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蝋燭  作者: 川本千根
7/21

合コン2。

「暗い…」

「そうか、悪かったな」


と三上さんはみんなを見回して言った


そして早川桜の方を向いて


「小学生の時に父親が自殺して、その後母親も体調を崩し、中学一年の時に亡くなった」

「中学からは母方の祖母に育てられたが、その祖母も自分が大学に入ったって年に他界した」


「なんとなく自分は他の人と違う人生を与えられている気がする」


「若いうちに両親を亡くしているから孤独感が強いのかも知れないな」


と言った


みんな驚いたと思う

三上さんの生い立ちにじゃなくて、それを正直に語ったことを


この人…

人の働きかけには真摯に答えちゃう人じゃないのかな

意外だけど


場がしんとなったけど、早川桜だけが


「そうだったんですかー」

「すみません、失礼なこと言っちゃってー」

「うきゃきゃ」


と言った


うきゃきゃってなんだよ…

ん?あれ?この娘酔ってる?

顔が真っ赤だ

カシスオレンジ半分飲んだだけなのに?


続けて三上さんは話し始めた


「生まれたての子豚は褒め言葉だ」


!!!???


えっ、なに言い出すのこの人


「学生時代、体験学習で畜産農家に行ったことがある」

「そこで生まれたての子豚を見た」


「早川さんも一度実物をみてみるといい」


「親の愛情がわかる」



なんか…これはもしかして生まれたての子豚、三上さんのツボ?


嘘でしょ

あ、三上さん早川桜を手招きした


え、

二人でスマホ出してなんかしてる

うそお〜俺の三上さんがこんなバカな女と番号交換してる…




女の子三人と三上さんは帰ったけど、俺はなんか釈然としない思いもあってもう少し飲みたかった


望月さんの行きつけの小さなスナックに行って二人で飲み直すことにした


「なんか意外でしたね、三上さん」

「望月さん知ってました?」


「いや、初耳」

「でも、なんとなく納得できる生い立ちだった」

「それを隠す気ないんだな」


「なんか三上さんあの子豚気に入ってるように見えませんでしたか?」


「江尻、お前ずっと三上さん、三上さんって言ってんな」

「そっちの気があったんだ」


「なに言ってんですかっ」

「俺は生粋の女好きですよ!」


ちょうどおばさんたちのカラオケが終わってスナックに俺の声が響き渡った


ひい、恥ずかしい


「子豚ちゃんかわいかったじゃん」

「俺もあの子が一番よかったよ?」


「え…そうなんすか…」

「俺にはまあまあのブスにみえましたよ」


「んー確かに前に連れて歩いてた娘とは随分違うな」


「えっ、なんすかそれ」


「前に三上さんが女の子連れて歩いてるとこ見たことあるからさ」

「ホームセンターで」


「かなりかわいかった」

「少しヤンキーぽかったけど」


「え…」


なんかイメージ狂うな

ヤンキーに子豚…


「俺三上さんには大学の研究室で働いているような人と付き合って欲しいです」


望月さんは笑って


「江尻〜、告白しろ」

っと言った


そんなんじゃないんだって!

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