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蝋燭  作者: 川本千根
9/21

元カノ。

夕方、私はドアをノックする音と

「鈴〜」

と言う女の人の声で再び目が覚めた


あれっ

まずくない

私三上さんのベッドの上で寝ちゃって…


えっ、私もしかして浮気相手のポジション?


そんな


修羅場なんてゴメンだ

だいたい何もしてない


三上さんがなんか玄関で押し問答している


私はあわててバックを持って飛び出した


「私は帰りますんでっ」

って靴を履いてたら


「待て」

と言われた


三上さんは訪ねてきた女の人にも


「入れ」

と言った





「ごめんごめん、彼女ができたとは知らなかった」


って部屋に入って女の人は笑った


美人さんだ…

シャギー入れ過ぎの金髪がヤンキーっぽいけど


「絵里です」

「鈴彦の元カノだけど中学の時の話だから気にしないでねー」

って続けて言った


私が本当の彼女だったら気にするだろう


私はなんて自己紹介するのが正解なのかな

とりあえず


「早川桜です」と名乗った


部屋に三上さんがいれたコーヒーの匂いが流てる


コーヒーは絵里さんと三上さんの分しかなくって、私には白湯が出てきた


意地悪…じゃなくって私の胃のことを考えてくれてるんだろうな


意外にこの部屋にコーヒーの匂いが似合う


「早川さんはもう少し寝てな」

「まだ顔色が悪い」


「絵里、お前はこれを飲んだら帰れ」

と言った


え…あんな冷たい言い方するんだ…


「鈴、彼女この人冷たいって顔してみてるよ〜」

「そんな物言いしてたら嫌われちゃうよ、桜ちゃんに」


「そうか、じゃあお前も泊まっていけ」


なぜかドキッとした


「早川さんも泊まらせるから」


なにいっ?


「いえっ、私は帰りますからっ」


思わず飛び起きた


絵里さんはあはは〜と笑って


「○○線止まってるよ、信号トラブルで」

と言ってスマホでヤ○ーニュースのページを見せた


「泊まらせてもらいなよ」

「雨も降ってきたし」




夜、私は雨の中絵里さんが裏のコンビニで買ってきてくれたサンドイッチを一口だけ食べた


三上さんは炭水化物が嫌いらしい

そういえばこの前もサラダだけ食べていた

今日も茹でたブロッコリーと玉子だけ食べてる


それだけで足りるの?

だから痩せているんだ


結局私も絵里さんもその晩は三上さんの部屋に泊まった


雨脚が強くなってきた


客布団のないこの部屋で肌寒い秋の始めに絵里さんはカーペットの上で、タオルケット掛けて寝た


私は三上さんと背中合わせでベッドで寝た

私と絵里さんの場所違わない?


三上さんが絶対絵里さんをベットに寝かせたくないって言うから…


なんか私、もうこの人の彼女みたいに扱われちゃってる

いや、本人にそんな気はないのか


…飼い豚


なんで私会って二回目の人と一緒に寝てんの?


NOが言えないにもほどがある







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