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蝋燭  作者: 川本千根
17/21

車。

年明け、たまにはドライブとか行きたいとぽそっとつぶやいたら、三上さんが車買っちゃった


小さい黒い車

中古だけど


おも…い


駐車場も借りなきゃいけないし、お金大丈夫なのかな


いくら使わせちゃったんだろう


はあ…

レンタカーでいいじゃん

益々、別れを切り出しにくい事態に


いや、別に積極的に別れたいわけじゃないんだけど…


三上さんって私のことどう思ってんだろう


好きなのは間違いないと思う


ただ

ただ三上さん見てると実家の隣の高村さんを思い出しちゃうんだよ


飼い猫のミイを溺愛していた高村さん


ミイのために下関の鯵をお取り寄せして、オーガニック野菜を茹でたのと混ぜてミイに食べさせていた高村さん


ミイのために18万もする職人の作った籐のキャリーケースを買った高村さんが三上さんの行動と重なるんだよね


私ちゃんと人に見えてるかな


だいたいスキンシップだって、あのとき一度引き寄せられただけだし


男の人と付き合うってこんなもんなの?

私ただご飯作ってもらって箸の持ち方の指導されてるだけ


保護者が一人増えただけのような気がする


私のことどう思っているのか聞いてみたい

だけどあの人正直だから


「飼い豚にすぎない」


とか言われたらどうしようと思って恐くて聞けない


もともと女の人に興味なさそう

だからかなイマイチうちの女の人からの人気ないよね

素敵な人なのに


安心と言えば安心

面白くないと言えば面白くない


…私のライバルは絵里さんだけだなあ





「子豚、何を真剣に読んでいる?」


「星占いの本」


「あ、ねえ三上さんって誕生日いつ?」


「2月」


「もうすぐじゃん」

「何かプレゼントする」

「なにがいい?」


「何もいらない」


「え…それじゃあ私も貰えないよ」


「包丁なんかどう?よく切れるの」


「縁起が悪い、桜は4月?」


「違う6月、誕生石は真珠」


「ふっ」


「三上さん?」

「なんで今笑ったの」


「あっ、豚に真珠って思ったでしょう!」


「はは、自分で言った」


…三上さんが声出して笑っているの初めて見た


「絶対私の誕生日に真珠買ってもらうからっ」

「フン、真珠をつけてる私を見てそうやって笑い続けていればいいよ」


「あ、でも安いのでいいよ、五千円くらいの」


言っとかなきゃ無理しそうだもん


なんだかんだ言ってもこの人の魅力に捕まっちゃってるよ私



いくつかの疑いはぬぐいきれないけど


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