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蝋燭  作者: 川本千根
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絵里。

絵里は何度も同じ失敗を繰り返す


職場の同僚の恋人に手を出しては周りの反感を買い、居づらくなって職場を去る


それを繰り返して職場を転々としている

自分が手を出すのか相手が手を出すのかは分からないが


人のものがほしくなるのがあいつの悪い癖だ


男と別れた後は必ずこのアパートに出入りするようになる

そして新しい男ができるとまたパタリと来なくなる


なぜ中学の時のあいつと付き合うことを承諾したのか今も分からない

いや、本当は理由なんか1つしかない


あいつの家庭環境に自分の生い立ちが共鳴した

その一点のみで俺は絵里と一緒にいることができた


が、二人でいると何か侘びしさが二倍になることに気づいた


別々の高校に進み、絵里に新しい彼氏ができた時にはほっとした

別れを告げられた時の安堵感と開放感


絵里と付き合ってよくわかった

一人が一番楽だ


傷をなめ合う相手がいても寂しさは埋まらない



絵里の妹の佐那は高3の時妊娠して高校卒業と同時に同級生と結婚した

今は二児の母になり旦那を尻に敷いて安定した結婚生活を送っている


正直絵里もそういう人生を歩むのだと思っていた


親のことも嫌っていたから自分で稼ぐようになれば家を出るのかと思っていたが、それもしない


母親が嫌いなのは本当だろう

だか、それ以上に母親への執着があるのも事実だ


絵里の一番の長所は見た目なのだから、容姿が衰えないうちに結婚してしまうのがいいのではないかと思う


だが本人に将来を考える頭がない

気の毒に


ほんのひと匙ほどの賢さがあれば世間の言う幸せを手に入れられるだろうに


あいつは一生自分がなにを求めているか気づかず目的地のない旅を続けるだろう


悪いが俺はその休憩地になるつもりはない


明日会社の帰りに裏のサッシに付ける鍵を買ってこなければ…


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