が、楽園(マイルーム)と呼び、崇拝する至高の空間。


 自分だけの城であり、自分が住みやすいように、最適な位置に、好きなものを配置でき、尚且つ、自分が自由に過ごすことのできる、至上の時間を提供してくれる場所……、それが私の信仰する楽園(マイルーム)


 楽園(マイルーム)で日夜パソコンにむかい、ネットサーフィンに勤しむ私をみて、世間では、引きこもりとよく言うが、引きこもりと言っても千差万別、様々なスタイルがある。


 もっとも一般的なのは、自分の部屋に閉じこもることだと思う。だが、心理的に見れば、自分の感情を表現しないことも、一種の引きこもりと捉えることが、できるのではないのだろうか?


 と、言うことはだ、この世界の人間は、殆どが引きこもりになるのではないのだろうか?


 引きこもるから引きこもり、立てこもるから立てこもり、閉じこもるから閉じこもり。

 もともと、引きこもると言う言葉は、昔からあり、その場所にじっとしていることや、外部との接触を断つことを意味する。


 私の場合は、別にその場にじっとしているわけではない。普通に外に出て出掛けてるし、幼馴染みともよく遊んでいる。感情を表現しないわけでもなく、悲しければ泣くし、怒るとキレる。ちょっと楽園(マイルーム)にいる時間が人より長いだけだ。

 と、言うことはだ、私は、引きこもりではないことにはならないだろうか?


 これが、私が引きこもりではないと思っている所以(ゆえん)であり、この過ごし方が私のポリシーだ。


 それに、私は、たった四畳半の楽園(マイルーム)の魅力に負ける程度の学校なんて行く価値ないと考える。

 世間ではしんじられないと言うだろうが、少なくとも私はそう思っている。


 あんなものは、友達と言う、その場かぎりの関係の人と、じゃれ会うだけの、くそみたいな場所だ。

 潰して幼稚園でも作ればいいものを。

 国は何を考えているのやら。


 学校は勉強をするために必要だと言うかも知れないが、勉強だったらパソコンで調べれば、大方のものは専門的なものでない限りわかるはずだ。

 専門校だけ残して、残りは潰せばいい。


 それに、勉強できないバカは、塾にでもいけばいいのよ。


 まあ、ちゃんと授業を聞かないから、バカって呼ばれてるんだろうけどね。

 

 私は、楽園(マイルーム)に、設置されているテレビに向かい、ゲーム機の電源を入れる。

 今人気のサバゲーをするためだ。

 私は、このサバゲーが発売される日に、早朝からゲームを買うために行列に並んだのだ。

 こんなにも行動派な私のどこが引きこもりだと言うのか……。


 私は、オンライン対戦を開始する。

 楽園(マイルーム)にコントローラーのボタンを押すカチカチと言う音だけが響き渡る。


 私は、チャットはやっていない。

 こんな昼の時間帯にやっている奴は、私と同じく楽園(マイルーム)に、魅せられた同士か、ただのヒキニートぐらいだろう。

 そのヒキニートが、性格的に問題があるからたちが悪い。

 自分の回りが自分の思い通りにならないから、チャットで、いちいち傲慢でウザいことを言ってくる。

 最初のうちは相手をしていたが、次第に相手をするだけ無駄と言うことに気づき今はチャットはやっていない。


 私が、ゲームを続けていると、不意にお腹がなっる。時計を見てみるとゲームをやり始めてから、早2時間ほどたち、時刻はすでに12時を回っている。道理でお腹が空くはずだ。


 私は、昼ごはんを食べるために、ゲームをログアウトする。

 コントローラーを置き、ゲーム機の電源を切ろうと、手を伸ばした次の瞬間、私の回りを強烈な光が覆う、そして、覆われたと同時に突然の浮遊感が私を襲った。


 これはいったい!?


 私は、何が起きたのか分からず、呆然としてしまう。辺りを見渡して見ても、少なくとも、私の愛しい楽園(マイルーム)ではないことがわかる。

 

 私を覆っているこの光は、凄いスピードで動いているのか、辺りの光景が、凄まじい速度で変わっている。


 その、目まぐるしく回る光景のなかで、私は、一人の少女と目があった。

 美しい銀色の髪に、とても澄んでいる金色の瞳の可愛らしい少女だった。


 しかし、その金色の瞳は、私の心を見透かしているようで、居心地の悪いものを覚えてしまう。


 少女が不意に笑う。

 その姿は、とても可愛らしいものだったが、私にはとても不気味なものに見えた。


 刹那。


 私を覆っていた辺りの光は、晴れて、私を襲った浮遊感が消えていた。

 

「ここは……」


 私は、辺りを見渡して見ると、そこは、とても広い空間で、石畳の作りになっていた。


 その石畳には、ファンタジーに出てきそうな魔法陣が描かれており、辺りを見渡すと、鎧を着て、槍を持っている兵士のような人が四人と、階段のある場所に目をやると、高そうな服を着たハゲ頭のじいさんがいるのと、魔法陣の近くに、頭を押さえて悶絶している白いローブを着た女の子が一人。


 このカオスな光景を見て、察してもいいのか分からないが、取り合えず察しておこう。

 

 私は……


 どうやら私は……、異世界に召喚されたらしい。



 私に、楽園を返しなさいの第1話です。

 まだ、話の内容は決めていませんが、基本コメディーを混ぜたファンタジーにしようと思っています。

 未熟者ですが、楽しめていただければと思います。

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