つきまとい。
「桜、なぜ江尻を連れてきた?」
「えっ、三上さんが呼んだんじゃないの?」
「三上さんに呼ばれてるから一緒に行きましょうって連絡もらって、駅で待ちあわせして一緒に来たんだけど…」
三上さんはアパートの玄関先でため息をついた
「江尻…」
「お前、桜だまして」
「すみません」
「なんとなく三上さんと桜ちゃん付き合ってるんじゃないかと思って」
「カマかけて待ち合わせして連れてきてもらいました」
「三上さんメールしても無視するし…」
「お前は…」
「あはは、いいじゃない三上さん」
「こんなに愛されてるんだから三上さんの手作りご飯食べさせてあげれば」
まっ、ほんとは私この人嫌いだけど
ブスのくせにおしゃれしちゃってって思ってんのが見え見えなんだよね
子豚が靴脱いで先に入ったあと三上さんが耳元で俺にささやいた
「周りには言うな」
「桜が迷惑する」
なにその日陰の身発言
あーあ、骨抜きになっちゃって
この人もう俺の好きだった三上さんじゃないな
でも三上さんの作った飯食ったらまた好きになった
レベル高っ
この茶碗蒸し最高〜
中に入ってる海老うまっ
卵の味がしっかりしてる
これ、烏骨鶏使ってんじゃないかな
こう見えても俺料理屋の息子だから味覚は鋭いんだよ
外食したがらないはずだ
多分本物志向なんだろうな
このアパートの外観見た時は、うって思ったけど、入って見たらこの部屋三上さんらしい
どこもきちっと整理されていて、高くはないんだろうけど統一された色のせいか、家具が高級品に見える
そういえばこの人ユニ○ロ着てても高級感出すからな
もともとある品格がそう見せるんだろうな
食事が済んで豚の写真集見せられているところに来客があった
「鈴〜」
あ、美人、ちょっとヤンキーぽいけど
え?三上さん二股?
「珍しい、お客さんがいる」
「あ、桜ちゃんこんにちは」
「絵里さんこの前はどうもお世話になりました」
え、お互い公認なの
三上さん意外すぎる
なんか、おもしろっ
あれ、三上さん不機嫌になっちゃった
すごく空気が悪い
フッこの空気変えてみせる
三上さんに俺がいてよかった〜って思ってもらうために
「そういえば、ブランド豚に桜ポークってありましたよね」
「やだ!江尻さんひどーい」
ちょっとお、止めてよ
私を豚呼ばわりしてもいいのは三上さんだけだよ
なんで私笑ってんだろう
卑屈にも