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蝋燭  作者: 川本千根
8/21

桜。

正直男の人苦手なんだよね


あのとき三上さんと番号交換したらしいんだけど正直記憶ない

まさか電話かかってくるとは思わなかった…


しかも家に来いって

ハードル高い


ほんとに合コンって嫌い

中学から私立の女子校に行ってるから免疫ないんだよ

男の人に


三次元の男の人には興味もないし


私、華麗な履歴書が人に与える印象と実物が噛み合わないからがっかりされちゃうのも辛いし


しかし、ノーが言えない日本人の代表みたいなもんだしな、私

田口さんの誘いを断われなかった


行ったら案の定ブス来たー

みたいな空気になっちゃって辛かった


気を紛らわそうと思って飲めないお酒飲んだ結果酔っ払っちゃって三上さんに絡んじゃったらしい


田口さんに後から話聞いて青ざめた


失礼なこと言っちゃった負い目もあって誘いを断われなかった


「わあ〜うれしい、遊びに行ってみたいです」

って言っちゃった

バカバカ


身元のわかってるひとだから大丈夫だと思うけど


なんか…変だよね?いきなり家に誘うって


行きたくない

あの人ちょっと怖いし

だいたい男の人となに話せばいいの


どうしてこんなことになっちゃったんだ?




あーあ

とうとう来てしまった

三上さんのお家の最寄り駅


考えすぎかもしれないけど今日はパンツはいてきた

ブスくせになに警戒してんだよって思われないかな


おみやげ、お煎餅にしちゃったけどいいかな

なんか甘いもの食べる雰囲気ないし


お煎餅食べる雰囲気でもないか

果物とかのほうがよかったかな


あ、来た


「こんにちは〜」

「本当に来ちゃいましたー」

「今日をすごく楽しみにしていましたー」


はあ、ホント私ってバカ

なぜこう下手に出てしまう



連れられて行かれた三上さんのお部屋は古いアパートだった


これ昭和の建物じゃない?

よく刑事ドラマで犯人が住んでるような


ちょっと意外

この人おしゃれなワンルームマンションに住んでいるイメージなのに


玄関開けたらすぐ台所になっていて、ガラスの引き戸の向こうに部屋が一つ


古い…けど、毎日お掃除されている部屋の清潔感を感じる

この空気感は三上さんそのものだな


へへ、この人私の散らかった部屋を見たらびっくりするだろうな


あーどうでもいいけど早く帰りたい

なんか胃が痛くなってきた


三上さんが出してくれたお茶、すごく美味しい

このうらぶれたお部屋の雰囲気と日本茶合ってる

なんかいい感じ


けど早く帰りたい


驚いたことに三上さんは豚の写真集をいくつか持ってて、子豚の載ったページを見せてくれた


あーこれを見せたかったのね

はいはい

そういうことですか


不思議なことに少しホッとしたら

余計胃が痛くなってきた

どういうこと?


耐えられなくなって、三上さんにお水もらって痛み止めを飲んだ

なんか頭も痛くなってきて冷や汗出てきた


早く、帰らなきゃ


「三上さん、写真見せてくれてありがとうございました」

「私親に悪態つくのやめます」


「じゃあ今日はこれで」


「早川さん、顔色真っ青だよ」

「少し横になりな」


大丈夫です帰ります

って言いたいけど、ダメ、だ

無理…


三上さんにベッドに横になれって言われたけど私は畳の上に敷かれたカーペットに寝かせてもらった


薄くなっていく意識の中でよかったパンツはいてきてと思った


一枚しか持ってないパンツ…




目が覚めたらなぜかベットで寝ていた

ひえっ、男の人のベットで!


ヤバイ起きなきゃ

と思うけどまだ胃が痛いし体もだるい…


見れば三上さんはパソコンに向かって淡々と何かしている



もう少し、もう少しこのまま寝かせてもらおう…





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