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蝋燭  作者: 川本千根
6/21

合コン。

似合わない


なんか俺すごく悪いことしちゃった気がする


三上さんが周りの騒がしさが届く居酒屋の個室に座っている姿はホント違和感ある


しかも田口さんが連れてきた娘たちイマイチだし


一人はS女学院大学出た娘だって言うからちょっと期待してたのに


ヒラヒラした短いスカートを着て、スタイルいいし小柄だから一瞬可愛く見えるけど、よく見ると薄い顔を一生懸命濃く見せようとしているのが痛々しいまん丸い顔をした娘だった


その小さな目にバサバサのまつげのエクステはバランス取れてないよ


名前は可愛いけど

早川桜という


もう一人は素材はいいけど洒落っ気のない高橋真琴ちゃん


少しダボッとしたパンツにボーダーのカットソー着ている

この場にその格好でくるとはやる気ないな


まあ、本社の女の子からしたら俺達なんかおしゃれして会うほどの存在じゃないかも知れないな


この子が早川桜なみのおしゃれをすれば可愛いんじゃないかとおもうけど


三上さんは約束通りサラダ食べながらビール飲んでるだけだし


望月さんもどっちかっていうと物静かな方だし

女好きの割にガツガツ行けないんだよね


なんか俺一人で回すの大変




少し場が温まって来た頃


「なんかすいませんね〜、私S女学院出てるじゃないですか」

「ムダに期待されちゃうんです」


「そしてバッサリ裏切っちゃうの」


そう言って早川桜はクスッと笑った


三上さんがムスッとしてるの自分のせいだと思ったのかな



「この前帰省した時、朝目を覚ましたら枕元で両親が私をのぞき込んでいてびっくりしちゃった」


「驚かせないでよって怒ったら」

「寝顔が生まれたての子豚みたいで可愛いって、いつもこうして眺めてたんだよ」


「今まで気が付かなかった?」

「って言われた」


「うちの親キモい」

「っていうか失礼」

「子豚ってなに?って思った」


「恐ろしい事に本人たちはほめてるつもりなんですよー」


なんて話をして早川桜はみんなを笑わせた


そしてとんでもないことを言った


「ところで三上さんはどうしてそんなに暗いんですかー」

「暗いを通り越して怖いですよー」

「イケメンさんが台無しですよー」


俺も望月さんも田口さんも高橋さんも息を飲んだ


12番という番号をつけられた居酒屋の個室がシーンとなった


実際には隣の部屋の、多分大学生の話し声が聞こえていたけど

エントリーシートがどうのこうのって


早川桜…バカだ

こいつだけが三上さんのプライドの高さに気づいていない


田口さんどうしてこんなバカな娘連れてきた…


ああ、S女の娘が入ったって聞いて連れてきてって言ったのは俺か…


俺達の視線はバカな質問をした早川桜じゃなくて三上さんに注がれていた


俺は三上さんが黙って席を立つような気がしていた


けれど意外なことに三上さんは…

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